LGBTQ+の関係を描いたドラマカタログ さまざまな試練と世間の荒波を乗り越える、名作ドラマ。
Culture 2024.02.12
人が恋する姿を観ることは、時に辛く、時に切ない。でも深く考えさせられる。LGBTQ+の恋を丁寧に描いた名作は豊富だ。人間ドラマはもちろん、ファンタジーからクライムサスペンスまで、5人のドラマラバーが沼落ちした作品をリコメンド。
●NHKオンデマンドにて配信中
#01. 「女子的生活」
現代社会の偏見に抗うヒロイン。
坂木司の同名小説をドラマ化。外見は美しい女性ながら性別は男性で、恋愛対象は女性というトランスジェンダーの小川みき(志尊淳)は、田舎から上京してファストファッションメーカーに勤めている。"女子的生活"を満喫していたある日、みきのもとへ高校の同級生だった後藤忠臣(町田啓太)が現れる。行くあてがなく泊まらせてほしいと懇願する後藤に、合コンのセッティングを条件に共同生活を始めたが、そこにゆい(小芝風花)が現れ......。「志尊淳の美麗ぶりが抜群。『年を取っても(若いままのように)女子っぽくいられるかどうかもわからない』など、みきの生々しいセリフは心に刺さり、女性として共感」(小林) 「みきの女性としての姿を初めて見た父から『子どもの幸せを願わん親なんておらん』と大きく包まれる故郷のシーンは胸を打つ」(かわむら)
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●U-NEXTにて配信中
#02. 「NOT ME」
不平等な現実と闘う社会派ストーリー。
強い絆で結ばれた双子のブラックとホワイト(アタパン・プーンサワット/ガンの一人二役)は、幼い頃に両親が離婚して離れ離れに。大人になったある日、地元に戻ったホワイトは急に体調を崩す。片方に何かが起こると、もう一方も異変を察知する双子ゆえ、ホワイトはブラックに何かあったのではと心配する。暴行され昏睡状態に陥ったと知ったホワイトは、犯人を探すためブラックになりすまし彼が所属していたレジスタンス集団に潜入。リーダーのショーン(ジュンポン・アドゥンキッティポーン/オフ)に目をつけて事件の真相を追うホワイトだが、次第にふたりは惹かれ合っていく......。「現代の若者を通じて、世の中の不平等な権力構造、格差、LGBTQ+コミュニティの闘いをここまでしっかり描いたドラマは見たことがありません」(石川)
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●Netflixにて独占配信中
#03. 「梨泰院クラス」
不屈の精神で突き進む信念の物語。
ソウルの国際色豊かなエリア・梨泰院で、小さな居酒屋を開店した前科者の主人公パク・セロイ(パク・ソジュン)は、ソシオパスでIQ162のチョ・イソ(キム・ダミ)、ギャング出身のチェ・スングォン(リュ・ギョンス)、トランスジェンダーのマ・ヒョニ(イ・ジュヨン)、ギニア人と韓国人の血を受け継ぐキム・トニー(クリス・ライアン)らと成功を掴むため奮闘する。ある日シェフのヒョニは、料理対決番組でセロイの因縁の相手・長家グループと対決。「どんな境遇でも自分の価値を自分で決めるセロイ。差別を嫌い、強い信念を持つ彼のもと、ヒョニやイソら自分らしく生きる仲間たちの姿が輝く」(かわむら) 「セロイの人を思いやる静かだけど熱い心に感動。仲間がトランスジェンダーだと暴露され世間の好奇が集まるなか、彼にかけた言葉もジーン」(山崎)
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Recommender
エスムラルダ/Esmralda
1994年より各種イベント、メディア、舞台公演等に出演。2018年にはディーヴァ・ユニット「八方不美人」のメンバーとして歌手デビュー。ライター・脚本家としても活動している。@esmralda001
小林久乃/Hisano Kobayashi
コラムニスト、編集者、プロモーション業など。視聴した連続ドラマは約1600本の筋金入りのオタク。エンタメコラムを執筆多数、『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)も上梓。 @h_i_s_a_n_o_c_h_a_n
石川晴美/Harumi Ishikawa
ライフスタイル誌、アジアエンタメライター。韓国ドラマ視聴歴20年超。2020年、CS放送で偶然見つけた「Until We Meet Again~運命の赤い糸~」をきっかけに、タイBLドラマに沼落ち。
@navy_haru
山崎敦子/Atsuko Yamazaki
「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜」からズブズブと沼入り。以来、寝食削ってドラマはもちろんK-Popにいたるまで韓流三 昧の日々。ジャンルを選ばずなんでも食す雑食系。
X(Twitter): atuatsuyamazaki
かわむらあみり/Amiri Kawamura
ライター・編集者・コラムニスト。出版社で編集者として勤務後、独立。ドラマウォッチャーで韓国や日本の作品が大得意。エンタメ雑誌や韓国ドラマのムックほかインタビュー、コラム連載、編集を担当。 https://amirikawamura.com
*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋
text: Amiri Kawamura