早死にのリスクを減らすには、一日2杯のコーヒーを。
Culture 2022.07.24
砂糖を入れても入れなくても、コーヒー愛好者は早死にするリスクが低い。中国の研究機関が5月31日付の「アナルズ・オブ・インターナショナル・メディシン」誌で発表した。
アラビカ、ロブスタ、エクセルサ……コーヒーはフランス人の日常の中で特別な地位を持っている。photo: Getty Images
アラビカ、ロブスタ、エクセルサ……コーヒーはフランス人の日常生活において特別な位置を占めている。フランス世論研究所がC10社の依頼で実施し、2018年10月に発表した調査によると、フランス人の62%が朝食時にコーヒーを飲んでいるという。しかし、一日に何杯もエスプレッソを飲むのは健康に良いのだろうか? 科学者たちはこれにイエスと答えた。健康に良いし、身体を守ってくれさえする、と。
日常的にコーヒーを摂取することと、早死するリスクが減少すること、このふたつには関連性があることを、中国広東省の南方医科大学の研究チームが突き止めたのだ。5月31日の「アナルズ・オブ・インターナショナル・メディシン」誌に発表された彼らの研究では、適量の砂糖を加えた場合でもコーヒーの有益な効果が損なわれることはないと示唆した。コーヒの摂取量が一日1.5杯以上になると、早死のリスクが低くなるそうだ。
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早死のリスクを減らすにはコーヒーを2.5から4.5杯
研究者たちは英国バイオバンクの生物医学的データベースを利用して、循環器系やがんなどの病歴がない、37~73歳の17万1,616人のイギリス人の情報を集めた。このデータベースに2009年から2018年まで7年間の情報が収集され、途中で死亡した3177人の死亡診断書もくまなく調べられた。
年齢、性別、喫煙の有無、運動量、BMI、食生活などを考慮した後、コーヒーを飲まない人と比べて、砂糖なしのコーヒーを飲む人の方が、死因に関係なく死亡のリスクが低いことがわかった。もっと正確に言うと、コーヒーを一日2.5~4.5杯飲む人はその数年後に早死するリスクが29~31%減っていた。
砂糖入りのコーヒーを一日1.5~3.5杯飲む人にも同じ効果が現れた(リスクは28%減)。しかし砂糖の代わりに人工甘味料を使う人の場合、早死のリスクは下がらなかった。理由はまだ判明していない。
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抗酸化成分の役割がカギ
フランス国立衛生医学研究所(Inserm)の名誉所長を務めるアストリッド・ネリッグによると、この結果は科学界ですでにわかっていることの追認に過ぎないとのことだ。「心臓血管発作のリスクを減らすには、1日3~5杯のコーヒーが最適な量であり、あらゆる死因、またいくつかの種類の癌のリスクもある程度減らすことができることが示されています」
なぜそのような効果があるのか? 適量のカフェインの興奮作用のせいなのだろうか? この研究が示したもう一つの意外な結果がある。コーヒーはインスタントでも、ひいたものでも、ノンカフェインでさえも、長寿に関しては同じ効果を発揮する点だ。アストリッド・ネリッグが説明するように、カフェインは覚醒作用を及ぼすので事故のリスクを減らすことができる。しかしノンカフェインでも、コーヒーには健康上の大きな利点があるのは抗酸化成分を有することに由来する。「抗酸化成分は細胞の老化を防ぎ、DNAの破損を抑え、細胞組織の炎症を減らします」と彼女は説明する。
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限界
しかし、これらの研究結果を読み取るには慎重さが必要だと彼女は指摘する。「これはある一面から考察された研究論文であり、ここで得られた結果は別の角度からも検証を深めていかなければなりません。さらに、栄養バランスの採れた食事などライフスタイルに関連する他の要因によってもこの結果を説明できるかもしれません。研究対象がイギリス人であり、彼らは紅茶を飲むことも心に留めておきたいですね。紅茶も抗酸化成分の貴重な源ですから」
科学者たちは、コーヒーに入れる砂糖の量にも注意を促す。研究に参加した人たちは適量、すなわち小さじ1杯強の砂糖を入れていた。市販されているドリンクには、比べ物にならないほどの量が加わっている。ニューヨーク・タイムズ誌にはスターバックスのドリンクに注意を喚起する記事が載った。記者が得た情報によると、キャラメルマキアートのグランデサイズには25gの砂糖、すなわち研究対象における砂糖入りコーヒーの5倍の量の砂糖が入っていることになる。“自家製”に限定したくもなりますね。
text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki