路上でのキス、過激すぎるビキニ、マタニティヌード......エムラタ、議論を呼びがちな理由とは?

Culture 2023.11.10

モデルのエミリー・ラタコウスキーと俳優ステファヌ・バクの情熱的なキスの写真が、性差別的なコメントを巻き起こした。しかし、なぜ人々はエムラタに厳しいのだろうか?

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ニューヨークの街を歩くエミリー・ラタコウスキー。(2023年10月17日)photography: Abaca

爆弾のように情報が詰まった『デイリー・メール』のウェブサイトから、エミリー・ラタコウスキーとステファン・バクの情熱的なキスの写真が公開された。

パリのレストランの外で撮られたこの写真で、ふたりはまるで10代の若者のようにいちゃついている。この思いがけないロマンス、しかもフランス人とのロマンスは、私たちの好奇心を刺激する。ステファン・バクとは何者なのか? 調べてみると、このコンゴ系フランス人俳優は、若い頃からコメディアンとしてキャリアをスタートさせ、2010年代半ばに映画界に進出した。

そして、この新しいロマンスを喜んでいる人もいるが、誰もがそうというわけではない。『デイリー・メール』紙やエンタメニュースサイト「ジャストジャレド」の投稿記事には、エミリー・ラタコウスキーに対する多くの批判や侮辱的なコメントが書き込まれている。「彼女はみんなと関係を持っている」とか、「この期に及んでキスしないやつなんていないだろう」とコメント欄は荒れている。しかし、なぜそんなに彼女に対して憎しみを感じるのだろうか?

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アブクラックとマキシデコルテ

エミリー・ラタコウスキーの数々の恋愛は、ここ数カ月タブロイド紙で話題になっている。しかし、世界中の注目を浴びる危険を冒してでも、独身生活を満喫しているスーパーモデルを批判すべきなのだろうか?

これはエミリー・ラタコウスキーにとって初めての論争ではない。2016年、極端な細さにも関わらず、多くのネットユーザーが真似を試みたシュールな腹部「アブクラック」から、"極めて下品"とされたジュリアン・マクドナルドのマキシデコルテのドレスまで、エムラタには悪い話題が多い。あまりの酷さに、実はエミリー・ラタコウスキー本人はこれらの論争を自身の利益のために利用しているのではないかと疑問に思うほどである。彼女はビジネスの一部として利用しているのだろうか?

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アンビバレントな感情

エミリー・ラタコウスキーの最初の印象が記憶に蘇る。2016年のこと。彼女がビーチで麦わら帽子をかぶり、シンプルなビキニを着た写真を投稿したときだ。私たちは、その真っ平らなお腹や完璧に割れた腹筋に驚き、正直なところ、少し嫉妬したことを覚えている。彼女の大胆さに感心すると同時に、犬を散歩させながらほとんど裸でポーズを取っている彼女に眉をひそめたことも覚えている。そして私たちは、エミリー・ラタコウスキーがこれほど議論の的となっているのは、彼女が呼び起こすアンビバレントな感情のせいであることを突然理解した。

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ママ・シェイミング

エミリー・ラタコウスキーは何をするにしても、恋愛から母親業に至るまで、体とセクシュアリティの露出で判断されている。一部のネットユーザーは、30代の彼女の大胆な投稿に対し、体型について絶えずコメントする権利が認められたと考えている。「ヘソはどうしたの?」、「もし胸がなかったら、彼女は自分の人生をどうしていいかわからないだろう」とか、「顔を台無しにしないでほしかった、完璧だったのに」といった声も寄せられている。そして、彼女に向けられた論争に対して時に無関心だったと自己反省する。

ボディシェイミングの被害者であるエミリー・ラタコウスキーは、母親としても常に非難されている。最新の投稿で、2021年3月に生まれた息子シルベスターを妊娠中の姿を披露しているが、その投稿のコメント欄には「ひとつ確かなこと。あなたの子どもは、あなたが服を脱ぐことで有名なことを知るだろう」などのメッセージが寄せられていた。

また、2021年6月に発生したある論争も記憶に新しい。エミリー・ラタコウスキーが赤ちゃんと一緒にポーズをとり、インターネットユーザーがその赤ちゃんを支えずに持っていると非難した。「エムラタ(@emrata)、赤ちゃんをそのように持つべきではない。そして、あなたの何百万ものフォロワーにも同じことをさせてはいけない。必要であれば、喜んでアドバイスもします」と、イギリスのジャーナリストでテレビパーソナリティとしても知られるピアース・モーガンがTwitterで指摘している。さらに、エミリー・ラタコウスキーはInstagramのフィードで、自身のフォロワーからとんでもないコメントを寄せられている。例えば、最近の投稿では、彼女が寝室に家具をほとんど置いていないことに激怒する人もいた。

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インスピレーションを与えるメッセージ

また、さらに一歩進んで考えてみたい。最近、ユダヤ系のコンテンツクリエイターに対して、イスラエル・パレスチナ紛争の枠組みで公式に立場を取らないことが非難された。そして、私たちは疑問に思わずにはいられない。なぜインフルエンサーは必ずしも地政学的な紛争について発言しなければならないのだろうか? そして何よりも、エミリー・ラタコウスキーはこのような執拗な攻撃を受けるほどの価値があるのだろうか?

エミリー・ラタコウスキーはシースルードレスを身につけ、自身の曲線を際立たせるだけでは終わらない。自称フェミニストである彼女は、雑誌「ハーパース・バザー」でワキ毛を生やした姿で登場したり、自信を取り戻したい人のためのセラピーをアドバイスしたり、自分の身体について抱えている困難について率直に語ったりと、インスピレーションを与えるメッセージも発信している。

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「恥を知れ!」

彼女はまた、「自分のセクシーな見え方がいろいろな意味で女性差別に大きく影響されていることを自覚している。でも、それが私を良く感じさせてくれるし、それは私の選択でしょう? それこそがフェミニズムの真髄でしょう、選択の自由よね?」と彼女は断言した。要するに、エミリー・ラタコウスキーは私たちを複雑な気持ちにさせる一方で、我々に解放感をもたらしてくれている。しかし、ひとりの女性としてはやり過ぎではないだろうか? また、彼女は、謙虚さや知性の欠如、母親としてのあり方、独特の外見のせいで、自分の意見を主張してはいけないのか?

エミリー・ラタコウスキーは、自分を非難する人たちの敵意に何度もうんざりしていることを表明してきた。実際、2021年に「母親になる資格がない」という批判を受けて、「恥を知れ!」と彼女は当時言い放った。そして、今、彼女にはもっと休息が必要だと思う。そのため、再び彼女のInstagramプロフィールを離れよう。人類への信頼を取り戻すことが優先だ。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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