ヴィクトリアズ・シークレットの元エンジェルたち、「ゴミ」から生まれたランジェリーをまとって登場⁉
Culture 2022.10.09
アメリカのランジェリーブランドの元エンジェルたちが、雑誌「モア・オア・レス(More or Less)」の誌面に廃棄物をリサイクルしたランジェリーで登場した。
ジェイミー・パールマンが創刊したファッション誌「モア・オア・レス」の誌面で、アップサイクルのランジェリーを着るモデルたち。(2022年9月29日)photography: More or Less
アメリカのランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」の元エンジェルたちにとっては180度の方向転換とも言える。彼女たち9人がまとうのはレースではなく廃棄物で作ったランジェリー、そして登場するのはランウェイではなく雑誌「モア・オア・レス」の誌面だ。一連の写真のテーマはゴミ。アレッサンドラ・アンブロジオ、キャンディス・スワンポール、ステラ・マックスウェル、サラ・サンパイオ、マーサ・ハント、エルザ・ホスク、リリー・オルドリッジ、ライス・リベイロ、レオミー・アンダーソンは捨てられたおもちゃとゴミ袋で作ったランジェリーを着ている。これは「ケザコ(Kezako)」という、実際には存在しないブランドの超アップサイクル製品という設定も含めて今回の企画を立てたジェイミー・パールマンはイギリス版「ヴォーグ」誌の元アートディレクターで、現在はオルタナティブで持続可能なファッションに特化した年2回刊行の同誌の発行人だ。
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地上のエンジェルは、翼を取りもどした
ジェイミー・パールマンは実業家のレスリー・ウェクスナーの傘下にあるヴィクトリアズ・シークレットの元アンバサダーたちに廃棄物を着せることで、同ブランドを強烈に風刺した。レスリー・ウェクスラーは悪名高いジェフリー・エプスタインの朋友で、いまや凋落が激しいアバクロンビー&フィッチをかつて成功させたことでも知られる。ヴィクトリアズ・シークレット社の悪い風習はたびたび批判されてきた。まず槍玉に上がったのがモデルの扱いだ。2019年、モデルたちがセクハラ防止を同社に求めて公開書簡を発表した。さらに、やせることを強いられた「エンジェル」の過酷なダイエットを糾弾する声も相次いだ。また、環境問題に無頓着なことも指摘されている。
2012年、同社は国際環境NGOグリーンピースに対し、2023年までに自社製品を汚染物質ゼロにすることを約束した。2016年、グリーンピースは初報告書を発表し、同社が目標に向けて一切努力をしていないことを指摘した。今回の誌面には、不気味なゴミ袋の翼を背負ったキャンディス・スワンポールと、ペットボトルでできたボディスーツを着たアレッサンドラ・アンブロジオが登場した。それはあたかも変化を迫る天使の姿のようにみえた。
text: Rose Casado (madame.lefigaro.fr)