チャールズ国王とウィリアム皇太子の対立、洗脳されたハリー王子? 王室暴露本に書かれた衝撃的な話15選。

Culture 2023.12.19

英国人ジャーナリスト、オミッド・スコビーの『Endgame』が発売された。本書はウィンザー家の知られざる秘密を暴露しているそうだ。どんな話が書かれているのだろう。

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コンサート会場でのハリー王子とメーガン夫人。(モンテシート、2023年9月22日) photography: Abaca

オミッド・スコビーはハリー王子夫妻の友人と噂される人物だ。前作『Finding Freedom』(訳註:日本では『自由を求めて』のタイトルで2020年12月22日に扶桑社より発売。加藤洋子訳)はハリー王子夫妻についての本だった。新作『Endgame』がイギリスで発売され、続いてフランスで翻訳出版されたばかり。400ページ以上の大作で、イギリス王室について数々の衝撃的な話を暴露している。著者は一時期、イギリス王室に近いジャーナリストとして広く活躍していた。2020年の「メグジット」の際、ハリー王子とメーガン夫人側に立った本を出版したことで彼の運命は大きく変わった。女王の老顧問から当時、こんな風に言われたそうだ。「あなたはジャーナリストとして珍しい立場にいる。家族の争いに巻き込まれたね。ただ、あなたは間違った側にいるよ」と。

今やオミッド・スコビーが失うものは何もない。「デイリーメール」紙から「陰謀論」と批判された本書では、エリザベス女王の死によって英王室が弱体化し、やがて没落するだろうとまで予測している。国王チャールズ3世は「不在がちな父親で不実な夫」であり、「ダイアナ妃の人生をダメにした」男として描かれる。カミラ王妃に対しても容赦ない。「多くの人々にとって、カミラはいまだに2番目の妻であり、チャールズとダイアナの結婚生活の邪魔をした人物であり、イギリス王室内に多くの苦しみと混乱をもたらした原因」なのだそうだ。これを読んだだけでも、どんな内容かは想像がつくだろう。ウィンザー家のほぼ全員がこんなふうに叩かれている。

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チャールズ3世とウィリアム皇太子

オミッド・スコビーによれば、ウィリアム皇太子とチャールズ3世は密かに競いあっているそうだ。そしてその例証としてレディ・スーザン・ハッセーの事件を挙げる。王室に近い貴族であるレディ・スーザン・ハッセーは、バッキンガムでの公式レセプションで黒人のフェミニスト活動家に人種差別発言をし、後に2022年11月、謝罪した。激怒した皇太子は、今後この貴族と距離を置くよう内々に指示した。ところがチャールズ3世は反対した。「国王はすぐさま激しく反応した。(チャールズ3世とウィリアム皇太子が)お互いに協力しあうよりも牽制しあっているかのようだった」とオミッド・スコビーにバッキンガム宮殿の関係者は語った。

この一件の後、父子関係は緊張感を増しているとオミッド・スコビーは言う。ケンジントン宮殿とバッキンガム宮殿は「いまやそれぞれが独自に活動し、目指す"近代化"の方向も異なる」そうだ。そして「自らの役割についての考えが国王と皇太子で異なる」とも。ウィリアム皇太子がインタビューを受けたために、チャールズ3世が初めて開催した軍事パレード、トルーピング・ザ・カラーがトップ記事扱いとならず、影が薄くなってしまったケースはその一例だ。「こうしてチャールズの即位後、父子が滅多に一緒に姿を現すことがなくなった」

内輪では、ウィリアム皇太子が国王の忠告に従わないことも増えているようだ。皇太子に近い関係者曰く、「はっきり言って、ウィリアムは父親が有能だと思っていない。共通の趣味や関心事はあるものの、ふたりのリーダーシップのスタイルは異なる」そうだ。オミッド・スコビーも同様に考えている。「息子は父親のアドバイスにあまり耳を貸さない。率直すぎる物言いで人気を落としたチャールズと同じ失敗をしたくないと考えているからだ」。そしてウィリアム皇太子の存在感は増すばかり。本書は「関係者曰く、父の治世が長くないであろうことを本人もわかっている。年齢的なことだけ考えても。だからその前提で行動している」と指摘する。さらに、「チャールズは母親の花壇に足を踏み入れることはしなかった。ウィリアムは違う。早く手綱を握りたがっている(中略)。だからチャールズと女王の関係と異なり、父親に余裕を与えない」とも。雰囲気はだいぶ悪そうだ。

王室のフラストレーション

オミッド・スコビーによると、ハリー王子の回顧録『The Spare』が2023年1月10日に発売された後、ハリー王子とチャールズ3世は話をしている。親しい友人のアドバイスで、王子は国王に電話をかけた。「気まずくても最初の一歩を踏み出さなければ、絶対に進展はないとわかっていたからだ。罵声を浴びせられたり口論になったりということはなかったが、国王は冷淡で口数少なく、対話する気はないようだった」と王子の友人のひとりが本書で語っている。国王のこういう態度を他の王室メンバーはよく思っていない。「チャールズが皆のために事態を収拾しようとしないことに、広い意味での王室メンバーはますますいらだちを募らせている」と匿名の関係者は語った。

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怒りっぽいチャールズ3世

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「英連邦と自然」パーティーでのチャールズ3世。(ドバイ、2023年11月30日)photography: Getty Images

チャールズ3世の怒りっぽい性格は国王になってからも変わらず、常に母親と比較されることもイライラが募る原因となった。「"女王ならこうしなかった"、"女王ならこうしただろう"と配下の者から言われることに国王は耐えられない」と本書にはある。さらに「即位直後から、"赤いボックス"の書類に印を押すという単純作業に国王は嫌気がさしていた。そのことを王に近い情報筋が漏らしたから事態はさらに悪化した。エリザベス女王はこの業務を嬉々としてやっていたのに(中略)。当初からチャールズはこれを退屈でイライラする作業と感じていたようだ。もしかしたら皇太子というもっと自由な立場が懐かしいのかもしれない」

太陽王

本書ではチャールズ3世の癖も取り上げている。「国王を知る人、彼のために働く人、彼について書く人は、狩猟小屋を世界で最も壮麗な宮殿に変えた太陽王ことフランスのルイ14世になぞらえたりする」とある。オミッド・スコビーに言わせると国王のライフスタイルは「普通じゃない」そうで、4人の使用人が毎朝王の服を用意し、着替えを手伝う。朝食にはゆで卵、ゆで時間はきっちり4分間だ。「1秒たりとも時間がオーバーしたり足りなかったりすると激怒してキッチンに突っ返す。まるで子どものように」と書かれている。著者によれば、君主はパジャマにきちんとアイロンがかかっていないのも耐えられない。さらに、靴紐がくたびれてくると、すぐにアイロンのかかった靴紐に交換させる。細部にこだわる人物像が浮かびあがってくる。

フロッグモア・コテージ

ハリー王子夫妻がフロッグモア・コテージから立ち退かなければならなかった裏には、アン王女の発言があったとオミッド・スコビーは明かす。2022年のクリスマスパーティーのことだった。「一族がいつものようにサンドリンガム・ハウスに集まっていたとき、アン王女がチャールズ3世に、サセックス公爵家からフロッグモア・コテージを(そしてアンドルー王子からロイヤル・ロッジを)取り戻す時期だと提案した。ある関係者曰く、アン王女が正しいことを国王はわかっていた。それは罰として取りあげるという趣旨ではなく、もうハリー王子やメーガン夫人、そしてアンドルー王子も王室の現役メンバーではないという事実に基づく正当な提案だったからだ」とオミッド・スコビーは語っている。その後、国王は提案通り実行した。

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ハリー王子との会話

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アイスホッケーの試合会場でのハリー王子。(バンクーバー、2023年11月20日) photography: Getty Images

チャールズ3世からフロッグモア・コテージの返却を求められたハリー王子は、イギリスを訪れる際、ウィンザー以外の場所では安全に泊まれないと考えた。ハリー王子は電話でチャールズ3世に「孫たちに会いたくないの?」と聞いたそうだ。それに対し、国王は何か解決策はあるさ、と答えたそうだ。その後、国王はフロッグモア・コテージにアンドルー王子を住まわせることを決めた。夫妻に対する "懲罰的な仕打ち"だと、匿名の関係者複数名が本書で語っている。

テイラー・スウィフトも断った

歌手はチャールズ3世の戴冠式コンサートへの出演を断ったそうだ。「城での戴冠式コンサートの出演アーティストを探すのに主催者側は苦労した。出演辞退したアーティストは多く、エルトン・ジョンハリー・スタイルズスパイス・ガールズアデルテイラー・スウィフトエド・シーランらだ」とオミッド・スコビーは言う。国王にとっては苦い思い出となった。なお、カイリー・ミノーグも出演を辞退したと言われている。

2人の人物の名前

ハリー王子夫妻がオプラ・ウィンフリーの番組に出演して、息子アーチーの肌の色に関して特定の王室メンバーから不適切な発言があったと語ったことがある。もっともこの時、夫妻はメンバーの名前を明かさず、ふたりの広報担当もエリザベス女王やフィリップ王配ではないと述べただけだった。オミッド・スコビーによれば、メーガン夫人はチャールズ3世に宛てた私信の中で、この2人の名前に触れていたという。「プライベートな内容の手紙には2人の名前が含まれていたが、わたしには明かすことが許されていない。複数の情報源によれば、どうやら国王はこの2人の側には悪意や偏見がないことを、メーガン夫人に理解してほしかったようだ」。メーガン夫人は私信の中で "人種差別 "の言葉を決して使わなかった。しかし、2人の名前は結局、ジャーナリストのピアーズ・モーガンがテレビで明かした。彼によると、その2人とはキャサリン皇太子妃と......チャールズ3世。

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メーガン妃を無視したキャサリン皇太子妃

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エリザベス女王の葬儀に参列するカミラ王妃、ジョージ王子、メーガン夫人、キャサリン皇太子妃、エディンバラ公爵夫人ソフィー妃、シャーロット王女。(ロンドン、2022年9月19日)photography: Getty Images

本書はキャサリン皇太子妃に対しても容赦ない。ある匿名の関係者によれば、皇太子妃は「気に入らない相手には冷たい」そうだ。オミッド・スコビーは、「これはケイトの性格の一面だが、ほとんど報じられない」とつけ加え、次のように憤慨する。「母親を含む人々のメンタルヘルスという大義名分には立ちあがるが、義理の妹から助けてほしいと言われても無視する。人々が皇太子妃に抱く、穏やかで社交的な人物というイメージにそぐわない」

震えてみせたキャサリン皇太子妃

オミッド・スコビーはさらに、キャサリン皇太子妃は「メーガン夫人と話すよりもメーガン夫人のことを話している時間の方が長かった」と指摘し、メーガン夫人の名前を聞くと「冗談で震えてみせた」と書いている。その後キャサリン皇太子妃はエリザベス女王の葬儀でメーガン夫人を無視することにしたそうだ。

不名誉なニックネーム

本書はキャサリン皇太子妃をさらにこきおろす。キャサリン皇太子妃は「パートタイム」王室メンバーであり、"Katie Keen"(ケイティ・キーン;熱心なケイトの意)というニックネームがつけられているそうだ。宮殿の人間によると、皇太子妃の公務が比較的少ないのは皇太子妃が「勉強熱心」だからであり、ひとりの時間が多く必要だから。なお、皇太子妃は子供たちのそばにいてやりたいと思っているため、「今後10年から15年の間」仕事量を増やす予定はないこともオミッド・スコビーは指摘する。

ダイアナ妃の"コスプレ"

「過去13年間で、ダイアナ妃の"コスプレ"は王室の定番になった」とオミッド・スコビーはお気に入りのキャラクターの扮装をするマンガカルチャーの用語を使ってイギリス王室のファッション傾向を説明している。キャサリン皇太子妃とメーガン夫人がそれぞれダイアナ妃の息子の妻であることを考えれば、ふたりがダイアナ妃っぽい格好を周囲から勧められるのは「理にかなっている」とも指摘している。その意図は、ダイアナ妃の人気が「ふたりに波及するため」なのだそうだ。

洗脳された?

本書では、ウィリアム皇太子がハリー王子のことを「セラピスト集団」に洗脳されてしまったと考えていることを、匿名の関係者の証言として紹介している。「皇太子はハリーが知らない人のようになってしまったと感じており、そのようなハリーは知りたくないと思っている」と関係者は語っている。

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ハリー王子はBBCニュースアプリでエリザベス女王の死を知った

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エリザベス女王の葬儀に参列するウィリアム皇太子とハリー王子。(ロンドン、2022年9月19日)photography: Getty Images

ハリー王子はエリザベス女王の容態を知らされていなかった。「ハリー王子夫妻は、バッキンガム宮殿がすでに女王の死去後と新しい国王の誕生を準備していることは知らなかった。ハリー王子の電話に見知らぬ番号から電話がかかってくるまでは」。それはチャールズ3世からの電話で、女王のそばにすでにアン王女が付き添っており、他の王室メンバーもバルモラルに向かっている途中と伝えられた。ハリー王子はウィリアム皇太子に連絡を取り、一緒にスコットランドに行けるかメッセージを送ったが、返事はなかった。その後、ハリー王子は30,000ポンドでプライベートジェットをチャーターして向かったが、到着した時点で女王の死去を知った。「メーガン妃から、できるだけ早く電話をしてほしいというメッセージが入っており、続いてBBCニュースアプリが速報を伝えた」

「愚か者」のハリー

2022年12月、Netflixのドキュメンタリー「ハリー&メーガン」が公開され、チャールズ3世は完全に腹を立てた。「息子の話はしたくないというレベルから、息子を愚か者と呼び、公然と批判するようになった」とオミッド・スコビーは書いている。一方ハリー王子は今、過去のいさかいを忘れ、モンテシートで妻と2人の子どもたちと平穏な生活を送ろうとしているそうだ。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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