【立田敦子のカンヌ映画祭2024 #06】ファン熱狂!スタジオジブリが名誉パルムドール賞を受賞!
Culture 2024.05.24
映画および映画業界に貢献した人に贈られる名誉パルムドール賞。今年は、オープニングセレモニーで授与された米国の名俳優メリル・ストリープ、クロージングで受賞式が予定されている監督・プロデューサーのジョージ・ルーカスといったハリウッドの大物と並び、"ミヤザキ・アニメ"で世界に名を轟かせた日本のアニメーション会社「スタジオジブリ」が受賞した。"人"ではなく団体に贈られるのは、映画祭史上始めてとのことだという。
カンヌ映画祭のために作られたスタジオジブリのポスター。 © 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli ©2024 Hayao Miyazaki - Toshio Suzuki
映画祭総代表のティエリー・フレモーによるイントロダクションで『となりのトトロ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』など、スタジオジブリ作品のダイジェストが流れた後、来場がかなわなかった宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーによるビデオコメントが流れた。鈴木プロデューサーと宮崎監督の漫才のようなやり取りに場内は爆笑。また、鈴木プロデューサーから三鷹の森ジブリ美術館で上映されている『めいとこねこバス』『やどさがし』『パン種とタマゴ姫』『毛虫のボロ』の4作品が披露されることに触れ、評価を知りたくていろいろな映画祭に声をかけていたが、断られていたという衝撃の事実をさらりと発表。今回、上映されることへの感謝を述べた。
宮崎吾朗監督と依田謙一氏がカンヌ映画祭を訪れた。@Atsuko Tatsuta
これらの作品をカンヌ映画祭のメイン会場であるリュミエール劇場で2300人の観客と一緒に鑑賞したが、短編といえど、宮崎アニメの真骨頂である哲学的な思索とオリジナリティあふれる表現力の素晴らしさに圧倒された。会場内も、スターが来場するハリウッド作品よりも熱気にあふれ、スタジオジブリが世界の映画ファンに本当に愛されていることを実感した。
スタジオジブリのメンバーがレッドカーペットを登ると、会場では歓声が湧き上がった。@Momoko Suzuki
受賞のプレゼンターは、審査員のひとりでジブリアニメのファンで知られるスペインの監督J・A・バヨナ。名誉パルムドール賞のトロフィを受け取った宮崎駿監督の長男で『ゲド戦記』などの監督としても知られる宮崎吾朗は、「今日のジブリがあるのはスタッフのみなさんの献身があってのことです。この賞を彼らとわかち合いたいです」と受賞の喜びを語った。
宮崎吾朗監督が登壇し、名誉パルムドールのトロフィーを受け取った。@Momoko Suzuki
映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
text: Atsuko Tatsuta editing: Momoko Suzuki