生きていれば40歳だったエイミー・ワインハウスの未公開写真が公開!
Culture 2023.09.07
エイミー・ワインハウスが生きていたら9月14日で40歳。2011年に早逝した歌手の家族は今も彼女のことを想っている。このソウルの歌姫の未公開写真や日記の抜粋が満載された新刊本『Amy Winehouse: In Her Words(原題訳:エイミー・ワインハウス:彼女の言葉で)』が出た。
10代のエイミー・ワインハウスと母ジャニス、弟アレックス。(2023年8月21日投稿)Instagram / @amyjadesmermaids
一度聴いたら忘れられない、誰にも真似できない唯一無二の声。エイミー・ワインハウスの声がそうだった。ソウル&ジャズの響きを帯びながら、深い低音から主張の強い高音まで伸びやかに歌いあげた。2011年7月23日に亡くなったシンガーであり、ソウルの歌姫であり、卓越したソングライターであるエイミーの荒削りな才能は12年経った今でも、私たちの記憶に刻まれている。生きていたら9月14日に40歳を迎えたはずだった。この日に先立ち、エイミー・ワインハウスの家族が全面協力した新刊本が出版される。『Amy Winehouse: In Her Words(原題訳:エイミー・ワインハウス:彼女の言葉で)』のタイトルは簡潔だが意味深だ。グラミー賞を受賞した名曲「リハブ」の歌手は、タブロイド紙から一挙手一投足を見張られ、なにかあればすぐさま否応なしに書きたてられた。精神的にも肉体的にもどんどん病んでいくのが誰の目にも明らかだったにもかかわらず、堕ちゆく偶像を見つめる人々の好奇の目は時に病的な輝きを宿していた。
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本当のエイミー
2023年8月29日に発売される新刊本には未発表写真のほか、歌手の筆跡が残る日記の抜粋が多く掲載されている。両親のミッチ&ジャニス・ワインハウス夫妻が序文を寄せている。彼女が亡くなって10年以上がたった今も、その死に思いを巡らす人は多い。彼女の生きづらさはどこからきていたのだろう。ドラッグに溺れることでなにから逃げていたのだろうか。彼女の父親は今回、娘が依存症だったことも認めながら、さまざまな角度から娘を描くことである種の真実を明らかにしたいと願った。
NOVIDADE: Foram divulgadas fotos inéditas de Amy Winehouse durante sua infância e adolescência para promover o livro ‘Amy Winehouse: In Her Words’.
— Amy Winehouse Brasil (@WinehouseBrasil) August 20, 2023
O livro mostrará a evolução criativa de Winehouse, seu talento de escrita, sua sagacidade, seu charme, e o seu desejo pela vida. pic.twitter.com/KZaUgpjg95
少なくとも8月20日の「ピープル」紙で父親はこう語っている。「いつも本当のエイミーをみんなに知ってもらいたかった。彼女がどこから来て、なにに熱中していたのかを」と。実のところ多くのファンは今でもこの父親をうさんくさく思っている。2015年のドキュメンタリー映画「AMYエイミー」がほのめかしているように、ミッチ・ワインハウスは娘がリハビリ施設に行くのを長い間阻止し、どんなに疲れていようがステージに立つように促したとされているからだ。
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ほとんどの人が本当の私を知らない
今回の新刊本は、お茶目な表情といたずらな笑顔の持ち主だったデビュー当初の姿を蘇らせる。エイミーがデビューして数年内の未発表写真も多く、エレキギター片手にロンドンのジャズ・カフェのステージで陽気に笑う姿や、トレードマークの太いアイラインを丹念に引く姿が見られる。まだ生後数ヶ月のあどけない赤ん坊の頃、母親のジャニスに抱かれている写真や、弟のアレックスと学校の制服を着て、9月の日差しを浴びながら得意げな顔をしている写真もある。
やがて十代となり、日記には自分についての悩みも登場するようになる。「私はどうやら、ちょっと風変わりで騒々しく、変な子だと思われていたりするようだ。でもそれは、ほとんどの人が本当の私を知らないからだ。多くの人は私が誰か知ろうとせず、あの子はクラスの変人で片付けてしまう。(中略)どうして学校と家とで、こんなに違う自分なのだろう」とぼたぼたインクのたれるペンでエイミーは書く。いまや黄ばんだページを繰れば、同じ悩みが繰り返し登場する。「自分と同じぐらいクレイジーな人間はいるのだろうか?」と。
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音楽に救われた
その答えをエイミーは音楽に見出した。両親の言葉を借りれば「彼女の意識の中に楽々としみ込んでいった」この芸術に。「娘は歌を1、2回聴いただけで歌詞を覚え、メロディを歌うことができた」と両親は言う。尽きることのない強い情熱の種は祖母シンシアが蒔いたものだ。祖母の家でエイミーは「フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーンなどのジャズ音楽に浸っていた。家ではミュージカル『メリー・ポピンズ』のナンバーや、私たちが教えたユダヤ教の賛美歌だった」と両親は振り返る。彷徨える魂でもなく囚われた肉体でもなく、ひとりのアーティスト。そう、それがエイミー・ワインハウスだった。この本が後世に伝えたいと思っているのは、そうした別なエイミー・ワインハウスの側面なのだ。
text: Louise Lucas (madame.lefigaro.fr)