キム・カーダシアンが若者に悪影響?♯slimthick崇拝を巡って。

日本では、いまだ「痩せている=スタイルがいい」とされる傾向があるが、国が違えば言語や文化のみならず、美的感覚も随分と異なってくる。

ニューヨークポストは「ケイト・モス風の体形がもてはやされたのは、いまは昔」、トレンドは「キム風の体形だ」と報じた。確かにアメリカでは近年、スリムな身体より「スリムシック」と言われる体形が好まれる傾向にある。
 

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スリムシックとは「slim-thick」から成る造語だ。細いウエスト、平らなお腹、大きくボリュームのあるお尻、厚みのある太ももなどに象徴されるカーヴィーな曲線を描くメリハリボディを指す。胸だけでなく、お尻と太ももにボリュームがあることが特に重視される。

カナダのトロントにあるヨーク大学が行った調査によると、SNSで投稿するためにデジタル加工技術で体形を修正することは日常茶飯事になっているという。また同調査によると、インスタグラムでは2021年の1年間で、ハッシュタグ#thickがつけられた投稿は620万回、#thiccは340万回、#slimthickは100万回あり、TikTokではハッシュタグの#slimthiccがつけられた投稿は1億3400万回にも上った。

そして、ソーシャルメディア上でインフルエンサーやセレブリティたちが披露する美ボディが、若者に悪影響を与えていることが問題になっている。それを牽引しているのは、インスタグラムのフォロワーランキングで世界トップ10入りをキープするキム・カーダシアンや妹のカイリー・ジェンナーといえるだろう。

美の象徴として絶大な影響力を持つ有名人のイメージにより、特に若い女性たちがボディメイキングのためにジムに通い始めたり、中には気軽に美容整形をする人も増えている。自分の身体への不満や自信喪失、自尊心の低下、摂食障害などにも繋がっているといわれており、その有害さが指摘されている。

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最近はカニエ・ウェストとの離婚協議やピート・デヴィッドソンとの新しい恋に忙しいキムだが、そんな中でもインスタグラム投稿には余念がなく、自身の豊満なスリムシックなボディを披露している。そしてつい最近の投稿で、ある「写真加工疑惑」が浮上した。

ビーチで黒い水着を着た写真の中の最後の1枚に、キムの右足に不自然な湾曲が見られた。これを見たファンやアンチらは「足を細く見せるために、フォトショップで加工しているのでは」と話題になった。キムが加工騒動を起こしたのは、これが初めてではない。「影は嘘をつかない」「(彼女に不満を持っている)妹かスタッフらによる妨害行為では」という声が上がる一方で、写真加工など関係なく「彼女はとても美しく、ゴージャスだ」と称賛する声も多く上がった。問題の写真は現在削除されている。

在ニューヨークジャーナリスト、編集者。日本の出版社で音楽誌面編集者、ガイドブック編集長を経て、2002年に活動拠点をニューヨークへ。07年より出版社に勤務し、14年に独立。雑誌やニュースサイトで、ライフスタイルや働き方、グルメ、文化、テック&スタートアップ、社会問題などの最新情報を発信。著書に『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ 旅のヒントBOOK』(イカロス出版)がある。

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