ダイアナ妃が公務で2度着用したドレス、過去最高額の約1億6800万円で落札される。
Culture 2023.12.21
12月17日(日)、オークションハウスのジュリアンズ・オークションが、かつてダイアナ妃が所有していたジャック・アザグリーのドレスの売却を完了し、107万4420ユーロ(約1億6800万円)の値がついた。
イタリアを訪問中のダイアナ妃とチャールズ皇太子。(フィレンツェ、1985年4月)photography: Tim Graham / Tim Graham Photo Library via Getty Images
現在、オークションで落札されたダイアナ妃のドレスの中で最も高価なものである。オークションに出品された時点では、9万5000ユーロ(約1400万円)から19万ユーロ(約2980万円)の値がつくと見積もられていた。19回の入札があり、そのたびに5万ドルずつ価格がつり上げられた結果、このドレスは予想の11倍にあたる100万ユーロ以上で落札された。入札を担当したオークションハウス、ジュリアンズ・オークションは、収益はすべてニューヨーク歴史協会に寄付されると述べた。雑誌「ピープル」によれば、これまでのところ(ドレスに関してのみ)、最高記録は2023年1月に60万ユーロ(約9400万円)で売られた紫色のドレスが保持していた。では、落札価格を高騰させたこの驚異のドレスとは?
2ピースに分かれたこの黒いベルベットドレスは、ブルーのメタリック糸で星の刺繍が施され、ロイヤルブルーのオーガンザスカートはバレリーナ丈である。ダイアナ妃は、この肩パッドのついたドレスを公式の場で2回着用した。1度目は1985年4月、イタリアのフィレンツェで行われた市長主催の晩餐会。2度目は1986年5月、バンクーバー交響楽団のコンサートに出席するときだった。この服は、ダイアナ妃が当時英国版「ヴォーグ」誌の編集者だったアナ・ハーヴェイを通じて知り合ったモロッコ生まれの英国人デザイナー、ジャック・アザグリーがデザインしたものだった。
バンクーバー交響楽団の公演に出席するため、ジャック・アザグリーのドレスを着てオーフィウム劇場に向かうダイアナ妃。(バンクーバー、1986年1月)photography: Tim Graham / Tim Graham Photo Library via Getty Images
ダイアナ妃のこのルックは根本的に象徴的でも有名でもないかもしれないが、『HRH: So Many Thoughts on Royal Style(原題)』の著者であるジャーナリストのエリザベス・ホームズは米ラジオ局NPRに対して、「このドレスが彼女のファッションの進化における重要な瞬間を表していると思う」と説明している。
実際、結婚から数年後、チャールズ皇太子夫人は保守的で地味なスタイルから、より大胆で主張の強いアイテムを取り入れた流行のスタイルへと移行した。このドレスは、ダイアナ妃がダンスを愛し、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団を後援していることもさりげなく示している。
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もっと有名な服がもっと安価で売られている
同じオークションには他にもダイアナ妃の作品が出品されていた。そのうちのひとつは一般にはほとんど知られていなかったが、記録的なジャック・アザグリーのドレスに押され、はるかに安い値段で落札された。これはダイアナ妃が婚約記念写真で着用したパウダーピンクのブラウスである。彼女のウエディングドレスもデザインしたエリザベス・エマニュエルがデザインしたものだが、それでも推定価格の3倍を超える35万8140ユーロ(約5600万円)で落札された。死後26年経った今も、ダイアナ妃は人々を魅了し続け、その服は高値で取引されている。
text: Sarah Renard (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi