韓国ドラマの食事から知る、韓国の日常。 世界のパク・ソジュンを産んだスンドゥブ。『梨泰院クラス』

Culture 2024.01.02

韓国ドラマによく登場する食事シーンは、主人公たちの心情や、作品のコンセプトそのものを伝える役割を果たす。食材やメニュー、食卓の風景などからもっと深くドラマを理解しよう。


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スンドゥブは漢字で純豆腐。おぼろ豆腐に似た柔らかい豆腐を、魚介類などと一緒に煮込んでピリ辛チゲに仕立てる。平凡な定食だったのが、移民した韓国人がアメリカでチェーン展開し、大ブームに。2000年頃には韓国に逆輸入され、全国にスンドゥブ専門店プクチャンドンスンドゥブができた。若い頃の恨みを胸にスンドゥブを商売道具として敵を討つサクセスストーリー『梨泰院クラス』では、毎回ドラマにスンドゥブが頻出。最終回では父から受け継いだ秘伝のメジュ(味噌玉麹)も登場する。田舎の大衆食堂から大都会のフードコートまで、どこでも見かけるスンドゥブチゲ。ドラマのヒットをきっかけに、主人公を演じたパク・ソジュンは今年、ハリウッド進出。スンドゥブ同様、アメリカでもパク・ソジュンの存在が知れわたる日はそう遠くはない。

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『梨泰院クラス』
主人公パク・セロイは誰よりも正義感が強い。それゆえにトラブルに巻き込まれ、高校を中退し、前科者になった。すべてを失い、どん底の中で訪れた梨泰院の街。その多様性と自由に魅了された彼は、再び希望を胸に抱き、仲間たちと小さな店を立ち上げる。そして父親の敵でもある大手外食チェーンのオーナーとの戦いに挑む。
監督/キム・ソンユン 脚本/チョ・グァンジン 出演/パク・ソジュン、キム・ダミ、ユ・ジェミョン、クォン・ナラほか
Netflixにて独占配信中。

Text: 伊東順子
1990年に渡韓し、企画、翻訳オフィスを運営する。2017年に同人誌「中くらいの友だちー韓くに手帖」(皓星社刊)創刊。著書に『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』(集英社刊)、7月には第2弾を発売予定。

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*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋

illustration: Kaeko

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