ナオミ・キャンベル、90年代に薬物・アルコール依存だったことを告白。
Culture 2023.09.25
Apple TV+の新ドキュメンタリーシリーズ『ザ・スーパーモデル』では、53歳になったナオミ・キャンベルがデビュー当初を振り返り、アルコールとコカイン依存をどう克服したかを語った。
マンハッタン・センターで開催されたヴィクトリアズ・シークレットのスペシャル・イブニングでのナオミ・キャンベル。(ニューヨーク、2023年9月6日)photography: Getty Images
2023年9月20日に配信開始するApple TV+のドキュメンタリー新シリーズ『ザ・スーパーモデル』は、1990年代にスーパーモデルたちがランウェイで鮮烈にデビューし、一世を風靡していく過程を、アーカイブ映像や未公開証言を通して描いたもの。シンディ・クロフォード、クリスティ・ターリントン、リンダ・エヴァンジェリスタらと並ぶ伝説のスーパーモデルのひとりが現在53歳のナオミ・キャンベルだ。14歳のときにロンドンの街角でスカウトされ、あっという間に人気モデルとなった。シリーズ第4エピソードでは若い頃に味わった挫折を語っている。キャリアが軌道に乗り始めてから、彼女はアルコールや薬物依存で何年も苦しんだ。
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親しい友の死
ナオミ・キャンベルがアルコールや薬物に依存しはじめた原因のひとつに「幼い頃からかまってもらえなかった」寂しさがある。父親は会ったこともなく、顔も知らない。母ヴァレリー・モリスがナオミを妊娠中に行方をくらましたからだ。「子どもの頃から、問題は山積していた。父親がいないといろいろな感情が渦巻く。そのひとつは、間違いなく怒り」と、2000年のバーバラ・ウォルターズとのインタビューで語っている。このインタビュービデオの抜粋は今回のドキュメンタリーでも使用されている。
彼女をさらに打ちのめしたのは親しい友の死だった。1997年、デザイナーのジャンニ・ヴェルサーチがマイアミで、連続殺人犯アンドルー・クナーナンに射殺された。「ジャンニ・ヴェルサーチは、私がおじけづくと励まし、背中を押してくれた人。だから彼が亡くなって、本当に悲しかった」とナオミはその時の気持ちを振りかえる。
カメラの前でナオミ・キャンベルは、友人の殺害を知った時の気持ちを語った。「耳のなかがキンキン響いて耐えられないぐらいになった。もうショックすぎてパニック状態。感情が押し寄せてきたのはもっと後のことだった」と言うと、ローマでの撮影に向かう途中だったことを明かし、「悲しみをこらえてなんとか仕事をこなした」とつけ加えた。
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1999年の事件
ナオミ・キャンベルは気持ちを落ち着かせるためにアルコールとドラッグ、特にコカインに手を出すようになった。「ドラッグを始めた理由のひとつは悲しみを紛らわせるためだった。バカなことをした。それで傷が癒えればと思っても、そんなことで癒えることはない」
なんとか立ち直ろうともがいたあげくに事件が起きた。1999年の写真撮影中にナオミ・キャンベルは倒れてしまったのだ。「自分の感情や寂しい気持ちなどを、なにかで覆い隠して誤魔化そうとしても、誤魔化しきれない日がいつかは来る。自分で自分を殺しかけていた。とても苦しかった」
この事件の後、ナオミ・キャンベルは立ち直るためにリハビリ施設に通いはじめた。「(自分の過ちは)自分で正さないと。だからリハビリ施設に行くことを選んだ。当時の自分にとってそれが自分にとって最良で唯一の道だった」と。同時に、断酒会(AA)と断麻薬会(NA)の集まりにも通うようになった。
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償いの時
立ち直るには時間がかかった。依存症の悪循環をようやく断ち切ったのは2005年のこと。「鏡に映る自分と直面するのは怖い。それができるようになるまで何年もかかった。今でも後戻りしそうな時はあるけれど、対処する術を学んだ」
ナオミ・キャンベルは薬物やアルコール依存と闘った経験から、同様の問題を抱える人々に手を差し伸べることができるようになったと言う。「自分の愛する人々が助けを必要としていることがわかったら、もちろん手を差し伸べる。逃げはしない。愛する人々には忠実でいたいから」
text: la rédaction (madame.lefigaro.fr)