「チャールズ3世の人気は2倍になりました」王室評論家の分析とは?

Culture 2022.09.25

エリザベス女王の国葬は、英王室の歴史上、特別な瞬間として残るだろう。王室評論家が、この特別な日の様子を分析した。

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エリザベス女王の国葬での、ハリー王子、ウィリアム皇太子、キャサリン皇太子妃、メーガン夫人、ウェセックス伯爵夫人ソフィー妃、エドワード王子。(ロンドン、2022年9月19日) photography: Abaca

エリザベス女王の国葬中、王室メンバーたちが感極まる姿が度々目撃された。チャールズ3世の涙からメーガン夫人の印象的な涙、女王の曽孫ジョージ王子シャーロット王女、そして女王の棺の前で団結するハリー王子ウィリアム皇太子……。

2022年9月19日は、「メグジット」やエプスタイン事件へのアンドルー王子の関与といった近年の衝撃を経て、新たな結束の象徴として、イギリス国民と王室の歴史に残る日になるだろう。国葬全体としては力強いイメージであったが、ロイヤルファミリーの細かな仕草や振る舞いも印象的だった。王室評論家のステファン・ベルンがこの日を振り返った。

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――エリザベス女王の国葬について、どのような印象をお持ちですか?

ステファン・ベルン: 群衆が印象的でした。ウィンザー城を訪れた参列者だけではありません。少なくとも30万人の人々が最後の弔問に訪れ、女王の棺の前に集まりました。ジョージ王子とシャーロット王女、ふたりの曾孫も参列し、家族の団結を象徴していました。厳かで英国への敬意が感じられました。最後に、ウィンザー城で女王の棺を待つ2匹の愛犬の映像が印象的でした。

――当日は、非常に厳格な儀式に沿って忠実に行われました。エリザベス女王の国葬は身近に感じられるものでしたか?

それに関してはわかりません。私自身、ひとりの父親という立場から、母親を亡くした際の子どもの振る舞いを(女王の子どもたちに)期待したのかもしれません。そう、チャールズ3世とエドワード王子の涙は王室を身近に感じさせてくれましたし、胸を打つものがありました。辛い時は他人や子どもを抱きしめたいと思うものだと彼らの立場になって想像しましたね。儀式から少し離れて。しかし、彼らには感情的にならないようにという使命感もあるのでしょう。

――今回の国葬で、イメージ的に難しかったのは、王室の結束がいかに回復したかを示すことでした。それには成功したのでしょうか?

全体的に結束力が感じられました。しかし、その背後には、まだ険悪な空気が流れていることも確かです。

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休戦の舞台裏

――この瞬間をきっかけに、ハリー王子とウィリアム皇太子の仲が休戦、あるいは少なくとも和解したと考えてもよいでしょうか?

それは事実です。お互いに話をし、電話し、顔を合わせる11日間という時間がありました。その後、ハリー王子の制服からエリザベス女王のイニシャルが外されたという騒動がありました。公務を退いていることを理由に職員によって外された可能性が高いようです。

――しかし、国葬では、ふたりの和解の可能性については何も明らかにされませんでした。これもまた、儀式を尊重してのことでしょうか? メディアから身を守るための手段なのでしょうか?

確かに一見変化は見えませんが、実際はわかりません。エリザベス女王は良い影響を残したのでしょう。エリザベス女王は、結束を強く望み、死去後、一族の結束を固めることに成功しました。皆、お互いに話し合う機会があったと思います。良い方向へと進んだのでしょう。私は常にポジティブに捉えています。

――キャサリン皇太子妃とメーガン夫人のライバル関係を払拭することができたのでしょうか?

温かな雰囲気とまでは言いませんが、少なくとも表向きは、以前のような不仲なムードや不信感はありませんでしたね。わりと良い関係が築けていることがわかりました。特に、ウィンザー城の前に一緒に出て、女王に捧げられた品々を見たり、観客に挨拶したりしたときにそう感じました。

――葬儀中はいかがでしたか?

メーガン夫人の感極まった姿と涙が印象的でした。彼女はとても良い女優なのかもしれませんね。

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今後のメッセージ

――ジョージ王子とシャーロット王女の存在は、なぜ重要だったのでしょうか?

彼らは、未来への投影であり、国民全体へのメッセージです。未来が具体化され、継続性が保証され、ある種の永続性があるという意味で、非常に重要です。これらはすべて、女王にとどまるものではありませんから。

――彼らは、英王室のコミュニケーションのひとつともなった国葬で貴重な戦力となりました。

確かに、しかしそれだけではありません。この国葬の記憶がいつまでも心に残るように、残された家族たちは一丸となったと思います。子どもたちの記憶に、今日という日、そして愛する曾祖母のことを残していけるようにと。この11日間は大忙しでした。イギリスはこの期間、世界の首都となり、エリザベス女王は世界中の話題の中心となりました。

――継続性という点で、キャサリン皇太子妃とウィリアム皇太子の立場はいかがでしょうか? また、国葬での姿については?

次は自分たちだという意識の表れが見えました。完璧だと思います。

――完璧すぎますか?

いや、王室である以上、完璧すぎるということはありえません。なぜなら、人々に夢を与え、愛されるために存在するからです。模範を示さないといけないのです。

――チャールズ3世の次の家族の課題は何だと思われますか?

息子のハリー王子と事態を収拾し、一家の長として、君主として、地位を確立しなければならないことでしょう。

――難しい課題ですか?

国葬の勢いに乗じて好転すると思います。英国民は王室を支持しています。その証拠に10日間で、チャールズ3世の人気は2倍になりました。彼は国王なのです。人々は女王同様、チャールズ3世を愛するでしょう。

text: Pascaline Potdevin (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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