ウサギのおまわりさんがアメリカの警察署で活躍中!
Culture 2023.05.06
カリフォルニア州ユバ市の警察署に、ウサギが“警察官”として配置されている。危険な任務ですり減る署員たちのメンタルをケアする役として、署内を駆け回りながら日々忙しく活動中だ。
パーシーという名のこのウサギには、 ウェルネス・オフィサー(健康担当官)の肩書きが与えられている。CBSの動画によると、署員たちはパーシーを抱きかかえ、毛並みを撫でながらつかの間のふれあいを持ち、緊張した心を解きほぐしている。
パーシーもまんざらでない様子だ。署員たちに完全に身を預け、鼻をヒクヒク動かしながら心地よさそうに目を細めている。
米CBSフィラデルフィア局や英BBCは、ディズニー映画『ズートピア』の主人公であるウサギの警官になぞらえ、「ホップス巡査」として紹介している。
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すさんだ心の回復に一役
署ではもともと、警察官たちの心の健康をケアする各種のウェルネス・プログラムを用意していた。パーシーもこの考えに基づき、警察官のメンタル回復に一役買うサポート・アニマルとして正式に採用された。
署のチェルシー・マクレディー警察業務分析官は、BBCの取材に対し、「このアイデアはジョークに近い形で始まったのですが、本当によく受け入れられるようになりました」と語る。
警察官のミシェル・ブラジルさんはこう語る。「少しのあいだ彼を抱えて撫でると、事態から距離を置くことができるような感覚です。自分を取り戻すことは、とても大切なんです」
パーシーのニュースは、カリフォルニアだけでなく全米各所で報じられているようだ。
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夜のパーシー通りから始まった
このウサギは2022年、夜間パトロール中の署員に懐いたのがきっかけで、正式に署で飼われることになったという。ユバ市警察のFacebookの投稿によると、署員のアシュリー・カーソンさんが巡回中、夜のパーシー通りをさまようウサギを見つけたことがきっかけだった。
彼女が声を掛けたところ、ウサギは駆け寄ってきて後ろ脚で立ち上がったという。そこを抱き上げ、安全のため保護した。ウサギは動物管理局に一時預けられたが、引き取り手は現れなかった。
心を痛めたカーソンさんは、このウサギにパーシーという名前をつけ里親となり、署の一員として迎え入れることに決めたという。いまではパーシーは署のあちこちの部屋を駆け回り、忙しく愛嬌を振りまいている。
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特製の「警察犬」ベストでお仕事中!
“勤務中”のパーシーは、特製のブルーのベストを着用し、りりしくも愛らしい姿を披露している。ベストには誇らしげな「POLICE K9」の文字が踊る。K9は犬科を意味するケイナイン(canine)の当て字で、POLICE K9で警察犬の意味となる。
大半の署員から好評を得る一方、署内を「パトロール」するウサギにどう接するべきか、百戦錬磨の警官たちにも戸惑う者がいるという。ユバ市警察は、「パーシーは保護されて以来、警察署でウェルネス・オフィサーとして活躍しています」と述べつつ、「ほとんどの人がパーシーと一緒にいることを楽しんでいますが、警察署の中にウサギがいるという発想に、まだ慣れていない人もいます(笑)」と明かしている。
text: Yamato Aoba