我が愛しの、ジェーン・バーキン ともに作る、奏でる、歌う。アーティストの音楽論。【野宮真貴】

Culture 2024.06.20

ジェーンの歌声や表現に魅了された、同じ音楽に関わるアーティストたちは、特に何を聴き、彼女の姿をどう見ていたのか? その影響は永遠に──。


野宮真貴

ミュージシャン・エッセイスト

さりげないのに人の心に届く、
説得力のあるボーカル。

ピチカート・ファイヴに加入して、リーダーの小西康陽さんからセルジュやジェーンの音楽を教えてもらい、意識して聴くようになりました。なかでも「無造作紳士」は、さりげないのに説得力がある。また、運命的なふたりの最高傑作『想い出のロックン・ローラー』は、バラエティに富んだ楽曲でジェーンのボーカルの魅力を余すところなく引き出していて、英語訛りのフランス語もキュート。同名シングル曲は大貫妙子さんの訳詞で私もカバーしている曲だけど、ジェーンの歌の表現には未だ到達していないです。いい歌、人の心に届く歌は、音程やリズムの正確さ、声量や歌い上げることではないことを教えてもらった気がします。自然体ということではなく「さりげなさ」を美意識として常に持ち、それが無意識の領域にまで浸透したようなものをジェーンの歌からいつも感じます。それは彼女の生き方やファッションとも共通するもの。

2013年の来日公演で「ディ・ドゥ・ダー」を歌った姿が忘れられません。晩年のジェーンのアイコンスタイル"白シャツの胸のボタンを大きく開けた出で立ち"の素敵さと、1973年のアルバム発売当時の歌声と可愛らしさが変わっていないことに驚かされました。セルジュと音楽を作っていた時は、クールなファッションモデルの雰囲気でしたが、彼と別れた後、晩年はシンプルでしなやかな強さを持ったシンガーになったように思います。

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Maki Nomiya
1960年、北海道生まれ。81年『ピンクの心』でデビュー、90年よりピチカート・ファイヴの3代目ボーカルを務め、元祖渋谷系の女王と呼ばれる。2021年にデビュー40周年を迎え、音楽、ファッション、ヘルス&ビューティのプロデュースやエッセイストとしても活躍。24年2月から3都市ビルボードライブツアーを行った。@missmakinomiya

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▶︎ジェーン・バーキン、永遠のファッションアイコンの魅力を紐解く。

*「フィガロジャポン」2024年3月号より抜粋

coordination: Hitoshi Kurimoto

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