英国王室が激怒!? ハリー王子夫妻を擁護する、41歳のイギリス人ジャーナリストとは?

Culture 2023.12.03

英国人ジャーナリストのオミッド・スコビーは新著『Endgame』でチャールズ3世ウィリアム皇太子イギリス王室のメンバーをこきおろし、友人と噂されるハリー王子メーガン夫人の擁護をした。

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Web Summit2022でのオミッド・スコビー。(リスボン、2022年11月2日)photography: Getty Images

バッキンガム宮殿でオミッド・スコビーの名はメーガン夫人やハリー王子の名同様、タブー視されている。彼の著書『Endgame』が2023年8月に出版され、フランス語版も11月28日に発売された。この本でウィンザー家は崩壊寸前であるように語られる。不人気に悩む国王チャールズ3世、頭の固いカミラ王妃、権力志向の策略家であるウィリアム皇太子、カメラマンに微笑みかけるのだけは得意な口やかましいキャサリン皇太子妃。一方、米国に移住したメーガン夫人とハリー王子はモンテシートで楽しく暮らし、明るい未来が待っているそうだ。その持ちあげっぷりは「ふたりは末永く幸せに暮らし、たくさんの子どもに恵まれました」と書かれていても違和感がないぐらいだ。

ハリー王子夫妻を嫌う一部のイギリスメディアがこの本に苛立つのも無理はない。本の出版を待たずにタブロイド紙は攻撃を開始した。「デイリーメール」紙はこの本を「陰謀論」の一種と断じた。ハリー王子の最後のあがきと見る向きもある。オミッド・スコビーは、真実を明らかにしただけと主張している。一体その真実はどこにあるのだろう? 王室を専門とするこのジャーナリストは、メーガン夫人と親しいと言われている。その一方で彼は「タイムズ」紙の取材に対し、メーガン夫人と友達ではないと語っている。さて本当のところはどうなのだろう。

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共通の友人

オミッド・スコビーの名前は最近でこそ英国のメディアで良く見かけるようになったが、ほんの3年前までは誰も彼のことを知らなかった。2020年初頭、ハリー王子とメーガン夫人の王室離脱宣言で彼の存在が急にクローズアップされた。オミッド・スコビーはロンドンを拠点にするジャーナリストであり、「ハーパース バザー」誌やABCニュースの仕事をしている。コロナのロックダウンの期間を利用して、ハリー王子夫妻の王室離脱の顛末をアメリカ人のキャロリン・ドゥランドと共同で執筆した。この頃からすでにハリー王子夫妻と親しいことがささやかれていた。2020年8月、『Finding Freedom』(訳註:日本では『自由を求めて』のタイトルでは2020年12月22日に扶桑社より発売。加藤洋子訳)が上梓されると、そこにはメグジットの舞台裏が非常に詳しく、いや詳しすぎるほどに書かれていた。「H&M」(ハリー王子夫妻につけられたニックネーム)から遠ざけられている多くの王室ジャーナリストの嫉妬を買うには十分だった。

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メグジットの舞台裏を描いたオミッド・スコビーとキャロリン・デュランドの共著『Finding Freedom』。photography: Getty Images

当初、メーガン夫人は『自由を求めて』の執筆には関わっていないと言っていた。しかし2021年11月、プライバシーの侵害を理由に「メール・オン・サンデー」紙を訴えた裁判でメーガン夫人はこの本の著者2人の取材に先立ち、アシスタントに「説明メモ」を渡したことを認めた。ロンドンでは、オミッド・スコビーをメーガン夫人の友人だと誰もがみなすようになった。そのことは、オミッド・スコビーをいらだたせた。「私が英国で嫌われていることは知っている。最低の人間であるかのような話が出回っている」と11月25日の「タイムズ」紙で嘆いた。もっとも「H&M」の取り巻きと知り合いであることは否定しない。「メーガン夫人と共通の友人がいて、情報や詳細を得るのに役立っている」そうだ。

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メーガン夫人のファン?

オミッド・スコビーの経歴を掘りさげると、このジャーナリストとメーガン夫人の共通点が見えてくる。彼女と同様、彼は中流家庭で育ち、父親がスコットランド人、母親がイラン人のハーフだ。国籍はイギリス人。「タイムズ」紙のジャーナリスト、ローラ・プルマンによると、王室専門家となったオミッド・スコビーは自らの出自もあり、メーガン夫人とハリー王子のラブストーリーを「最高に情熱的」だと感じ、大変興味を持ったそうだ。「懸命に働いて、近しい存在になれるように努力した。そうすれば、情報や記事を修正したいと宮殿側の人間が思った時、相談してくれるような存在になれると思った」。ジャーナリズムの倫理に照らしてどうなのかはともかく、こうした態度をとったことで彼はインターネットで反メーガン派の荒らしの標的になってしまった。「正直、本当につらくて、もう消えたいと思うこともあった」

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ウェストハリウッドでキャッチされたオミッド・スコビー。 (2023年2月8日) photography: ABACA

H&Mと出会う前のオミッド・スコビーはウィリアム皇太子やキャサリン皇太子妃など王室関連記事を書きながらも「イギリス王室に特段の個人的興味はなかった」と言う。少なくとも2016年までは。同年、「ダーティハリー」と呼ばれたハリー王子の人生に人気ドラマ「SUITS/スーツ」の女優が登場する。当時、オミッド・スコビーはアメリカの「Us Weekly」誌でイギリス王室担当としてロンドン支局を開設したばかり。その後、2017年に「ハーパーズ バザー」に移り、王室部門の責任者となる。実のところ現在もその職にあり、並行してABCニュースや「グッドモーニング・アメリカ」とも仕事をしている。

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トラブルメーカー

オミッド・スコビーの私生活についてはほとんど知られていない。わかっているのは「絶望的なまでに独身」であること、フレンチブルドッグのヨシと楽しく暮らしていること、以前はK-POPに熱中していたこと(2012年にはKポップカルチャー専門のウェブサイトまで立ち上げた)ぐらいだ。彼を批判する人がよく引き合いに出すのは整形手術疑惑。実際、20年間で彼の顔は別人ではないかと思うぐらい著しく変わった。この疑惑に対して本人はタイムズ紙の取材で否定している。「みんなこだわりすぎだ。整形手術なんて受けていない。何にも馬鹿げたことはしてないよ」とため息をつく。本当に? 突っ込んでみると、ボトックスは試したことがあることを認めた。だが「何年も前」の話だ。ウルセラリフト、すなわち超音波(HIFU)の働きでメスを使わずにできるフェイスリフトもお気に入りのようだ。いずれにせよ、42歳のオミッド・スコビーは永遠の若さの秘訣を見つけたようにみえる。

オミッド・スコビーはこれからもしばらく噂の的になりそうだ。なにしろ『Endgame』で「ファーム」(英国王室の呼称)をこっぴどくこき下ろした上にその没落を予言し、イギリス中の怒りを買ったのだから。ウィンザー家の終焉が近いことを彼は固く信じている。ウィリアム皇太子は無鉄砲なビジネスマンであり、「宮殿の汚い手口やそれを提案する廷臣たちにますます接近している」そうだ。チャールズ3世は「ダイアナ妃の人生を破壊した不実な夫であり、父親としても不完全」な人物だと言う。結局のところ「シェイクスピアの悲劇のような権力闘争」が、「人々から愛されている皇太子と嫌われている王の間で」勃発するだろうとのこと。オミッド・スコビーの新著にはある人物が欠けている。それは王室から嫌われているジャーナリスト、トラブルメーカー、口にするのもはばかられる秘密を知っている者。そう、オミッド・スコビー本人である。

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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