検閲に引っかかっていた1989年のマドンナのペプシCM、34年越しに解禁!
Culture 2023.09.20
「ライク・ア・プレイヤー」のPVスキャンダルの後、1989年に打ち切られたマドンナを起用したペプシCMが、9月12日のMTV Video Music Awards(エムティービー・ビデオ・ミュージック・アワード、略: MTV VMA)でようやく放送された。
34 years ago I made a commercial with Pepsi to celebrate the release of my song Like a Prayer.
— Madonna (@Madonna) September 13, 2023
The commercial was immediately canceled when I refused to change any scenes in the video where I was kissing a black saint or burning crosses.
So began my illustrious career as an… pic.twitter.com/zHBaBtGP9v
X @Madonna
30年以上経過した 9月12日、マドンナが出演した1989年の検閲済みCMがMTV VMAでついに放送され、清涼飲料メーカー、ペプシ125周年を祝った。当時31歳だった歌手のマドンナは、ヒット曲「ライク・ア・プレイヤー」のPVでペプシと組んだ。ペプシはこのCM制作で彼女に前代未聞の500万ドル(約7億3864万円)を支払ったと伝えられている。
約40秒のスポットCMで、名曲「マテリアル・ガール」で知られるマドンナがおどけたムードで登場し、「ゴー・アヘッド、メイク・ア・ウィッシュ(行け、願いをかけて)」と短く口にした後、アメリカのダイナーの前でダンサーグループと一緒に踊りだし、自身は映写室からシーンを見守りながら、ペプシの缶を手にしている。この時期、マドンナはポップ業界に大きな波乱を巻き起こし、その一因は「ライク・ア・プレイヤー」というヒット曲のPVの内容にあった。
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このPVはペプシのCMが放送された翌日にMTVで公開され、世界中で騒ぎとなった。冒涜的とみなされる映像が満載だったのだ。特に、歌手のマドンナが燃える十字架の前で踊ったり、社会正義の守護聖人である聖マルティン・デ・ポレスを象徴する黒人にキスをしたりするシーンが映し出されている。「ライク・ア・プレイヤー」はすぐにキリスト教団体から即座に怒りを招き、バチカンまでもがこのPVを非難した。この論争を受けて、ペプシの広告は迅速に保留となった。それにもかかわらず、マドンナは高額の報酬を返金しなかった。
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火曜日の夜、MTV VMAで放送された検閲済みCMの放送後、歌手はソーシャルメディアで感想をシェアし、ペプシに感謝の意を表した。「34年前、『ライク・ア・プレイヤー』の発売を記念して、ペプシとCMを制作しました」と彼女はPVの一部を引用して書いた。「私がPVの中で黒人の聖人にキスをしたり、十字架を燃やしたりするシーンの変更を拒否したため、CMは即座に中止されました。こうして、私の信念を貫き、圧力に屈しないアーティストとしての輝かしいキャリアが始まりました。ペプシ、私たちの素晴らしいコラボを最終的に実現させてくれてありがとう。アーティストは平和を乱すために存在しています」と彼女は締めくくった。
新しいCMの最後には、メッセージが含まれており、これは一種の謝罪のようにも解釈できる。「現状を破壊してきた40年を祝う」というメッセージは、マドンナが音楽業界で40年間にわたって変革をもたらしてきたことを指している。
text: Louis Delafon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi