ロイヤルアスコットのドレスコード、大きな帽子の秘密。
Culture 2022.06.16
イギリスの有名な馬術大会でも、王室メンバーはベストドレッサーとして活躍。それは先祖代々から受け継がれた伝統だ。
ロイヤルアスコットでのキャサリン妃とカミラ夫人。(イギリス、2019年6月18日) photography: Getty
馬のショー“ロイヤルアスコット”は、何よりもエレガンスさを競うコンクールだ。
アスコット競馬場で開催される権威あるレースでは、毎年、豪華なドレスを着てパレードが行われている。イギリスのゴシック様式のイベントでは、招待客が全員ドレスアップし、王室メンバーはもっとも権威のある帽子をかぶるのが慣習だ。この帽子を着用する理由は、たんに美しいからということではなく、決まりに則ったもの。1768年にアン女王によって創設されたこの競馬場は、4つのスタンドそれぞれに厳しいドレスコードが決められているのだ。その最高峰であるロイヤルスタンドには、ドレスやパンツのサイズ、そして帽子に至るまで規制が設けられている。
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2022年版ロイヤルボックス(アスコット、2022年6月14日)に登場したチャールズ皇太子とカミラ夫人。photography: Getty
ロイヤルアスコットのスタンドで着用する帽子は、直径10cm以上の大きさが必要で、男性はトップハットが義務づけられている。エリザベス女王のプラチナジュビリーで派手な被り物「ファシネーター」を着用したキャサリン妃も、ここではファシネーターは禁止されている。ロング丈、透け素材、胸の谷間が見える、ロゴ、ダボダボのパンツスーツなどもNGアイテムだ。
とはいえ、あまり心配することはない。ロイヤルアスコットは毎年、ドレスコードで混乱しそうな人のためにガイドを発行している。2008年、主催者はドレスコードについて注意を促した。この社交場が人気を博した結果、服装にこだわらない一般市民が増えたからだ。本年度のスタイルガイドは、なんと36ページに及んだ。自分に似合う帽子を探すには、十分な情報量といえるだろう。
text: Mitia Bernetel (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi