マダムフィガロ誌エディターが辛口トーク! モデルはあの人!?「エミリー、パリへ行く」の噂話を大公開。
Culture 2022.05.18
シカゴからやって来たエミリーがパリを舞台に奮闘するNetflixオリジナルドラマ「エミリー、パリへ行く」。シーズン2も配信中の大人気ドラマには、フランス版マダムフィガロ誌のジャーナリストも登場。ビビッドなファッションから、あの人物のモデルはあの人!? なんて噂話まで、マダムフィガロエディター3人がぶっちゃけトーク!
madame FIGARO editors
左:ファッションウィークを網羅し、連載「une série, un style」も持つチーフモードジャーナリストのマリオン・デュピュイ。中央:映画やドラマの記事やセレブのインタビューを多数手がける、ピープル、モード担当のマリオン・ジェリオ。右:ウェブサイトでピープルとファッションを担当し、Netflixドラマ関連の記事を多数執筆するクロエ・フリードマン。
>>前編 パリジェンヌ視点で。「エミリー、パリへ行く」はここに注目!
エミリーの会社がPRを手がけているのは、実際に2021年6月に発売し、即完売となったベスパとディオールのコラボスクーター(参考商品)/ディオール(クリスチャン ディオール)
登場人物のキャラクターはリアル?
マリオン・ジェリオ(以下MG) シルヴィを演じたフィリピーヌ・ルロワ=ボーリューは、ファッションウィークのフロントロウに返り咲いたよね。
マリオン・デュピュイ(以下MD) 若手デザイナーのショーでランウェイも歩いていたし、彼女はシルヴィという役柄がイメージさせる世界に返り咲いた。60歳近くにして、美しくてセクシー。演じた役柄自体も、ドラマの中でいちばんリアリティがあるし、大きなエージェンシーの女性ボスで、現実に彼女のような人は存在する。
MG ルックもシックで現実的だけれど、彼女自身のボディラインもきれいだよね。
クロエ・フリードマン(以下CF) 身体に沿った服を着ているけれど、それがすごくよく似合っている。
MD 水着姿も綺麗だった!
CF 50代で、仕事も恋も最前線というパリジェンヌ像は現実に近いと思う。自分を認めながら、同時に冷静な目も持つ大人の女性は周囲にたくさんいるもの。
MD 彼女はちょっと意地悪で、厳しい部分も持っている。それは風刺的な女性ボス像でもあるけれど、でも、実際にこういう人はいると思う。
MG このちょっと冷めた感じ、いるよね。
MD モードやPR業界では特にね。あとクチュリエのピエール・カドーは、ピエール・カルダンとカール・ラガーフェルドのミックスだと思った! リアリティもあるけれど、あまりに誇張されていてイライラした(笑)若いデザイナーのグレゴリー・エリオット・デュプリーも、すごく風刺的に描かれていたしね。バレンシアガのデムナに近いラッパーやエレクトロポップな感じがあって、モード界の一部を反映している。ただ、このドラマでは、何をとってもすべてが極限まで誇張されているかな。
クチュリエのピエール・カドー(左)は、ピエール・カルダン(中)とカール・ラガーフェルド(右)のミックス的存在。シーズン1では、エミリーを「ランガード(ダサい女)」と呼んだことも。
シーズン2で登場したピエール・カドーの元弟子グレゴリー・エリオット・デュプリー(左)。老舗メゾンに物申す若きデザイナーはデムナ(右)を彷彿とさせる!?
シルヴィは、ドラマの中でいちばんリアル! 風刺的な女性ボス像でもあるけれど、実際にこういう人はいる。モードやPR業界では特にね。
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ますますこじらせていく、ガブリエル(左)とカミーユ(中央)とエミリー(右)の三角関係。まるでそれは『突然炎のごとく』のごとく!?
リュックに連れられて、フランソワ・トリュフォー監督作『突然炎のごとく』を観るエミリーだが、フランス的な恋愛観をまったく理解できなくて……。
MG エミリーの同僚のジュリアンも、ゲイらしすぎるし、どの人物もやりすぎね。
CF あと、もうひとりの同僚のリュック。彼はいつも上機嫌で、軽快で……。私の友人たちは、「人間として、あんな様子はありえない」と言っているの。毎日ご機嫌なんて無理だもん。
MG 特に、パリではね(笑)
おなじみのエミリーの同僚たち。シーズン2では、ル・シャンポ映画館やペールラシェーズの墓地など、リュック(左)が由緒正しき? パリをエミリーに案内。
MD いつもクロワッサンを抱えてね。そういえばクロワッサンは、このドラマで重要な役割を果たしていると思う。
CF バターとハムのサンドウィッチもね。ペールラシェーズの墓地で、エミリーとリュックがランチタイムにサンドウィッチを食べるシーンがあるのだけれど、あまりにシュールなシチュエーションで、フランスの食が主役になっていると思った。
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オフィスの会議にも欠かせないクロワッサン。シーズン1でエミリーがお気に入りだった店は、ラ・ブーランジェリー・モデルヌ。
念願の店を持ったシェフのガブリエル。オープンイベントのシーンでは、マダムフィガロのジャーナリストが登場!
MD パリ暮らしでとてもステレオタイプな食の2大アイコンね。カフェのカウンターで食べるクロワッサンやハムとバターのサンドウィッチは、典型的なパリ!
MG もしかしたら、これがドラマに出てくるステレオタイプの中で唯一のリアルかもしれない。パリジャンは、本当にクロワッサンとハムとバターのサンドウィッチをよく食べる。なぜなら、フランスの中でも、パリで食べるのがいちばんおいしいから。私も、パリで食べるパンが、世界でいちばんおいしいと思っているわ!
「エミリー、パリへ行く」
シカゴでマーケティングの仕事をするエミリー(リリー・コリンズ)は、突然パリへ赴任。アメリカ式を煙たがる上司シルヴィや同僚たち、カミーユとガブリエルとの三角関係……文化も価値観も異なるパリで、仕事も恋も全力投球で楽しむエミリーをコミカルに描く。
●Netflixシリーズ「エミリー、パリへ行く」シーズン1〜2独占配信中。
text: Masae Takata (Paris Office) photography: Olivier Bardina (portraits), ©amanaimages Alamy/SIPA/Sipa USA/Sipa Press/Netflix Everett Collection, ©LYST