ダイアナ妃との離婚を決定づけた、流出したチャールズ皇太子とカミラ夫人の電話とは?
Culture 2022.11.27
電話での会話が発端となったこの事件は、ドラマ「ザ・クラウン」新シーズンのなかにも登場する。1993年にイギリス王位継承者のイメージを損ねたスキャンダルを振りかえる。
1979年、当時皇太子だったチャールズ3世と人妻だったカミラ王妃。photography: Getty Images
1993年1月、バッキンガム宮殿を震撼させるすっぱ抜き事件が起きた。チャールズ3世(当時皇太子、以下同)が当時愛人だったカミラ夫人(現王妃)と夜間に電話で交わした(非常に)親密な会話がマスコミに流出したのだ。1993年1月17日、タブロイドの「ピープル」紙は電話の内容を報じた。国中あげての大スキャンダルとなり、王室のイメージダウンは免れなかった。しかもわずか1カ月前の1992年12月9日にチャールズ皇太子とダイアナ妃の別居が公表されたばかりだった。
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「君のズボンのなかで暮らしたい」
電話でチャールズ皇太子は「君のズボンのなかで暮らしたい」とあからさまだ。「パンツになりたいの?」と面白がるカミラ夫人。「それとも、神様お許しください、タンポンになるとか!」と、ウィリアム王子とハリー王子の父親は答え、「もうバカ......いいわね!」と笑いながらカミラ夫人は返した。その後も会話は続き、ふたりはお互いの距離と会えない時間、お互いの気持ちを堂々と語ることができないことを嘆いた。「どんな侮辱や苦痛、中傷に君が耐えていることか」とチャールズ皇太子が言ったのは、エリザベス女王の長男とカミラ・パーカー=ボウルズとの不倫関係についてイギリスでありとあらゆる噂が立てられていたからだ。「あなたのためなら何だって耐えられる。それが愛でしょう、それが愛の力よ」とカミラ夫人は力強く答えた。
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国中を騒然させたスキャンダル
このすっぱ抜きで王室は非常に苦しい立場に立たされた。しかしながらこんな名言がある。「決して言い訳せず、決して愚痴をこぼさない」。王室はこれを実践し、要するに沈黙を貫いた。一方、大衆紙はこぞってこの話題に飛びついた。その後明らかになったのは、この大胆な会話が隠し録りされたのが1989年のことで、当時チャールズ皇太子はダイアナ妃と別れていなかったし、カミラ夫人はまだアンドリュー・パーカー=ボウルズの妻だったことだ。
すでにタブロイド紙を定期的に賑わしていたイギリス王室のイメージはこのスキャンダルでさらに傷ついた。チャールズ皇太子とダイアナ妃の関係は全世界が注視する中で崩壊しつつあり、イギリスのマスコミはふたりの一挙一動を見逃すまいとしていた。エリザベス女王としてはさぞかし嫌な気持ちだったに違いない。何しろこの時期に四人いる子どものうち、三人が離婚したのだから。
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「ザ・クラウン」に登場
時が経ち、当時のイギリスで「タンポン・ゲート」などと呼ばれた事件はイギリス王室、とりわけ新国王チャールズ3世や、彼と再婚したカミラ王妃にとっていまだに不愉快な記憶だろう。「ザ・クラウン」で取り上げられてもそれが良い思い出に変わることはない。ネットフリックスのドラマのシーズン5でチャールズ皇太子役のドミニク・ウェストは、「エンターテインメント・ウィークリー」誌の取材に、「事件当時は下品でとても恥ずかしい出来事のように思っていた」と語っている。
しかしながら53歳のイギリス人俳優は続けて言う。「ふり返ると、またこのドラマで演じたことによって気づいたことがある。それは悪いのはこのふたりではないということだ。ふたりは私的な会話をしていた恋人同士にすぎない。今になってよくわかるのは、当時のマスコミがいかにひどく傍若無人だったかということだ。(この会話の)一字一句を印刷し、さらにある番号に電話すればオリジナルの録音を聴くことができたのだから。ふたりが体験したことを考えると、ふたりに対してとても同情的になるね」
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)