絶対にカップインできない、米女子ゴルフ大会が話題に。

Culture 2023.06.04

鮮やかなプレーを競うはずのゴルフ大会が、カップイン不能で途中キャンセルという異例の展開となった。

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photography: Shutterstock

米フロリダ州ハウィー・イン・ザ・ヒルズのエル・カンペオン・ゴルフコースで5月11日に開催された、NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン3女子ゴルフ選手権の第3ラウンド。308ヤード、パー4の6番ホールで、厳しいピンの位置がプレーヤーたちを悩ませた。

プレーヤー151人のうち6割ほどがプレーを終えていたが、悪天候により中断。晴天を待って再開されたが、傾斜のかかったグリーン上でカップがますますボールを嫌うように。何度打ってもホールアウトできないことから、大会側は「プレー不可能」と判断し、このラウンドを異例の途中キャンセルとした。

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放ったパットが帰ってくる魔のグリーン。

ソーシャルメディア上で公開された動画は、6番ホールの難しいピンの状況を物語る。プレーヤーがパターで慎重にアプローチするも、ボールはグリーン上で一瞬停止しかけたあと、じりじりと後退。ほぼ元通りに近い位置にまで転がり続け、このプレーヤーは静かに首を傾げたまま苛立ちを滲ませている。

別のプレーヤーによるパットでも、ピン近くの好位置にまで付けたあと、やはりボールはゆるゆると斜面を移動。こちらもほとんど元の位置にまで戻ってしまい、プレーヤーは無言でボールを凝視しやるせなさを漂わせた。

悲劇はさらに別の選手にも襲いかかった。ボールをグリーンに沈めようと挑むも、カップのフチをかすめる惜しい位置でかわされる。あとはただ坂を転がって戻り、1打ロスしただけの状態となってしまった。

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5%の傾斜、事前対策も効かず。

USAトゥデイ紙は、「カップぎりぎりに寄せたパットが、少なくとも10~15フィート(3〜4.5m)後退する様子が何度も」確認されたと報じている。米ゴルフサイトのWRXによると、パットを放った地点よりも遠くへ後退することもめずらしくなかったようだ。

問題の6番ホールは、グリーン右側に5%の傾斜がかかっていた。コースのスタッフが状況を緩和しようと事前に水を撒いていたが、米NBCは「ほとんど効果はなかった」と報じている。

午後8時になって大会委員会は、このラウンドを中止し大会スコアから除外する決定を下した。翌12日に雷雨が予想されていたことから大会はさらに短縮となり、全54ホールに切り詰められた。

NCAAは声明を通じ、「プレー不可能なカップ」を理由として、「第3ラウンドをすべてのフィールドを通じて公式にキャンセルすることを決定した」と発表している。「第3ラウンドでのプレーが実施されるにつれ、6番ホールのピンの配置が厳しすぎてプレーできないことが明らかになった」と詳細を説明した。

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「滑稽」なプレー……中止は正しかったとの評価も。

NBCによると、各ラウンドのピン位置については、コースではなくNCAAが責任を持つという。あるコーチは、「あそこにピンを設けるべきでないことは予見できたはずだ」と指摘した。2日前に行われた第1ラウンドでも、不適切と思われるピン位置が4つほどあったという。別のコーチは同局に対し、6番ホールでのプレーは「滑稽だった」と述べ、中止の判断自体は正しかったと評価している。

カップインの瞬間の爽快感がゴルフの醍醐味のひとつだが、問題の6番ホールはずいぶんと選手やコーチたちをやきもきさせたようだ。

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【動画】絶対にカップインできない…やるせなさを滲ませる選手たち。

 

 

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text: Yamato Aoba

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