5月6日のチャールズ王の戴冠式まであとわずか。ウェストミンスター寺院で行われるこの式への招待状およそ2000通はすでに発送され、そのデザインが一般公表された。
手がけたのはアーティストのアンドリュー・ジャミーソン。原画は透明水彩画とガッシュを用いて描かれており、リサイクルペーパーに印刷して招待状としたという。
中央上の王のイニシャルであるCを囲む左右の獅子、ユニコーン、イノシシの紋章は、英国王室とカミラ王女の父であるブルース・シャンド元陸軍少佐のもの。
それらに負けないくらいの圧倒的な存在感を放っている下の緑色の顔は「グリーンマン」と呼ばれるイギリスの民話に登場する人頭像で、再生と春の象徴とされている。花や枝で作られた冠をかぶり、イギリスの4国イングランド、スコットランド、北アイルランド、ウェールズの国花バラ、アザミ、シャムロック、水仙に囲まれているのが印象的だ。
周辺を飾るワイルドストロベリー、ブルーベル、コーンフラワーなどとともに、その合間に遊ぶ鳥のミソサザイとヨーロッパコマドリ、昆虫のマルハナバチやテントウムシは、どれもイギリスの春の草原でおなじみの生き物たち。愛らしく生き生きとした姿は新しい時代への期待と喜びで溢れている。
王室のインスタグラムは同時に過去の招待状も公開。そのなかには1953年の故エリザベス女王の戴冠式の際に、当時まだ幼い皇太子だったチャールズ王に宛てて特別に作られたものも。(上記インスタグラムの写真2枚目)絵本の挿絵のような獅子とユニコーンとともにバッキンガム宮殿の衛兵たちによる楽隊を描いたキュートで楽しい一枚となっている。
text:MIYUKI SAKAMOTO
在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。