水を通して人間を語るアーティスト、ロニ・ホーンの言葉。

Culture 2022.08.26

透明の水鏡に自身を映す、孤独の楽しみ方。

ロニ・ホーン

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RONI HORN
1955年、アメリカ・ニューヨーク生まれ、同地在住。 写真、彫刻、ドローイング、本など、多様なコンセプチュアル作品を制作。2021〜22年、ポーラ美術館で開催された個展は国内の幅広い層に支持された。

 

循環し続ける「水」について教えてくれたのはアイスランドの大地

アメリカの現代美術を代表するアーティスト、ロニ・ホーン。きわめて理知的でコンセプチュアルであると同時に、凛とした詩的な美しさを持つその作品世界は自然と密接に結びついている。なかでも、多くの作品の主題やモティーフとして選ばれてきたのが「水」だ。代表作のガラスの彫刻はまるで水を湛えたような透明感と数トンにも及ぶ重量感がパラドキシカルに共存し、太古より極地に存在する氷河を彷彿させる。「悠久の年月を経て生成されてきた水に、何度も引き寄せられてきました。その度に、水と初めて出合うかのように新しい発見があります。尽きることなく豊かで、透明で、全知で、循環し続ける水について教えてくれたのはアイスランドの地です」と、ホーンは語る。1975年より、彼女は人里離れた辺境の風景を求めてアイスランドの島を旅し、たったひとりで荒涼とした自然と自身の深い思考に向き合ってきた。

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「いま社会には孤独感が蔓延していますが、孤立ではなく、ひとりでいることが私の性分に合っているのです。孤独は私を楽しませ、創作に集中しやすい環境を作ってくれる」

激変する社会情勢や価値観と一定の距離を保ちながら、物事の本質を見つめようとしてきたホーンにとって、孤独の美学とは、透明な水鏡に自身を映し見るような「内省(Reflection)」の時間と空間にある。

※ポーラ美術館個展(~2022/3/30)にて来日時のインタビューより。

【関連記事】孤高と対話する愛おしき時間、ロニ・ホーンの世界へ。

ポーラ美術館開館20周年記念展
『モネからリヒターへ 新収蔵作品を中心に』
会期:開催中〜9/6
ポーラ美術館(神奈川・箱根)
営)9:00~17:00
休)無休
料)一般¥1,800

●問い合わせ先:
tel:0460-84-2111
www.polamuseum.or.jp

*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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