ペネロペ・クルスを堪能するアルモドヴァル作品全7本。

Culture 2022.11.02

ペドロ・アルモドヴァル監督にとってペネロペ・クルスは、年下の、導くべき美しい女優などではなかったのだな、と、7本のラインナップを見て思う。ペネロペ・クルスはアルモドヴァル監督にとっての「母」。アルモドヴァル作品では、ペネロペ・クルスが出演していない時でも、たとえば『トーク・トゥー・ハー』などで女性が新しい命を身体に宿すということへのさまざまな解釈や、他者とのぎりぎりの関係が色鮮やかに描かれてきた。残酷で、華やかで、度肝を抜かれるストーリー展開(特に登場人物の目的や意図が)のなかで、むしろ正統に美しく、色香があふれ出ているペネロペは、まさに監督にとってのマドンナ。包容力のある、強い生きざまの女性だ。一度、ペネロペ・クルス本人に間近で会って話を聞いたことがあるが、ソファの上で裸足で胡坐をかいた自然体な姿は、同性の私でも恋に落ちそうなくらい愛らしく、そして艶やかだった。コケティッシュという言葉は彼女のためにあるんだ、と感じた。可愛らしいのに野性味あるしたたかな佇まいで、アルモドヴァルの作品をいっそう情熱的で豊かなものに昇華させていく「究極的女」の存在感。この7本で堪能してほしい。

『パラレル・マザーズ』

写真家のジャニスは法人類学者の男性と不倫関係の末、妊娠。産院でアナという女性と知り合い、同日に出産したふたりは子ども取り違えに遭う。再会後、ふたりの関係も変化し……。

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●監督・脚本/ペドロ・アルモドヴァル
●出演/ペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、イスラエル・エレハルデほか
●2021年、スペイン・フランス映画 ●123分
●配給/キノフィルムズ
●11月3日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほか、全国にて順次公開。
https://pm-movie.jp/

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『ペイン・アンド・グローリー』

アルモドヴァル監督の自伝的映画。心身ともに疲弊した映画監督が、薬中毒になった俳優と再会し和解に努める。ペネロペ・クルスは、主人公が子ども時代の母親を演じる。

Penelope_CruzxPedro_Almodovar-07-221101.jpg©El Deseo.

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●監督・脚本/ペドロ・アルモドヴァル
●出演/アントニオ・バンデラス、アシエル・エチュアンディア、レオナルド・スパラーリャ、ペネロペ・クルスほか
●2019年、スペイン映画 ●113分
●Blu-ray ¥5,280 発売:キノフィルムズ/木下グループ 販売:キングレコード
https://pain-and-glory.jp/

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『アイム・ソー・エキサイテッド!』

マドリッドからメキシコシティに向かう飛行機内。ゲイの客室乗務員や新郎新婦、ひとくせある乗客と乗員たちによる、毒っ気たっぷりのドタバタコメディ。

Penelope_CruzxPedro_Almodovar-06-221101.jpg©EL DESEO D.A.S.L.U. M-39978-2012

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●監督・脚本/ペドロ・アルモドヴァル
●出演/カルロス・アレセス、ハビエル・カマラ、ラウル・アレバロ、ロラ・ドゥエニャス、セシリア・ロス、ブランカ・スアレス、アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスほか
●2014年、スペイン映画 ●90分
●Bluray¥5,170、DVD¥4,180 発売・販売:松竹

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『抱擁のかけら』

かつて映画監督だった男が脚本家となり、ある仕事を依頼されたことから、過去の狂おしいまでの恋と、嫉妬と裏切りの記憶がよみがえり、新たな伏線を辿ることになる……。

Penelope_CruzxPedro_Almodovar-05-221101.jpg©EL DESEO,D.A.,S.L.U. M-2535-2009 ©2009Emilio Pereda & Paola Ardizzoni El Deseo

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●監督・脚本/ペドロ・アルモドヴァル
●出演/ペネロペ・クルス、ルイス・オマール、ブランカ・ポルティージョほか
●2009年、スペイン映画 ●128 分
● Blu-ray ¥2,200、DVD¥1,980 発売・販売:松竹

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『ボルベール<帰郷>』

母、娘、孫娘の3代にわたる女性たちを描く。娘パウラが、母ライムンダ(ペネロペ・クルス)の夫を殺したことから、物語は過去と絡み合
っていくのだが……。

Penelope_CruzxPedro_Almodovar-04-221101.jpg©Sony Pictures Classics/Everett Collection/amanaimages

●監督・脚本/ペドロ・アルモドヴァル
●出演/ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャスほか
●2006年、スペイン映画 ●120分

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 『オール・アバウト・マイ・マザー』

最愛の息子を失った母の想いを残酷に、鮮やかに描き、1999年度の米国アカデミー賞外国語映画賞受賞。夫との間の秘密を打ち明けぬまま息子を亡くし旅に出る彼女が出会うこととは?

Penelope_CruzxPedro_Almodovar-03-221101.jpg©1999 - EL DESEO - RENN PRODUCTIONS - FRANCE 2 CINEMA

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●監督・脚本/ペドロ・アルモドヴァル 
●出演/セシリア・ロス、マリサ・バレデス、ペネロペ・クルスほか
●1998年、スペイン映画 ●101分
●『オール・アバウト・マイ・マザーニューマスター版』Bru-ray¥2,750、DVD¥2,090 発売・販売:キングレコード

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『ライブ・フレッシュ』

フランコ独裁政権下のスペイン。若い娘が、バスの中で産気づき、男の子を産む。20年後彼はある女性に恋をするがふたりの関係は不安定な方向を辿って……。

Penelope_CruzxPedro_Almodovar-02-221101.jpg©Samuel Goldwyn Films/Everett Collection/amanaimages

●監督・共同脚本/ペドロ・アルモドヴァル
●出演/リベルト・ラバル、ハビエル・バルデム、フランチェスカ・ネリ、ペネロペ・クルスほか
●1997年、スペイン・フランス映画 ●101分

【合わせて読みたい】
▶︎▶︎ペネロペ・クルス独占インタビュー! 映画愛、そしてアルモドヴァルへの愛。

*「フィガロジャポン」2022年12月号より抜粋

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