ダイアナ妃が愛用した羊のセーターがオークションに。
Culture 2023.08.13
ダイアナ妃が愛用した羊モチーフの赤いセーターが8月末、サザビーズでオークションに出品されることになった。
「黒い羊」のセーターを着用して、チャールズ皇太子(当時)のポロ競技を観戦するダイアナ妃(スミスズ・ローン、1983年6月)photography: Princess Diana Archive / Getty Images
オークションハウスのサザビーズで8月31日から9月14日までの期間、ダイアナ妃の赤いウールのセーターがオークションに出品される。あまりにも有名な、歴史的な一枚。ダイアナ妃はこのセーターを2回着用している。いずれもポロ競技観戦の時だった。最初の登場は1981年6月、チャールズ皇太子との婚約期間中だった。ジーンズとシンプルな白シャツに合わせて着用していた。その後、セーターがほつれてしまったため、修理か交換の依頼とともに販売元の「ウォーム&ワンダフル」ブランドにセーターが送られてきた。同ブランドのクリエーター、サリー・ミュアーとジョアンナ・オズボーンは全く同じ新品のセーターを一着、送りかえした。
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2年後の1983年、ダイアナ妃は夫チャールズ皇太子が参加したポロ試合観戦で再びこのセーターを着た。この時は白いパンツ、クロディーヌ襟のブラウスに黒いリボン、足元は赤いパンプスと、ぐっと洗練されたスタイルになっていた。
ダイアナ妃が羊モチーフの赤いセーターを着たのはこれが2度目で、やはりポロ競技の試合を観戦するためだった。(スミスズ・ローン、1983年6月)Photography: Princess Diana Archive/ Getty Images
ダイアナ妃はファッションを表現手段として用いることが多く、服装にはさまざまな意味がこめられている。この赤いセーターは何十匹もの白い羊が編みこまれ、群れの中でただ一頭、黒い羊がぽつんといる。メディアや大衆はそれを象徴的に解釈した。黒い羊はダイアナ妃だ。結婚から2年経ち、イギリス王室内で異質な存在として孤独感を深める存在。セーターはダイアナ妃の置かれている環境のメタファー、居心地の悪さの寓意とされた。
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値千金の黒い羊
最近になり、ウォーム&ワンダフルのふたりのクリエーターは1981年にダイアナ妃が着用した最初の一着を見つけだした。昨年3月、屋根裏を整理している際にコットンのベッドカバーの間から出てきたそうだ。袖口のほつれもそのままだ。「丁寧に保管されてきたこの特別な一着は、ダイアナ妃の優雅さと魅力、そして鋭いファッションセンスを物語るものです」とプレスリリースには書かれている。サザビーズ側では歴史的価値のあるこの一枚が50,000から80,000ドルで落札されるのではと期待している。手が届かないと思った人も諦める必要はない。復刻版なら300ドルでお釣りがくる価格だ。
text: Sarah Renard (madame.lefigaro.fr)