韓国ドラマの食事から知る、韓国の日常。 栄養たっぷりのわかめスープは誕生日に。『トッケビ』

Culture 2024.01.04

韓国ドラマによく登場する食事シーンは、主人公たちの心情や、作品のコンセプトそのものを伝える役割を果たす。食材やメニュー、食卓の風景などからもっと深くドラマを理解しよう。


 

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『トッケビ』のヒロイン女子高生ウンタクは、幼い頃に母親を亡くし、意地悪な叔母とその家族と暮らす。家事を押し付けられ、まるでシンデレラようだが、自分用のわかめスープを作っていたら、いとこに問いただされる。「まさか誕生日とか?」。韓国では誕生日の朝にわかめスープを食べる。普通の女子高生なら母親が作ってくれるし、一人暮らしなら「わかめスープは食べた?」と誰かが気を使う。韓国のわかめスープは想像するよりも濃厚で、飲むというよりは食べるもの。そもそも韓国では、出産を終えたばかりの母親が食べる。時間をかけて煮込まれたわかめは、産後の栄養補給には欠かせない、と昔から考えられてきた。食卓に並べるのは母親が子どもが生まれた時の喜びを思い出すためで、子どもは母親への感謝の気持ちを忘れないためだという。

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『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』
トッケビは妖怪という意味の韓国語だ。キム・シンは高麗時代の英雄だったが、若き王の嫉妬から逆賊として命を落とす。その後、神の力によって不滅の命を持つトッケビとなる。900年後のある日、シンは女子高生ウンタクと出会う。天真爛漫な彼女の姿にシンの心は揺れる。
監督/イ・ウンボク 脚本/キム・ウンスク 出演/コン・ユ、キム・ゴウン、イ・ドンウク、ユ・インナ、ユク・ソンジェほか
©STUDIO DRAGON CORPORATION

Text: 伊東順子
1990年に渡韓し、企画、翻訳オフィスを運営する。2017年に同人誌「中くらいの友だちー韓くに手帖」(皓星社刊)創刊。著書に『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』(集英社刊)、7月には第2弾を発売予定。

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*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋

illustration: Kaeko

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