時代の変わり目に読む、私のとっておきの一冊 クールジャパンとは違う、リアルな農民の生きざまを知る1冊。
Culture 2022.01.01
書物からもらったメッセージで生き方や価値観が変わることもある。クリエイター32人が、いま読み直したい本、薦めたい本とは?
会田 誠
美術家
クールジャパンとは違う、リアルな農民の生きざま。
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『ものいわぬ農民』
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大牟羅 良著 岩波書店刊 ¥880
「最近ネットでこの書名を見かけ、惹かれるものがありポチりました。戦後間もなく、行商人として岩手の貧しい村々をまわった苦労人の著者による、いろり端の雑談=農民の肉声を集めた本。時代的には、柳田國男の『遠野物語』(新潮社刊)と現代のちょうど中間にあたる感じでしょうか。なぜだか自分でもよくわからないのですが、僕は自分の先祖でもあり、近代以前は人口の8割以上だった日本の農民。その良かれ悪しかれの性質に興味が高まりつつあります。“京都の洗練”や“侍の潔さ”といった、外国人にわかりやすく誇れる部分でない日本。この本は、ある時期ある地域の農民をリアルに活写した名著でした」
Makoto Aida/ 絵画のみならず、写真、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画、都市計画と、多彩な表現領域で国内外で活躍。
*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋
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