仕事が私にくれたもの:シルヴィア・グラッシ・ダミアーニ ダミアーニを率いる、シルヴィア・グラッシ・ダミアーニ。
Culture 2023.10.21
ジュエリーを選び、買う、色褪せない大切な記憶。
それを顧客と共有できるのも、この仕事の素晴らしさ。
1924年にイタリアで誕生したジュエリーブランド、ダミアーニは3世代にわたり、伝統とクラフトマンシップを継承し、現在も創業者一族が経営を担う世界的なブランドへと成長した。そのファミリーに生まれたシルヴィア・ダミアーニは、この仕事に携わり約40年。いまはダミアーニ・グループ副社長兼ヴェニーニ代表取締役を務めている。3人兄弟の長女の彼女は主に広報やブランドのイメージ戦略を担当。今回はダミアーニが誇るハイジュエリーを日本の顧客に紹介するイベントで来日。シルヴィアが直接、ゲストたちと話しながら、ダミアーニのジュエリーの魅力を伝えた。
「とことん石の質にこだわります、宝石が際立つディテールやデザイン、立体感も重要。そして、そのすべてを可能にする高いクラフトマンシップが融合し、ダミアーニが誇る上品で気品のあるジュエリーが生まれるのです。ジュエリーを選び、買う時間は幸せなもので、記憶は色褪せないし、ジュエリーは世代を超えます。そんな体験をお客様と共有することができる、この仕事は本当に素晴らしいものだ、とよく父が言っていました。いま、家業を継ぎ、その意味を体感しています」
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そんな彼女だが若い時、別の進路も考えたとか。
「実は、大学で心理学を学ぼうと思ったことも。でも、両親が多くの時間を注ぐ宝飾品の仕事にも興味があった。家業を手伝うことで、両親とともに時間を過ごしたい気持ちもありました」
幼い頃から、本物の宝飾品に触れ、すっかりジュエリーの魅力に取り憑かれてしまったシルヴィアは日々、大好きなジュエリーを身に着けている。
「ジュエリーが引き立つように、つい無地の服ばかり選んでしまいます。私は、どんな時もきちんとコーディネートされた服装じゃないと嫌なんです。飛行機に乗る時もジムに行く時も。どんなカジュアルな日もジュエリーを身に着け、結果、“シルヴィア・ダミアーニ”になってしまうんです(笑)」
*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami photography: Midori Yamashita