エリザベス女王亡き後、アンドルー王子はどうなる?

Culture 2022.09.18

女王の棺に寄り添い、光の当たる場所に復帰したのものの、性的暴行で訴えられていたベアトリス王女ユージェニー王女の父親はまたすぐに日陰の身に戻ることになりそうだ。

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エリザベス女王を追悼するミサが執り行われたセント=ジャイルズ大聖堂を出るアンドルー王子。(エディンバラ、2022年9月12日)photography : Abaca

9月12日、エディンバラのセント=ジャイルズ大聖堂で執り行われたエリザベス女王追悼ミサに出席したアンドルー王子に軍服を着る権利は認められなかった。兄弟であるチャールズ国王エドワード王子アン王女とは対照的に、性的虐待で訴えられ不評を買ったアンドルー王子は平服で参列した。

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「イカれジジイ!」

ベアトリス王女とユージェニー王女の父で、ジェフリー・エプスタイン事件への関与が疑われているアンドルー王子は、今年4月にヨーク公爵の称号を剥奪された。エリザベス女王の末息子は1月半ばには軍の肩書きと慈善団体後援者の役職も取り上げられている。

アメリカ人女性ヴァージニア・ロバーツ・ジュフリーは17歳の時に富豪ジェフリー・エプスタインと人身売買共犯者のギレーヌ・マクスウェルの仲介で王子に紹介され、その際に性的暴行を受けたとして王子を訴えていた。アメリカで起訴されたアンドルー王子は女性に1200万ポンドを支払い、示談で決着をつけている。

英国は現在服喪期間にあるが、その間にアンドルー王子にどのような役目を任せるかは、ウィリアム皇太子とハリー王子の不和に加えて、王室がうまく乗り切らなければならない頭の痛い問題のひとつだ。女王の棺を乗せた霊柩車がエディンバラの中心部を通過した際、車の後ろを無言で歩く元ヘリコプター操縦士の王子に、通行人のひとりが「アンドルー、イカれジジイ!」と罵声を浴びせた。

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「ヨーク公が将来何らかの役目を維持することになれば、私は仰天するでしょう」

アンドルー王子は、イギリスとアルゼンチンが武力衝突した1982年のフォークランド紛争に従軍した功績で長らく国民の間での人気は高かった。先週末、女王が96歳で息を引き取ったバルモラル城の前で、集まった大勢の市民に王室メンバーが挨拶をした際には、アンドルー王子も王室メンバーに混じって姿を現した。

ロンドン大学の憲法学者ロバート・ハゼルによれば、国王チャールズ3世は今後、アンドルー王子を表に出さないだろうという。とりわけ新国王は現役王室の「縮小」を希望しているからだ。ウィンザー家の一員の軽はずみな行動が再びタブロイド紙の一面を飾ることがないように。また、王室メンバーの公務の数も減らす意向だという。

こうした路線変更は、アンドルー王子に痛手を与えることになるだろう。「王家の一員として、女王の息子として、彼が母親の死を悼むのは当然です」。しかし「ヨーク公が将来何らかの役目を維持することになれば、私は仰天するでしょう」とハゼルはフランス通信社に語った。去る3月、父であるフィリップ王配の追悼式典にアンドルー王子が出席した際も、多くの批判を招いた。アンドルー王子は女王の腕を取って会場に入り、ウェストミンスター寺院の中でも女王に付き添っていた。

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「お気に入りの息子」

アンドルー王子の公務引退は、未成年の人身売買容疑で逮捕されたアメリカ人投資家の故ジェフリー・エプスタインと王子との間に親交があったことで、王室が被った損害の深刻さを反映している。2019年にアンドルー王子が応じたBBC放送のインタビューは大失敗に終わり、事態の修復には至らなかった。

アンドルー王子は女王の「最愛の息子」としばしば言われてきたが、その女王も、一部の関係者によると、息子のチャールズ国王と孫のウィリアム皇太子の説得で、2022年初頭にアンドルー王子から称号を剥奪している。「国民の支持を失った王国はすべて消滅しました」とハゼルは言う。「巧妙な君主なら、誰であれ常に世論に耳を傾け、機敏に対応します」。憲法学者によれば、チャールズ国王はアンドルー王子に関して「母親と異なる対応の仕方はしない」可能性が高い。

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女王のコーギーたち

去る6月、アンドルー王子の長年の友人であるギレーヌ・マクスウェルは、ジェフリー・エプスタインによる未成年人身売買に加担したとして、ニューヨークで禁錮20年の刑を言い渡された。王室伝記作家のロバート・ジョンソンは、叔父のアンドルー王子の公務復帰にはウィリアム皇太子が強く反対するだろうと指摘した。

アンドルー王子の王室追放にもウィリアム皇太子の意向が働いたと言われている。公務は退いているものの、依然として王家の一員であるアンドルー王子は、いまもウィンザー城の近くにある邸宅に元妻のサラ・ファーガソンと同居している。ふたりには女王の逝去によって取り残された愛犬たちを引き取るという重要な任務が託された。2匹のコーギー犬は2021年に元夫妻から女王に贈られていた。

text : Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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