大学生にしてすでに起業家に! ビル・ゲイツの多才な末娘、フィービー・ゲイツの素顔とは?

Culture 2023.08.21

まだ学生ながらSNSではすでに多数のフォロワーを持ち、女性の権利擁護に熱心に取り組む。彼女がお手本にするのは尊敬する母メリンダ・ゲイツだ。

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ステラ・マッカートニーのコレクション会場でのフィービー・ゲイツ。(パリ、2022年10月3日)photography: Abaca

ビル・ゲイツは2016年、「子どもたちに大金を与えるのはよくない。自分の道を切り開くために自らできる一切のことを歪めてしまう」と語った。20歳のフィービー・ゲイツはこの言葉を文字通り受け止めている。27歳の姉、ジェニファーと24歳の兄ローリーとともに子ども時代は人目から守られて育った。これまで目立たない存在だったが、どうやらやりたいことが見つかったようだ。かわいらしいブロンドヘアから個性的なブラウンヘアに変え、女性の権利擁護に奔走する母メリンダの後を追っている。

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意見表明の場

フィービーは一時期アメリカンバレエ・シアターやジュリアード音楽院でバレエを学んでいたが、現在はスタンフォード大学で女性の健康に関して学んでいる。2022年6月、インスタグラムで初めて政治的な主張をした。投稿には白いビキニ姿の写真に添えてこんなキャプションがついていた。「自分の体のことであれば恥ずかしがりません。(中略)誰もが性や生殖に関する医療を受ける権利があります。今、最高裁は中絶の憲法上の権利を終わらせる準備をしています。私や何百万人もの女性たちと一緒に、この基本的人権を守るために闘いましょう」と。この投稿が驚きをもって受けとめられたのは、2018年以来、28万2000人ほどのフォロワーに対して彼女はもっぱら、ペルーでの休暇や兄姉、あるいは友人たちと出かけた写真等をシェアするばかりだったからだ。

 

 

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TikTokではスポーツに汗を流す姿やお気に入りの服装を公開して76,600人にフォローされている。だが今後はSNSを意見表明の場にしようと決めたようだ。地球温暖化、女性の権利、メンタルヘルスなど、彼女が擁護する権利は幅広い。2022年12月には「セラピストへのラブレター」を公開し、「人に感謝すること」と、身近な人たちとの絆を「大切にすること」を教えてくれたセラピストに感謝の意を表した。翌年3月には中絶の権利を支持する投稿をした。

 

 

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尊敬する人は母

彼女の活動はSNSを超えはじめている。2023年5月、貧困問題を取りあげた民間サミット「グローバル・シチズン・ナウ」に招かれたフィービー・ゲイツはスピーチをおこない、世界中の女性や少女たちが、自分の健康と将来について自ら決定する権利について熱弁をふるった。雑誌の取材でもいろいろ語っている。たとえば2022年9月に「ティーンヴォーグ」誌に掲載された記事では、フェムテック(女性の健康に特化した技術開発)を支持することを述べた。

 

 

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7月にはショーン・カーター財団の20周年記念式典に出席した。すべての人が公平に教育を受けられる権利を擁護する同財団はこの晩、2000万ドルの寄付を集めた。慈善活動に力を入れるフィービーは母メリンダの姿と重なる。世界で病気、不平等、貧困と闘うための財団を運営するメリンダはフェミニストとして数々の名言があり、フィービー・ゲイツはインスタグラムのストーリーでよく紹介している。2022年7月、米「ヴォーグ」誌の取材でフィービー・ゲイツは母についてこんなふうに語った。

 

「メリンダの娘であれば、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関心を抱いても不思議ではありません。尊敬する人は母です。ジェンダー平等を守るために世界中を飛び回っている、素晴らしい改革者です」と。一方で父の教えも忘れていない。「WWD」誌の取材に対し、「そう、私はあの両親の娘で、私に大きな特権を与えてくれますが、それで私が決まるものではありません。自分のアイデンティティを確立して、そういうことから遠ざかりたい。私はただ、何らかの変化をもたらすような方法で実践しようとしているのです」と述べた。

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レッドカーペット

姉のジェニファーがファッションショーよりも医学や乗馬に興味があるのに比べ、フィービー・ゲイツはファッションが大好きで、デザイナーの仕事にも興味がある。2022年の春には数々のファッションショーに顔を出し、この年の夏には英「ヴォーグ」誌でインターンをした。2022年8月、彼女は持続可能なファッションについてインスタグラムに投稿している。

同年、フィービー・ゲイツはレッドカーペットに登場した。父ビル・ゲイツと共に、きらびやかなフェンダーチェのドレスで「タイム100」のガラパーティーに出席したのだ。この他、ハーパース・バザーやヴァレンティノが主催したパーティにも出席している。

 

 

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裕福な生い立ち

ワシントン湖近くにあるメディナの広大な敷地内でプライバシーを守られながら育てられたことを考えると、現在の活躍ぶりには目を見張るものがある。2002年9月14日に生まれたフィービーは両親に見守られ、のんびりと育った。ゲイツ夫妻は私生活についてほとんど明かさず、しかも子どもたちが学校に通うときには母親の旧姓を名乗らせる徹底ぶりだった。ジェニファー、ローリー、フィービーの3人の子どもたちは、14歳になるまで携帯電話を持つことも禁じられていた。もっとも24のバスルーム、6つのキッチン、2つのテニスコートがある上にハイテク設備で有名な4,500平方メートルの豪華な邸宅に住んでいたわけだが。朝は、フィービーが「知性と勤勉さ」を称賛する父親のビル・ゲイツが子どもたちを学校まで送っていった。

 

フィービー・ゲイツは仲良しの家族について、インスタグラムで定期的に投稿している。ミニバスの荷台で満面の笑みを浮かべたり、パーティー用の帽子をかぶったりしている幼いきょうだいを撮った写真の投稿も多い。兄は「親友」だとフィービーは言う。そして、姉ジェニファーと馬術選手のナエル・ナサールの新婚夫婦への憧れを語る。2020年4月、フィービーは「愛らしく、愛情深く、決断力があり」、自分がなんでも相談できる相手である姉の誕生日を祝った。

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「学ぶべきことを教えてくれて、聞くべき真実を教えてくれて、そしてもちろん、どのように成長すべきかを示してくれてありがとう」と別の投稿でも姉への感謝の気持ちを綴る。フィービーによれば母親は「最高に素晴らしい女性」で、父親は「日々何かを学ぶ」相手だ。なお、これまでの彼女のTikTok投稿で800万回という最高再生回数となったのは、父親がボール遊びしている動画だった。

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誤解と陰謀論

その一方でフィービー・ゲイツは今年の3月、米IT業界誌の「ジ・インフォメーション」のインタビューで露出過多の危険性について語っている。「自分の家族やボーイフレンドとの関係について流布している誤解や陰謀論」を嘆いているのは一部のネットユーザーから黒人学生のロバート・ロスとの交際を非難されているからだ。2022年7月にふたりは交際を公式に認めた。「いまは2023年ですよ。肌の色が違う人と恋愛をしているからといって、ミームになりたくないです」と彼女は語った。

 

それでもフィービーはネットコミュニティとの交流を今でも楽しんでいるものの、それを仕事にしようとは思っていない。起業での成功を目指し、すでに同居人で環境活動家のソフィア・キアンニとともに、「ピア」という会社を立ちあげた。「持続可能なファッションの実現」を目的とした会社だそうだ。大学卒業は2025年の予定だが、彼女の父親のように、卒業前に大学を去って実業家の道を歩む可能性もあるのかもしれない。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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