時代の変わり目に読む、私のとっておきの一冊

疫病と大戦により、人類が死滅した未来を描く傑作SF。

Culture

書物からもらったメッセージで生き方や価値観が変わることもある。クリエイター32人が、いま読み直したい本、薦めたい本とは?


栗野宏文

ユナイテッドアローズ 上級顧問

人類が死滅した未来の話に、あらためて戦慄を覚える。

創世の島

バーナード・ベケット著 小野田和子訳 早川書房刊 ¥1,540

「著者は、演劇、数学、英語の高校教師。分子生態学と進化論の研究所で遺伝子を学んだ際に、本作を着想した。主人公は、国の知性の府であるアカデミー受験を目指す女学生。口頭試問での緊張に満ちた時間が描かれ、読者は彼女の聡明さや純粋さに共感するだろう。設定は21世紀末、近い未来だが、“疫病”と”大戦”により人類は死滅している。いまの我々にはあまりにリアルな設定だが、書かれたのは2006年、僕が読んだのは2018年。まだ“あれ”が起こる以前だ。今回再読し、本当の戦慄を覚えた。ヒトとAI、国家と個人、歴史や哲学といったテーマのもと、驚くべき結末へと導く傑作SFだ」

Hirofumi Kurino/ 1989年、ユナイテッドアローズ創業に参画。フィガロジャポンで約15年続けた連載をもとに『モード後の世界』(扶桑社刊)を刊行。

*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/220107-hirofumi-kurino.html