ブルース・ウィリスを14年間支え続けるエマ・ヘミングの軌跡。
Culture 2023.03.13
ブルース・ウィリスの妻として14年、「前頭側頭型認知症」を患うブルース・ウィリスを支え続けてきたモデルのエマ・ヘミング。一家の大黒柱としての地位を徐々に確立しつつある彼女の軌跡を紹介しよう。
2017年2月、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたバスケットボールの試合に現れたエマ・ヘミングとブルース・ウィリス。photography: Getty Images
エマ・ヘミングはブルース・ウィリスを「自分の北極星」と呼んでいる。ブルースとの結婚から14年、エマ・ヘミングは今、夫をサポートしている。エマは、「前頭側頭型認知症」を患うブルースの病気と向き合わなければならない。「ブルースの病気は進行し、より正確な診断が下されました。それは前頭側頭型認知症です。残念ながら、コミュニケーション障害は、ブルースが直面している病気の症状のひとつに過ぎません」と、2月16日(木)に声明を発表した。
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エマは、この人生の試練を諦めない。44歳の彼女は、夫の大きな支えになっているのだ。映画『ダイ・ハード』(1988年)のヒーロー、ブルース・ウィリスが2022年3月に脳の損傷による言語障害「失語症」と診断され、俳優業を引退して以来、可能な限り充実した人生を送れるよう、できる限りのことをしている。エマ・ヘミングやブルース・ウィリスに近い関係者によると、彼が毎日様々な活動をすることで、身体と脳が鍛えられるようにしている、という。
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思い出いっぱい
また、エマ・ヘミングは娘のメイベル(10歳)とエヴリン(8歳)に楽しい思い出を作ろうとしている。「彼女は彼らに、ブルースを素晴らしくて楽しい父親として覚えていてほしいと思っている」と、ある関係者は雑誌「ピープル」に語っている。エマのインスタグラムには、その証拠として、家族写真や自然を満喫するショットが数多く投稿されている。
楽しくて、愛情深くて、寛大で、心の広い娘たちのパパ、父の日おめでとう。心から愛してる。
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エマ・ヘミングは闘病を支える意向だ。彼女は日常生活を円滑にするため、2月28日(火)、ブルース・ウィリスの抱える認知症の専門家であるセラピスト、ティーパ・スノーと面会したことをInstagramに綴った。彼女の61万4000人のフォロワーたちが、この活動に対する認識を高めるきっかけとなった。
「エマ・ヘミング@emmahemingwillisは、ブルースに必要なサポートをし、彼がよりよく生きるために必要な空間と日常生活を整え、全く驚くべき努力をしている」と、ティパ・スノーはインスタグラムの投稿にコメントした。またセラピストの彼女は最後に、「エマとその家族全員の努力と献身を祝福します。これは本当に驚くべきことです!」と綴った。
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デミ・ムーアの友人
長年にわたって一家の柱となったエマ・ヘミングの魅力に惹きつけられたのはセラピストのティパ・スノーだけではない。天然素材を使った美容製品ライン「CocoBaba(ココババ)」の創設者でもあるエマ・ヘミングは、デミ・ムーアを強い味方にしている。ブルース・ウィリスの元妻(1987〜2000年)であり、娘ルーマー(34)、スカウト(31)、タルーラ(29)の母親であるデミは、彼女に対して無慈悲な戦争を仕掛けるどころか、エマとかなり意気投合していると言われている。
「デミとエマはとても仲が良い。過去に何度も一緒に休暇を過ごしていますし、本当に仲がいいんです。彼らは本当に幸せな家族です」と、ふたりに近い関係者は2020年に雑誌「ピープル」に語っている。
とっても楽しい誕生日を過ごしました。
新型コロナウィルスの大流行時には、一家全員が一緒にロックダウンしていたほど。エマ・ヘミングはブルース・ウィリスのロマンス当初から、デミ・ムーアに関係について打ち明けていた。2008年1月、サンダンス映画祭で公開されたブルース・ウィリス出演の映画『トラブル・イン・ハリウッド』のアフターパーティにエマは出席した。
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山での滞在中に恋に落ちた
ブルースとエマが一目惚れしたのは、その前年、お互いのジムでワークアウトしていたときだった。当時、ブルース・ウィリスは『ダイ・ハード』(1988年)、『フィフス・エレメント』(1997年)、『アルマゲドン』(1998年)などの映画に出演し、皆が知る大スターだった。一方、エマはそれほど知られていなかったものの、『パフューム ある人殺しの物語』(2001年)、『Dangerous Seduction(原題)』(2007年)などの映画でいくつかの脇役を演じている。彼女はモデルとしてのキャリアでより知られている。
15年前の冬、彼に恋をした。
1978年6月にマルタで生まれたエマは、16歳のとき、英チャンネル4の「Find Me a Supermodel(原題)」で注目された。イギリス人の父とインド系ガイア人の母に育てられ、ロンドンで育ったティーンエイジャーは、カリフォルニアに飛び立った。それ以来、彼女はシャネル、クリスチャン・ディオール、ヴァレンティノのランウェイを歩いた。また、雑誌「ELLE」、「Town & Country」、「Glamour」などの表紙を飾ったこともある。2007年にブルース・ウィリスと出会ったとき、トップモデルの彼女はすでに15年のモデル経験があった。そして、間も無く恋に落ちた。
「出会ったとき、彼がとても魅力的で、面白くて、とてもハンサムなことに驚きました」と、彼女は「ピープル」のコラムで語っている。しかし、彼女がブルースと本当に恋に落ちたのは、山での滞在中だった。これは、2022年12月28日(水)に彼のInstagramアカウントで公開された、彼女と夫の懐かしい動画によって証明された。そこには、チューブセッションやスノーバイクで、スキーをしたり、笑いあったりする様子が映し出されている。「15年前の冬、彼に恋をした。#lovemavie」とエマは、投稿のキャプションに綴っている。
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華やかなカップル
2009年3月21日、二人はタークス・カイコス諸島で、そしてビバリーヒルズで結婚を誓い合った。2ヶ月後のメットガラでは、レッドカーペットで夫婦としての第一歩を踏み出した。2009年9月、エマ・ヘミングとブルース・ウィリスは雑誌「W」の表紙に登場し、ハリウッドの新たなセクシーカップルとしての地位を確立した。ブルースはシャツを脱いでポーズをとり、胸筋の上にタトゥーを入れている。エマは黒いウィッグ、スモーキーな目元、革の手袋をしている。
その3年後に第一子を出産し、2014年には第二子を出産。曇りなき幸せな日々、突然の病気の診断を受けた。2019年、結婚10周年を機に誓いを新たにしたのである。それ以来、エマ・ヘミングは希望を失わないように努めてきた。そしてエマは、時にはネットユーザーの怒りを買う危険を冒してまでも、夫の日常を記録し続ける。
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ドラマの女王
「悲しみにひどく打ちひしがれているけれど、それと共に生きる方法を学んでいます。ブルースの娘、スカウト@scoutlaruewillisが教えてくれたように、悲しみは最も深く純粋な愛の形なのです」と、2022年8月の投稿で述べている。感動的なメッセージだったが、エマがNational Grief Awareness Day(悲しみ啓発デー)にメッセージをシェアしたことから、この投稿は激しい批判にさらされた。
現状、ブルース・ウィリスは元気である。彼女を非難する人たちは、Instagram上で彼女を「ドラマの女王」と呼んで攻撃した。しかし、エマ・ヘミングは揺るがない。彼女はInstagramで、「恐怖に負けなかった」と語る夫に敬意を表し、その光を放ち続けている。
text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi