韓国ドラマの食事から知る、韓国の日常。 愛を包んだサンチュ。『宮~Love in Palace』

Culture 2024.01.04

韓国ドラマによく登場する食事シーンは、主人公たちの心情や、作品のコンセプトそのものを伝える役割を果たす。食材やメニュー、食卓の風景などからもっと深くドラマを理解しよう。



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韓国ではカルビやサムギョプサルなどの焼き肉や、あるいはポッサムなどの蒸し肉も、サンチュなどの野菜で包んで食べる。またサンパブというメニューがある食堂も多い。サンは包む、パブはごはん。何種類もの野菜(時には生昆布などの海藻も)で、ごはんやおかずを包んで食べる。『宮~Love in Palace』には皇太子が妻の実家に行き、家庭菜園で収穫したサンチュやチコリで朝食にサンパブを食べるシーンがある。手づかみで、大きな口を開き、さらにお互いの口に入れて食べさせることに皇太子は戸惑う。まるで母親が小さな子どもに食べさせるように、夫婦でも、恋人でも、時には友だち同士でも、愛情表現としての「はい、あーんして」。この「包んで食べる」習慣のために、自宅でサンチュなどを栽培している人も多い。

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『宮(クン)~Love in Palace』
韓国に現在も皇帝がいると仮定したファンタジー・ラブコメディ。現皇帝の病が悪化したため、皇太后は高校生である皇太子シンの結婚を急がせる。シンは密かにつきあっていた恋人にプロポーズするが断られてしまう。一方、平凡な女子高生チェギョンのところに、王室から皇太子の婚約者になるよう連絡が届いて大騒動が......。
監督/ファン・インレ 脚本/イン・ウナ 出演/ユン・ウネ、チュ・ジフン、ソン・ジヒョ、キム・ジョンフンほか 
©2006 Eight Peaks/MBC All Rights Reserved.
©2009 GD Corp inc.

Text: 伊東順子
1990年に渡韓し、企画、翻訳オフィスを運営する。2017年に同人誌「中くらいの友だちー韓くに手帖」(皓星社刊)創刊。著書に『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』(集英社刊)、7月には第2弾を発売予定。

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*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋

illustration: Kaeko

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