2世紀後に人類は絶滅する?

Culture 2022.05.04

減少し続ける出生率は、人類にとって大きな脅威となっている。モンペリエ大学病院の生物学科長サミール・アママ氏はル・ポワン紙に掲載されたインタビューで警鐘を鳴らした。

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社会が持続するには、家庭ごとに2.6人の子どもが必要。だがフランスではその数が1.83人に下がっている。photography: Getty Images

2022年、不妊症はいままで以上に注目される課題となり、公の場で活発な議論が交わされるようになった。2月末に連帯・保健省(フランスの厚生労働省にあたる機関)に提出された報告書によると、フランスでは330万人が不妊症に悩んでいるという。この報告書はフランスにおいて不妊症に関する初の国家計画を報じたもので、その共同製作者であるサミール・アママ、モンペリエ大学病院生物学科長は3月22日、ル・ポワン紙に掲載されたインタビューで人類の未来に対する危惧を語った。

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人類にとっての脅威

「我々のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)が危機的な状態にあることは承知していましたが、現状はその懸念を超えるものです。人類全体が絶滅の危機に面しているのです」とアママ氏は語った。「最も悲観的なシナリオによれば1世紀半後には絶滅すると予想されています。最も楽観的な見方でも2世紀後だと」

裏付けとしてアママ氏はまず出生率の下落に言及する。社会を継続するには1家族あたり2.6人の子どもが必要だが「フランスでは一人の女性に対しての出生率は1.83人まで下がりました。ポルトガル、スペインやイタリアでは1.3人です」。中国ではもっと深刻な段階に達していて、40~50年後には「人口が5割減になるかもしれない」とアママ氏は推測する。

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打撃を受けた精液、より高年齢の妊娠願望

不妊の10~15%は原因が分かっていないが、それ以外は、ある程度解明されている。その一つは30年ほど前から懸念されている精子の量の減少(半分以下)とその質の劣化だ。また女性が子どもを持ちたいと思うようになる年齢がどんどん高くなっていることも指摘される。「現在、30歳の女性の25%が不妊の問題に直面する可能性があり、40歳だとその数が倍になります」とアママ氏は説明する。

不健康な生活習慣も考慮されるべきだ。「肥満、ストレス、喫煙、お酒やコーヒーの大量摂取、そして睡眠不足。これらすべてがリプロダクティブ・ヘルスに悪影響を及ぼします」とアママ医師は言う。

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中学校から予防を

サミール・アママ氏と、若者を支援する福祉団体シュマン・ダヴニールの会長であるサロメ・ベルリウ氏はリプロダクティブ・ヘルスの問題と向き合うため、21の改善策を提案した。これらは国レベルで行われる対策として位置付けられる。

その一つに、日常的に使う商品に貼ることのできる“生殖器官に有害”というラベルの作成が提案されている。ホルモン循環機能を妨げる内分泌かく乱物質を消費者が見分けられるようにするためだ。国立がんセンターのような国立の生殖研究機関の設立も要望の一つに含まれている。

予防対策としては29~45歳の男性と29~37歳の女性には配偶子バンクでの保存を強く勧める。現在フランスでは生命倫理法により医学的理由がある場合のみ配偶子を保存できるが、理由がなくても保存できるように変更することを要請している。しかし後に生殖補助医療で妊娠を希望した場合「不妊の問題が完全に解消されるわけではありません」とアママ氏は付け足す。「不妊症の3分の2のケースでは、解決策にはならないのです」

子どもを持ちたいと思うずっと前から、つまり中学生頃から出生力について教えることによって「リプロダクティブ・ヘルスを保つために必要なカギ」を与えることができるとアママ氏は言う。「これは出産奨励の政策ではりません。人類保存のためであり、それ以上でも以下でもないのです。私たちはその共同責任を担っているのです」

text: Tiphaine Honnet translation : Hide Okazaki, Hana Okazaki (madame.lefigaro.fr)

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