プリゴジンを陰から支えた妻、リュボフ・プリゴジナとは?
Culture 2023.08.27
表舞台に現れたことはない。だが、53歳のロシア人ビジネスウーマンで3児の母であるリュボフ・プリゴジナは、8月23日に飛行機事故で死亡した夫、エフゲニー・プリゴジンを支えるひとりだった。
Prigozhin's wife, Lyubov Prigozhina, dreams of the days when she can travel again in Europe. Will she? #lviv pic.twitter.com/nmKVtcCviQ
— TheLvivJournal (@LvivJournal) May 25, 2023
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジンの妻、リュボフ・プリゴジナ。X @LvivJourna
ロシア当局によれば、8月23日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者として知られるエフゲニー・プリゴジンが飛行機事故で亡くなった。ロシアのオリガルヒ(新興財閥)のひとりで、「ウラジミール・プーチンの料理人」の異名を持つ彼は長年にわたり、クレムリンの権力者に美味しい料理を提供し、ファストフードチェーンで財を成した。エフゲニー・プリゴジンの妻のリュボフ・ヴァレンティノヴナ・プリゴジナ、53歳は20年以上にわたる結婚生活の間、ずっと夫を陰から支えてきた。
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大学での出会い
いくつかのウェブページによると、ふたりは大学で知り合ったようだ。公式の日付は一切ないが、ふたりのロマンスは1990年代に始まったとされる。後にプーチンの親友となる彼にはすでに服役歴があった。
10年近く刑務所で過ごした後、エフゲニー・プリゴジンは化学と薬学を学んで人生をやり直そうとした。学業はパッとしなかったものの、この時期に9歳下の妻と知りあったようだ。その後の夫妻についてはほとんど何も知られていない。ふたりの間に3人の子どもが生まれたことを除いては。娘が2人、ポリーナとヴェロニカ(それぞれ1992年と2005年生まれ)、そして息子が1人、パヴェル(1998年生まれ)である。
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国際的制裁の標的
リュボフ・プリゴジナは夫を支える重要な役割を果たしていた。サンクトペテルブルクにある複数のウェルネスセンターや「チョコレート博物館」として知られるチョコレートショップチェーンのオーナーである彼女の名前は、夫が所有する多くの会社の組織図の中にも紛れこんでいる。たとえば、アガットLLCのオーナーを務めている。この会社は夫が創業したコンコード・マネジメント・アンド・コンサルティングLLCの子会社で、夫の配下にあるコンコルド・グループに属している。
2023年4月、英「フィナンシャル・タイムズ」紙は、リュボフ・プリゴジナとその子どもたちが「ロシアエリート層のなかで特権」を享受する「プリゴジンのビジネスでさまざまな役割を果たしている」と報じた。この見解に基づき、西側諸国はウクライナへのロシアによる軍事侵攻が始まったときから、彼女を躊躇なく、国際的制裁の対象とした。2022年2月に実施された彼女の資産凍結に関する報告書によれば、彼女は「ワグネル・グループの傭兵をウクライナに派遣した責任者であり、ロシアがクリミアを不法に併合し、親ロシア派分離主義勢力がウクライナ東部を占領した後、ロシア国防省との大規模な公共契約の恩恵を受けたエフゲニー・プリゴジンとの関係者」とされている。
とはいえ、リュボフ・プリゴジナはひっそりと生きることを望んでいるようだ。ウラジミール・プーチンの恋人とされる元新体操選手でオリンピックメダリストのアリーナ・カバエワのように。それは夫がウクライナにもたらした混乱から遠く離れた場所で、自分らしく暮らすためなのかもしれないし、あるいは単に身を守るためなのかもしれない。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)