LVMHプライズ2023を受賞した、桑田悟史とは?

Culture 2023.06.10

ブランド「セッチュウ(Setchu)」のデザイナー桑田悟史は、第10回LVMHプライズの審査員らを魅了した。非常に機能的なデザインを讃える、エレガントなシルエットだ。

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第10回LVMH賞を受賞した桑田悟史。(パリ、2023年6月7日) photography: LVMH

「セッチュウ」はInstagram上で約8600人のフォロワーを持つ、比較的マイナーなブランドだ。これは一部の有名ファッションブランドとは対照的であり、既にネット上で一定の知名度を持つブランドが多い中、「セッチュウ」はそのような経緯を経ずに成功を収めた。LVMHの審査員にはグループの旗艦ブランドから集められたジョナサン・アンダーソン、マリア・グラツィア・キウリ、ニコラ・ジェスキエール、マーク・ジェイコブス、キム・ジョーンズ、NIGO、ステラ・マッカートニー、シルヴィア・ヴェントリーニ・フェンディといったメンバーがいて、その才能に疑いの余地は一片もなかった。優勝したブランドの代表である日本人の桑田悟史は才能あるデザイナーだ。39歳の彼は、ファッション業界で長い実績を持っている。桑田はセントラル・セント・マーチンズでの学生時代にサヴィル・ロウのテーラー、ハンツマンで経験を積み、その後ロンドンのガレス・ピュー、パリのカニエ・ウェストジバンシィ、そしてニューヨークのイードゥンとミラノのゴールデングースで働いた。「彼の作品を見た瞬間から、私は彼こそが優勝者だと確信しました。彼の哲学とブランドのビジョンを本当に信じています。それは単に服の問題ではなく、彼の経験と創造的なアプローチも含まれています」と、ディオールの女性コレクションのアートディレクターであり、審査員の一員であるマリア・グラツィア・キウリが語った。

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京都で生まれた桑田悟史は、21歳の時にファッションのキャリアを積むためにロンドンに移住した。2020年にユニセックスブランド「セッチュウ」を立ち上げ、異なる文化のクラフトマンシップを尊重し、和と洋のコンセプトの架け橋となるようなデザインにしたいという思いで活動している。彼のコレクションでは、折り畳むことを可能にしたテーラードジャケットが登場した。折り紙のような構造でそれを可能にしたのである。シワにならず、シックで機能的だ。彼のエレガンスのビジョンは、取り外し可能な襟や交換可能なデザイン、そしてボタンの配置など、細部にも表れている。ここでは、毎シーズン服を変える必要がないように、一貫したスタイルを反映したシルエットを維持しながら、いくつかの工夫をすることが重要だ。

 

 

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やんちゃな子ども時代

女優ガル・ガドットが特別ゲストとして招かれた、パリのルイ・ヴィトン財団で行われたこのイベントで彼女から賞を受け取った後、桑田悟史は次のように述べた。「子どもの頃、私はやんちゃでした。母は私のことを心配していました。しかしいまは母を幸せにすることができます」。デザイナーは、40万ユーロ(約6000万円)の賞金とLVMHでの1年間のメンターシップも受け取った。インフレの影響で、以前の大会と比べて賞金が10万ユーロ増額された。「これは私の人生における重要なイベントです。この賞は私のブランドが発展する上でとても影響のあるものとなるでしょう」と述べた。

text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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