「SATC」新章出演中のミスター・ビッグ役俳優、レイプ疑惑を告発される。

Culture 2021.12.21

12月16日に「ハリウッド・リポーター」が報じたところによると、ふたりの女性が、クリス・ノースを10年のインターバルを置いた性的暴行で告発しているという。それ以来、新証言がいくつも飛び出している。

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クリス・ノースは、「セックス&ザ・シティ」の新シーズンでもミスター・ビッグ役を継続して演じている。(カリフォルニア、2016年12月8日)photo: REUTERS/Danny Moloshok (United States)/Afro

彼がアイコニックなミスター・ビッグ役を演じている「セックス&ザ・シティ」の新シーズンは、12月9日に配信が始まったばかり。だが、第3話が公開されたばかりだというのに、クリス・ノースはメディアの嵐の真っ只中に放り込まれた。67歳になるノースは、ふたりの女性によって、性的暴行で告発されたのだ。12月16日、「ハリウッド・リポーター」誌は、「互いに無縁なふたりの女性が、数ヶ月のインターバルで、別々に『ハリウッド・リポーター』にコンタクトしてきた」としている。1件は2004年にロサンゼルスで、もう1件は2015年にニューヨ―クで。被害を訴えるふたりはそれぞれゾーイとリリーという仮名で証言しているが、ノースが再び伝説のドラマに姿を見せたことに苦痛を感じているようだ。

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「ミスター・ビッグからメッセージが入っている」

ショービジネス界でキャリアを築いてきた40歳のゾーイは、10月に「ハリウッド・リポーター」にコンタクトしてきた。彼女は、2004年、22歳の時にノースにレイプされたという。彼女は、当時49歳だったクリス・ノースをはじめ、多くのセレブリティが通う「影響力のある企業」で働いていた。「彼は私のオフィスにやって来ては、誘いをかけました」とゾーイは振りかえる。「彼は私の番号を手に入れて(…)私の仕事用のナンバーにメッセージを残していました。上司から、『ミスター・ビッグから留守電にメッセージが入っているわよ』といわれたものです」。当時の上司もそれを認めてこう語っている。「あの頃はSATCの最盛期。彼は私たちにとって神さまみたいなものだった」

続いて、クリス・ノースは、ウェスト・ハリウッドにある彼のマンションにプールがあると言って、ゾーイを招待する。ゾーイは、大学時代の親友とともに訪問。このことは、件の親友も認めている。この親友は、ノースと同じマンションに住んでおり、ノースと長い会話を交わしたという。ノースは映画化を考えている、と一冊の本を彼女に渡し、彼のアパルトマンに返しに来てくれと言う。彼女は本を返しに行った。するとノースは玄関口で彼女にキス。ゾーイはキスを返すと、「ありがとうございました。友だちのところに帰らなくては」と告げた。だがノースは彼女を引き寄せてベッドの方に引っ張って行き、彼女のショートパンツと水着のショーツを下ろして、鏡の前で「後ろからレイプした」という。

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「ストップ!と叫んだ」

「とても痛くて、『やめて!』と叫びました」と彼女は回想する。「彼はやめなかった。私が『せめてコンドームをつけてよ』というと、鼻で笑われた」。その後彼女は、血のついたTシャツ姿で友人のアパートに戻り、「家に帰りたい」と言ったという。友人は、それでも、ゾーイをシダーズ=サイナイ病院へ連れて行くことにした。「何針か縫いました。警察官が二人会いに来た。でも私は、誰にレイプされたか言いたくなかった」

ゾーイはその後も悪夢や、事件のフラッシュバックなどに悩まされた。何ヶ月もセラピーに通い、何年間も、この記憶を封じ込めようと試みた。だが、2018年にガンを克服していた母が亡くなったことで、このトラウマとなった事件を白日のもとに晒したいと考えたという。「自分がレイプされたことがある母は、死を迎えようという時も、そのことを心から拭い去れていなかった」と、40歳になったゾーイは言う。「自分もそんな状況になるのはいや。死ぬまでこのことがトラウマになるなんて」

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ナイトクラブでの出会い

リリーは31歳のジャーリスト。彼女は8月に「ハリウッド・リポーター」に連絡してきたという。彼女がクリス・ノースに出会ったのは2015年、25歳の時。つまり彼が60歳の時ということになる。リリーは当時ニューヨークのナイトクラブ「NO.8」でVIPスペース担当ウェイトレスとして働いていて、SATCの大ファンだった。彼女はそこでノースと出会ったのだ。「彼は私をナンパしました。それは確か」と彼女は語る。「ちょっといい気分でした。彼が結婚していることは知っていたから、それを認めるのは恥ずかしかった(編集部注:クリス・ノースは女優のタラ・ウィルソンと2012年に結婚)」。それでも彼はリリーの電話番号をゲットし、SATCの撮影現場にもなったレストラン「イル・カンティノーリ」で待っていると言った。

驚いたことに、到着してみると、レストランの厨房はしまっていた。ふたりはそれでもワインのグラスを何杯か傾けた。「彼は私の仕事やこれまでのことをいろいろ尋ねました」。レストランが閉まると、ノースは近所にある自分のアパルトマンに行こうと提案したと言う。「セックスに関して私はそれほどアクティブではなかったし、ワイルドでもクレイジーでもなかった」とリリーは言う。「一緒にウィスキーを飲んで彼のキャリアの話をしよう、と考えたんです。なんて馬鹿だったんだろう」。アパートに着くと、ノースは彼女にキスしようとした。「慎重に彼の注意をそらそうとしました。彼は年上だし、実際、年寄りに見えた。彼はしつこくトライし続けたし、私はもっときっぱりとノー、と言って立ち去るべきだったんです」

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「その間、泣いていた」

そしてこう続けた。「一瞬のうちに、彼は自分のズボンを下ろしました」。そして彼女の口に自分のペニスを入れたという。彼女が、ノースが結婚していて子どももいることを口にすると、「彼は、結婚は偽装だ、一夫一婦制なんて現実じゃない、と言ったんです」。あっという間にノースはリリーを「後ろから」レイプした。「目の前には鏡がありました。私はその間。泣いていました」。リリーはスカートを履き直すために手洗いに立った。「ひどい気分でした。何年もの間抱いてきた、憧れのセレブリティについての夢は粉々に打ち砕かれました」。翌日、クリス・ノースは彼女にボイスメッセージを残した。

「『いい時を過ごした。他の友達にはしゃべらないように。我々だけの間にとどめておければすばらしい』というものでした」とリリーは回想する。ふたりはその後いくつかのテキストメッセージを交換した。「ところで、先週の夜は良かったかい、と聞きたいんだ」というメッセージもあったと言う。「私はとても楽しかったが、君がどう思ったか実はよくわからないんだ」と。リリーはこれに、あなたに「ちょっと利用された」と感じたと答えた。その後ふたりが会うことはなかった。

クリス・ノースは、「ハリウッド・リポーター」に送ったリリースの中で、これらの告発を完全に否定している。

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クリス・ノースの反証

「何年も前、いや何十年も前に出会った人たちによる私への疑惑は全くのでたらめです」と彼は断言する。「30年前の話だろうが、30日前の話だろうが同じこと。違うものは違います。私はリミットを超えていません。これらの出会いは同意の上の出来事です。暴露のタイミングについて疑問を挟まずにはいられません。この暴露がなぜ今浮上したのか、その理由は正確にはわかりませんが、ひとつだけ確実なことがあります。それは、私がこの女性たちに性的暴行を加えていない、ということです」

以来、「ロー&オーダー」でノースと共演した女優のゾーイ・リスター=ジョーンズもまた、彼の性的に不適切な行動をインスタストーリーの中で告発した。12月16日、彼女はノースが、2005年、マンハッタンのナイトクラブで、彼女の同僚のひとりに対し、「性的に不適切な」態度をとったと公表した。また同じ年、彼女は「ロー&オーダー」で彼と共演したが、「撮影現場で酔っ払っていた」と回想している。「私の尋問シーンを撮影している時、彼はテーブルの下にビールを隠していて、カットのたびに飲んでいた。撮影中に私に近づいてきて首元で匂いを嗅いで『いい匂いだね』といったり。私は何も言わなかった。友人も、ナイトクラブの件は喋らなかった。私たちにとっては、とてもレアな出来事だったから」

 

 

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続出する告発

翌日の12月17日には、「デイリー・ビースト」に新しい証言が掲載された。2010年、ニューヨークのタイムズ・スクエア近くのイタリアンレストランでクリス・ノースに性的暴行を受けたという新しい被害者が現れたのだ。

エイヴァという仮名のこの女性は、当時18歳で、ホステス兼歌手として働いていた。当時店の常連客で「いつも酔っ払っていた」ノースが、彼女とデュエットした後、何度も彼女の体に手で触れてきた様子を打ち明けている。「カナダ女性が好きなんだ」とノースはテーブルで囁き、彼女を膝に引き上げて「勃起した彼のモノ」を押しつけようとしたという。

彼女の勤務が終わる夜中の1時半ごろ、エイヴァが賃金を受け取ろうとしている時、ノースは事務所に彼女を追ってきてキスしようとし、「指を股間に入れようとした」。彼女はその時タンポンをつけていたので、それが防いでくれるだろうと虚しい希望を抱いたのだが、ノースは彼女の体を触り続け、生理がもうすぐ終わるかどうか尋ねてきたという。

「彼はノーという言葉は聞こえなかったようですが、私が「ここじゃダメ」と言ったのは聞こえたようだったので、他の場所で会おうと説得しました」とエイヴァは「デイリー・ビースト」に打ち明けている。ノースはその夜後から落ち会うために電話番号を受け取ったが、エイヴァはその後、ノースにどんな連絡もとらなかった。

一方、インスタグラムDiet_pradaは、1990年代の記事を掲載した。クリス・ノースの元パートナーであるモデルのビヴァリー・ジョンソンが、ノースに暴力を振るわれ、顔を台無しにしてやると脅されたと告発した記事だ。

「ザ・サン」によると、クリス・ノースの妻で、ノースとの間にオライオン13歳、キーツ18ヶ月の2子をもうけているタラ・ウィルソンは、この告発に「非常に動転している」という。現在のところ、のサンゼルス警察は「ハリウッド・リポーター」に掲載された疑惑についての捜査は一切行われていないとしている。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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