ハリー王子、ロンドンの裁判所に突然現れる。
Culture 2023.03.28
ハリー王子が3月27日、ロンドンに突然姿を現した。予想外の帰国は「デイリー・メール」発行元に対する訴訟の予備審問出席のためだ。
2023年3月27日、ハリー王子がロンドンで突然姿を表す。photography: Abaca
ハリー王子が3月27日、ロンドンの高等法院に出廷した。イギリスのタブロイド各紙を毛嫌いしているハリー王子の他、複数名のセレブが「デイリー・メール」紙の発行元を違法な情報収集で提訴し、その予備審問がおこなわれるからだ。
折しも父チャールズ3世はフランスへの公式訪問を延期したばかり。ハリー王子はタクシーで到着すると裁判所にすぐ入り、審問室の奥に陣取った。イギリス王室メンバーが自ら出廷するのは非常に珍しいことだ。
4日間にわたる審理中、「デイリー・メール」紙を発行する出版社アソシエイテッド・ニュースペーパーズはハリー王子、歌手のエルトン・ジョン、女優のエリザベス・ハーレイらによる訴えが却下されるよう弁明することになる。
ハリー王子の帰国は公表されている限り、昨年9月上旬のエリザベス女王の死去以来のことだ。そして5月6日の国王の戴冠式まで1カ月余りの時期でもある。
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イギリス国王らと会う予定はなし
2020年に公務を退き、米国へ移住したハリー王子と妻のメーガン夫人は国王の戴冠式に招待されているが、招待を受けるかどうかはまだ明らかにされていない。ここ数ヶ月、サセックス公爵夫妻が戴冠式に出席するために英国に戻るかどうか、英国メディアはあれこれ憶測している。ハリー王子夫妻による王室批判が激しくなってから報道はさらに過熱した。
2022年12月のNetflixドキュメンタリーの配信開始に続き、今年1月初めにハリー王子は回顧録『Spare』を出版した。そこには10代から薬物とアルコールに手を出していたことや、父チャールズ国王や兄ウィリアム皇太子との関係悪化が克明に描かれており、物議をかもした。
英国メディアの報道によると、ハリーはふたりのどちらとも会わないようだ。チャールズ国王はもともと3月27日から28日にかけてフランスに国賓として招かれていたが、マクロン仏大統領の年金改革をめぐってデモが激化するおそれのある情勢となったため、訪問が延期となった。もっともドイツ訪問の予定には変更がなく、3月29日にベルリンに発つ。いずれにせよ、バッキンガム宮殿によると国王はロンドンにも首都近郊のウィンザー城にもいない。
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タブロイド各紙と敵対するハリー
ハリー王子は、母ダイアナ妃が1997年にパリでパパラッチに追いかけられた末、交通事故死したのはタブロイド紙のせいだと思っている。自分の家族を報道し続けることを声高に批判し、これまで幾つも訴訟を起こしてきた。
今回、ロンドンで訴訟を起こした6人の原告は、アソシエイテッド・ニュースペーパーズ社による、あるいは同社のために行われた「数々の不法行為」の被害者であると弁護士のデヴィッド・シェボーンは主張している。具体的には、私立探偵を使った「不法なボイスメールの傍受、盗聴、電話料金や医療記録などの個人情報の詐欺的入手」などが含まれるそうだ。告発された行為のほとんどは1993年から2011年の期間におこなわれ、一部2018年のものも含まれる。
昨年10月初めに提訴が発表されたとき、同社は「30年前の古い記事に関連した盗聴スキャンダルにデイリー・メールを引きずり込もうとする計画的かつ組織的な試みにほかならず、ひどい中傷に対し完全かつ明確に」反論するとしていた。
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違法な盗聴疑惑
2000年代前半より十年ほど前まで、イギリスメディアはいくつもの違法な盗聴スキャンダルに揺れた。最初は2005年、ウィリアム皇太子やハリー王子に仕える王室関係者の電話を盗聴した事件だった。2011年夏になり、ミリー・ダウラーという失踪後遺体で見つかった少女の留守電をタブロイド紙「ニュース・オブ・ザ・ワールド」の記者が盗聴したことが判明し、騒ぎは頂点に達した。
この事件により、メディア王ルパート・マードックが所有していた同紙は廃刊となり、マードックはミリー・ダウラーの遺族に和解金200万ポンドを支払った。これまで盗聴されたセレブがタブロイド紙自体を訴えたケースは多いが、タブロイド紙「デイリー・メール」の発行元が訴えられたのはこれが初めてである。
text: La rédaction avec AFP (madame.lefigaro.fr)