インスタレーションで、映像で、ダンスで、モノクロ写真で......「身体」に訴えかける、今月の展覧会4選!

Culture 2023.03.24

作品が呼び起こす、新たな波長と瞑想。

『インターフェアレンス』

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光、振動、波動など、身体に介入する揺らぎの感覚を通じて知覚探究を試みる4人の作家が、身体に干渉する日常の出来事の微細な尺度や境界を浮かび上がらせる。ガラスブロックに囲まれた展示空間に、振動により微妙なサウンドを発する半透明の糸を張り巡らせたスザンナ・フリッチャー。蝶々の鱗粉のように薄い光干渉顔料により、微細に色彩が変化する絵画を制作してきたフランシス真悟。普段は見えないギャラリーの隠れた場所の触覚を用い、意識下に潜む知覚を触発し、展示への干渉・衝突を試みるブルーノ・ボテラ。日常から離れ宇宙を感受する茶会を開催し、オンラインを通じて時空を超える体験へ誘い出す宮永愛子。いずれも新たな波長を生み出し、瞑想的な体験へと導く。

『インターフェアレンス』
会期:開催中〜6/4
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム(東京・銀座) 
営)11:00〜19:00
不定休
入場無料 

●問い合わせ先:
tel:03-3569-3300
www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/230223

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災禍の渦中で、創作の営みを続ける作家たち。

『さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023』

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ミッドキャリアの作家への複数年の支援によって、飛躍を促すアワードの第3回受賞記念展。原発事故を契機に福島に移住した竹内公太は、第二次大戦中に日本がアメリカに放った「風船爆弾」の着地点をグーグルマップと米軍の文書記録から特定。現地調査を進め、風船爆弾の発射地のひとつである福島県いわき市で市民との散策会を敢行した。宮城県移住後に震災に遭った志賀は、12年にわたる復興計画の渦中、人間社会と自然、生と死を巡る、思考や土地に根ざした記憶をもとに制作してきた。この2年スタジオを開放し、トークやワークショップを実践したことで得た多角的な発想を本展に反映する。彼らの創作の営みは、災害や疫病、戦禍に脅かされる現代の生き方に示唆を与えるはずだ。

『さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021- 2023』
会期:開催中〜6/18
会場:東京都現代美術館 (東京・清澄白河)
営)10:00〜18:00
休)月
入場無料

●問い合わせ先:
tel:03-5245-1142
www.tokyocontemporaryartaward.jp/exhibition/exhibition_2021_2023.html

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大人が全力で表現する、子どもたちの超発想。

なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』

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子どもたちのアイデアを大人たち(プロのアーティスト)がなんとか作品にするプロジェクト『なむはむだはむ』。作家・演出家・俳優の岩井秀人、俳優・ダンサーの森山未來、シンガーソングライターの前野健太の3人は、子どもたちとのワークショップで生まれた奇想天外なアイデア(物語)を自由な解釈で見つめ直し、彼らがこれまで培った身体表現や音楽を全力で駆使した舞台作品や映像としてアウトプットしてきた。美術家・彫刻家の金氏徹平を迎える本展では、人と言葉とイメージが絡まり合うユニークな会場を生かして、子どもと大人の表現が真正面からぶつかり合い、多様な表現をクリエイション。腹筋がつるほど笑い続けるあの作品体験が、初の展覧会として館内全体に展開される。

なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』
会期:開催中〜5/7
会場:太田市美術館・図書館(群馬・太田) 
営)10:00〜18:00
休)月、3/28、4/25
料)一般¥500

●問い合わせ先:
tel:0276-55-3036 
www.artmuseumlibraryota.jp/post_artmuseum/183871.html

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「私写真」の視点に潜む、愛とユーモアと狂気。

『深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ』

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家族や愛猫など身近な存在にカメラを向け、プライベートを晒しながら、自己の内面に潜む狂気に意識を向けた写真家・深瀬昌久。写真の原点を求めて自身の私生活を深く見つめる視点によって、1960年代以降の日本の写真界に独自のポジションを築き、のちに「私写真」は主要な写真表現のひとつとなった。国内初となる大回顧展では、深瀬が遺した足跡を時系列に沿って紹介。73年の夏に覚悟を決め、妻に密着したシリーズ『洋子』では、多彩なファッションに身を包む表情豊かな洋子への愛情やユーモアとともに、時に過剰な演出の向こう側に写真家の狂おしさを垣間見て戦慄する。生涯カメラを自己探求の手がかりとして用いた深瀬作品に、現在の「セルフィ」に通ずる身体感覚も見いだせるだろう。

『深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ』
会期:開催中〜6/4
会場:東京都写真美術館(東京・恵比寿) 
営)10:00〜18:00(木、金は〜20:00)
休)月
料)一般¥700

●問い合わせ先:
tel:03-3280-0099
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4274.html

*「フィガロジャポン」2023年5月号より抜粋

text: Chie Sumiyosh

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