エリザベス女王の国宝級のジュエリーコレクション、受け継ぐのは誰?
Culture 2022.09.13
数々の宝石を散りばめた王冠やティアラ、真珠のネックレスやブローチなど、エリザベス女王が有していた世界有数のジュエリーコレクションをいったい誰が相続するのだろう。
宝石を身につけたエリザベス女王。photography: Bettmann/Getty Images
70年にわたって君臨したエリザベス女王の死去は世界に衝撃を与えた。新国王チャールズ3世が即位する一方、バッキンガム宮殿ではこの異例の相続手続きに対処すべく、すでに準備が始まっている。
イギリス王室のジュエリーコレクションは世界有数のプライベートコレクションのひとつだ。これまで女王が身につけていたり、キャサリン妃などロイヤルメンバーに貸与されていたりした時に目にしたかもしれない。このコレクションは明確に二分することができる。ひとつはロンドン塔に収蔵されているイギリス王冠の宝石、「クラウンジュエル」である。こちらは国有財産となっており、新国王チャールズ3世と王妃(クイーン・コンソート)となったカミラ妃が受け継ぐことになる。もうひとつはエリザベス女王個人の「ロイヤルコレクション」である。
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家族で受け継がれるもの
この「ロイヤルコレクション」(一説にはジュエリー300点以上、うちブローチは98点以上)は、女王の子どもらに受け継がれることになる。その多くは、エリザベス女王の母、クイーン・マザーことエリザベス王太后や、さらにその前の祖母メアリー王妃から受け継がれたものだ。これまでキャサリン妃が「ロイヤルコレクション」のジュエリーを身につけて公の場に登場したことが何度かあった。いずれの場合も女王から貸与を受けたにすぎない。今日、「ロイヤルコレクション」の大半はチャールズ国王夫妻が引き継ぐにせよ、キャサリン妃もある程度使えるようにすべきだと考えている国民も多い。もっとも相続人にはアン王女とその子どもたち、アンドルー王子とエドワード王子やその家族も含まれるため、最終的に誰が何を相続するのか、現段階では分からない。ただ、高額の相続税(イギリスでは価額の40%)を嫌って個人で直接相続せず、王室が所有する形で「ロイヤルコレクション」が維持されていく可能性もある。
一方、前述の「クラウンジュエル」は新国王にとって頭の痛い問題になりそうだ。「ニューズウィーク」誌によれば新国王に対し、大英帝国時代にイギリスが入手し、その後原産地から返還を求められている宝石を、このタイミングで返すように求める投稿がネットに増殖中だ。とりわけ何十年も前からインドから返還を求められているのが「コ・イ・ヌール」という名前のダイヤモンドで、これはイギリス東インド会社がインド洋で活動していた時代にイギリス王室に献上され、現在ではクイーン・マザーの王冠で輝いている。
text: Anne-Sophie Mallard (madame.lefigaro.fr)