お出かけ気分が高まる! 今月観に行きたいアート4選。
Culture 2022.04.23
陽の光がまるで初夏のように感じるようになった今日この頃、お出かけ気分にぴったりな展覧会をご紹介!
光の表現から展望する、美術館の未来。
『モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に』
戦後約40年をかけてポーラ創業家2代目の鈴木常司が収集したコレクションと、近年新しく収蔵した作品を合わせて紹介する初の企画展。本展の主要なテーマは光だ。光の表現を追究したクロード・モネなど、印象派の画家たちから、シャイン(光=仮象)を表現し続けるゲルハルト・リヒター、光の色そのものを写し撮る作品を展開する杉本博司、ネオン管を用いたケリス・ウィン・エヴァンスまで、19世紀から現代までの光にまつわる作品を紹介する。館内の5つの展示室、2017年に新設された現代美術を展示するアトリウムギャラリー、 ロビー空間、 森の遊歩道にいたるまで、全館を使った開館以来最大規模の超大型企画を通して、美術館の未来とコレクションの可能性を探る。
会期:開催中~9/6
ポーラ美術館(神奈川・箱根)
営)9:00~17:00
無休
料)一般¥1,800
●問い合わせ先:
tel: 0460-84-2111
www.polamuseum.or.jp
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精緻なデフォルメにより、喚起される感覚。
『ボテロ展 ふくよかな魔法』
生誕90年を迎えるコロンビア出身の美術家フェルナンド・ボテロの、日本では26年ぶりとなる大規模な絵画展。人物や動物、果物や楽器、日用品までをもボリュームのある形態で描いた、そのふくよかで豊かな表現は唯一無二であり、美術ファンに限らず多くの人を惹きつけてきた。一貫して精緻にデフォルメされた独自の絵画様式には、静謐さとともに、生命の高揚や官能、ユーモアやアイロニーなど、複雑な意味合いが潜み、従来の芸術や美の規範に囚われがちな観客の感覚に強く訴えかける。本展では作家自身の監修のもと、ラテンアメリカの人々の日常や信仰、サーカスなどを題材にした作品から、彼の名を一躍有名にした古典名画を題材としたシリーズまで、いまなお精力的なその画業を辿る。
会期:4/29~7/3
Bunkamura ザ・ミュージアム(東京・渋谷)
営)10:00〜18:00(金、土~21:00)
休)5/17
料)一般¥1,800
●問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.ntv.co.jp/botero2022
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人間中心主義から離脱する、我々の未来。
『世界の終わりと環境世界』
ここでは「世界の終わり」とは、人間中心主義の終焉を意味する。すべての動物は種特有の知覚世界を持って生き、主体として行動するという考えに基づいている。草間彌生、アニッシュ・カプーア、大小島真木、AKI INOMATAらの作品を通して、人間中心主義から離脱した人間が、生物がそれぞれの環境世界に生きているという認識に到達できるのかを問いかける。まさに地政学的緊張と核の脅威、環境破壊と地球温暖化の世界を生きる私たちにとって、もはや「世界の終わり」は、宗教家の預言や科学者の予測を飛び越えリアルな経験となった。「世界の終わり」とともに生きるために、政治的、社会的、人間的なものの交差地点にある破局的な主題と対峙し、近代の諸概念を根源的に問い直す機会となる。
会期:会期:5/13~7/3
GYRE GALLERY(東京・表参道)
営)11:00~20:00
不定休
入場無料
●問い合わせ先:
tel:0570-05-6990
https://gyre-omotesando.com
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あらゆる境界を超えた、多様な個の祝福。
『KYOTOGRAPHIE 2022』
第10回を迎える本写真祭のテーマはONE。「一即十」「十即一」という言葉が示すように、一が個を十が全体を表す時、ひとつ(個)がそのものとして全体を自らに含みながらほかのすべてと同体の関係にあるという概念を基調に、関わり合うあらゆる個の存在とその多様性を讃える。巨匠アーヴィング・ペンの強烈な個性あふれる肖像写真。アフリカ、ヨーロッパ、アジア、アラブの国境を超えた、文化的融合を象徴的に提示するマイムーナ・ゲレージ。イサベル・ムニョスがダンサー田中泯と誉田屋源兵衛当主の山口源兵衛を撮影、写真とともに山口が写真を織った帯を展示。さらに将来的に活躍を期待される、10人の日本人女性写真家に光を当てた展示が予定される。例年以上に国際性が強化されそうだ。
会期:開催中~5/8
京都文化博物館 別館、京都市美術館別館、出町桝形商店街など(京都)
営)展示会場による
無休
料)一般¥5,000(パスポート)
●問い合わせ先:
tel: 075-708-7108
www.kyotographie.jp
>>『KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭 2022」が開幕、第10回目は見どころ満載!【Editor's Blog】
新型コロナウイルス感染症の影響により、開催時期および開館時間が変更となる場合があります。最新情報は各展覧会のHPをご確認ください。
*「フィガロジャポン」2022年6月号より抜粋
text: Chie Sumiyoshi