韓国ドラマの食事から知る、韓国の日常。 母業はキムチ漬けが基本。『シスターズ』

Culture 2024.01.06

韓国ドラマによく登場する食事シーンは、主人公たちの心情や、作品のコンセプトそのものを伝える役割を果たす。食材やメニュー、食卓の風景などからもっと深くドラマを理解しよう。


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韓国人の食卓になくてはならないもの、それがキムチだ。代表的な白菜キムチ。白菜が収穫される初冬には、各家庭で基本的に母親が大量にキムチを漬ける。その次に有名なのはカクトゥギと呼ばれる大根キムチだろうか。そのほかにも季節野菜を使ったキムチがある。『シスターズ』に登場するヨルムキムチは大根の抜き菜(若菜)を使う。大根の辛味とシャキシャキした歯ごたえがたまらない。この母親は娘の修学旅行のお金をくすねるようなダメ親なのだが、夜逃げの前でも殊勝なことにキムチだけはちゃんと漬けていく。さらに置き手紙も。「キムチは1日置いてからキムチ冷蔵庫に入れて」。韓国の家ではもれなくキムチ冷蔵庫という専用庫があり、そこに保管しておけばずっとおいしく食べられる。母として、自分なりに仕事をこなしてから夜逃げしたワケだ。

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『シスターズ』
韓国語の原題は『チャグン・アッシドゥル』(若草物語)。ドラマには4姉妹ならぬ3姉妹が登場する。長女は建設会社の経理、次女は報道記者、三女は芸術学校に通う。性格も将来の夢も異なる三姉妹だが、ふとしたところから権力者たちの陰謀に巻き込まれる。3人はそれぞれの個性を生かし、力を合わせて巨悪と戦う。
監督/キム・ヒウォン 脚本/チョン・ソギョン 出演/キム・ゴウン、ナム・ジヒョン、パク・ジフ、ウィ・ハジュンほか
Netflixにて独占配信中

Text: 伊東順子
1990年に渡韓し、企画、翻訳オフィスを運営する。2017年に同人誌「中くらいの友だちー韓くに手帖」(皓星社刊)創刊。著書に『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』(集英社刊)、7月には第2弾を発売予定。

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*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋

illustration: Kaeko

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