フレンチカップルの恋愛事情。 現代における"ロマンティックな恋愛"って何?

Culture 2024.01.01

いま、フランスのカップルたちはどんなことに悩み、どんな恋愛観を持っているのか? 恋愛に求めることや別れ方など、時代によって変わるリアルな恋の在り方を見ていこう。

現代におけるロマンティシズムとは?

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出会い系アプリの流行、一過性の関係、全世代を襲う離婚の嵐、フェミニズムの新たな波......。2023年の社会における恋愛の価値観は大きく変わりつつある。とはいえ、恋愛が私たちの人生において重要なのは不変のようだ。

欲しいのはモノじゃない。

ジェシカ(32歳/編集者)の場合①:
ロマンティックな恋愛のイメージといえばハッピーエンドがお約束のロマンティックコメディ。映画やドラマが伝播するのはだいたいがステレオタイプ(主人公は異性愛者で、多くの場合白人で、女性は貧しく男性は裕福など)だが、それでも「恋愛したいと思わせてくれることもある」とジェシカは言う。「チョコレートや花をもらってもうれしくありません。生活に必要なお金は自分で稼いでいますし。恋愛に求めているものは愛や優しさ、普段のさりげない言動、素敵な愛の告白......なのです」

ラブ・インテリジェンス研修センター創設者フローランス・エスカラヴァージュの見解:
「ロマンティックな恋とは相手から敬意を払われている、配慮されている、自分が高められていると感じること。相手が私たちを理解し、その価値を高めるために時間をかけ、注目してくれるということだからです。現代の恋愛において最も大切なのは、ゆっくり時間をかけること」。何でもパパッとこなすのがよしとされる現代に逆らって、好きな人のことを知るために時間を取り、キスやセックスをする前に時間をかけることは真の意味でロマンティックだと言えるだろう。

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お金のこと、パートナーと話し合う?

ジェシカ(32歳/編集者)の場合②:
「時間はかかるし、エネルギーもいるけれど、真剣な交際に進展した時に、もしあらかじめ互いの金銭状況を話し合う時間を取っていたら、どれだけの衝突が避けられるでしょう」。彼女は自分よりも多く稼いでいた恋人に何度か食事を奢った後で、自分はそう頻繁に食事代を支払うことはできないし、したくないと告げた。その後、互いの支出入のバランスを取るため、協力してエクセルで家計簿を作ることに。それ以後、金銭問題で揉めごとが起きたことはなく、彼女はお金の話というタブーを破ってよかったと話している。

フェミニストインスタグラム運営者カミーユ・オモン・カルネルの見解:
@jemenbatsleclito
「誰もがみんな、気の合う素晴らしい人とスーパーのパスタコーナーでばったり出会えたらいいななんて思っているはず。でも、そんな奇跡は神話です。お金、仕事、食生活、飲酒習慣......のようなややこしいことでもすぐに話題にしたほうがいい。自分が付き合っている男性が子どもを望んでいないのなら、すぐに知ったほうがいいと思いますし。私はデートの相手を迎えに行き、ディナーを奢り、相手を家まで送るという、旧来男性が行っていたことを引き受けています」。現代のロマンティックな恋愛は確固としたルールはない。お金の話を序盤で持ち込むこと然り、アプローチやデート代を払うのは男の役目、男たるもの感情は表に出さない!みたいな、社会がいまだに押し付けてくる価値観をコピぺするのではなく、相手と一緒に自分らしいロマンティックな恋愛の形を作っていくことが大事になるのだ。

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恋愛の理想と現実。

ジェニファー(39歳/弁護士)の場合:
過酷で無慈悲な社会において、愛こそが試練を乗り越える原動力。「私は、自分と合わない人に心を動かされる、という恋愛の筋書きこそがロマンティックの極致と感じます。とはいえ、ティーンの頃に夢中になったロマコメと現実の恋愛にはズレがあることも理解はしています。現実はそれほどキラキラしたものではなく、落胆させられることも多い。時には支配や暴力が絡んだ関係に、私自身が陥ることもあるんです」

作家兼編集者モルガン・オルタンの見解:
@amours_solitaires
2013年6月に出会い系アプリBumbleの依頼でYouGov研究所が実施した調査でも、回答したフランス人の大多数(79%)がいまなおロマンティックな恋愛を信じているという結果が出ている。一方で、回答者の52%(18~24歳では70%)が、子どもの頃に参考にした映画やドラマはもう古いと考えていることも明らかに。「ステレオタイプな登場人物が出てくる『グリース』や『ダーティ・ダンシング』などの恋愛要素はもう時代遅れ。近年の#MeToo運動の高まりを受け、男女平等で流動的なものへと形を変えつつあります。そして"同意"という概念もいまや定着しています。ドラマ『ノーマル・ピープル』(アイルランドとアメリカを舞台に、少年少女の恋愛関係と、ティーンから成人に成長するまでを描いた。2020年放映)で性的同意のあるセックスシーンを見た時、涙が出ました。こうした形のコミュニケーションこそ超ロマンティックと思いました」

*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋

text: Delphine Bauer (Madame Figaro)

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