アメリカで話題の「飛行機ホーム」の住み心地は?
Culture 2023.03.12
文 / 山川真智子
アメリカでは、役目を終えたジェット機を購入し、自分好みに改装した「飛行機ホーム」に住んでいる人々がいる。いずれのオーナーも独自のテイストやポリシーを反映させたマイホームの出来栄えに満足しており、そこでの生活に魅力を感じている。
機体を格安購入 770万円で理想の家が完成。
災害で家を失ったことから飛行機で生活することを思いついたというのは、ジョー・アン・ウッセリーさんだ。CNNによれば、ウッセリーさんは航空管制官である義理兄のアドバイスで、廃棄処分される運命にあったボーイング727を2000ドルで購入。すでに所有していた土地まで運び、6か月間かけてほぼ1人で改装したという。
最終的に1500平方フィート(約140平方メートル)超の生活空間を確保し、ベッドルーム3室、バスルーム2つに加え、コックピットのあった場所には大きな浴槽まで作った。当時の金額で費用は3万ドル以下、現在の価格に換算すれば6万ドル(約770万円)に納まった。ウッセリーさんは1995年から1999年までこの飛行機ホームで生活したが、別の場所に移動させる際に機体が修復不可能なダメージを受け、住めなくなったという。もっとも、過去のインタビューで普通の家に住む気はなく、次はさらに大きいボーイング747に住んでみたいと話していた。
窓からの景色は抜群。孫たちも喜んで遊びにきていたという。
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エコな気持ちが大プロジェクトへ。
ウッセリーさんに刺激を受け、オレゴン州の森の中で20年以上も飛行機ホームに住んでいるのが、ブルース・キャンベルさんだ。くず鉄になる前にと、ギリシャの航空会社から古いボーイング727を買い取ったが、内装が古く、住めるようにするには何年もかかったという。結局総額22万ドル、現在の価値に換算すると38万ドル(約4900万円)の大プロジェクトとなった。
実はキャンベルさんの飛行機ホーム内は非常に簡素で、コロナ前は寒い冬になると毎年宮崎県に移動し過ごしていたという。日本でも飛行機ホームを構えようと2018年に2機目の購入を決めたが、航空会社側の事情で破談になったということだ。キャンベルさんの飛行機ホームはビジターを受け入れており、夏にはイベントも開かれているとのこと。航空機をリサイクルすることは正しいコンセプトだと主張しており、今の生活に後悔はないという。
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自宅を紹介するキャンベルさん。できるだけ機内の物をリサイクルしたという内装。
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実現は少ない…マイホーム化に高いハードル。
1機だけでもすごいのに、2機を所有する人もいる。テキサス州のジョー・アクスラインさんは、MD-80に10年以上住んでいるが、隣に置くDC-9を改装して映画館や音楽室などの娯楽施設にしようと考えている。
MD-80の飛行機ホームには、フル装備のキッチンに、リビングダイニング、主寝室、子供部屋、トイレ、シャワーが供えられ、すべて機内で完結する。唯一普通の家と違うのは、窓が開かないことぐらいだそうだ。飛行機ホームは近くの道路からも見えるため、毎日数人の見物客が立ち寄るといい、案内もしているという。
飛行機に乗った気分と便利さの両方を追及したという、アクスラインさん自慢の内装。
飛行機ホームに興味を持つ人は多いが、実際に行動に移す人は少ないという。アクスラインさんは、機内で生活するためには解決しなければならない問題があまりにも多いことが理由だとCNNに説明している。まずは適切な機体と置く場所を探すことが最初のハードルだということだ。お金だけでなく交渉力と忍耐力のある人に、ぜひ挑戦していただきたい。