体験型エキシビジョン『Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡』(8月9日〜10月14日)が、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階にあるTOKYO NODE HALLで開催される。音楽ジャーナリストの伊藤なつみが、開幕直前の記者会見と内覧会に出席、レポートをお届けする。
実は結成は1999年!! あ〜ちゃんの妹が明かした新事実。
Perfume(あ〜ちゃん、かしゆか、のっち)が登壇する、『Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡』開幕直前&Perfume周年企画記者発表会に出席してきた。
最初に結成25周年を記念したスペシャルVTRがスクリーンに流れ、そこから、あ〜ちゃん、かしゆか、のっちの3人が登場した。
かしゆかは「ここまで25年間 Perfumeとして続けられるとは思っていなかったです。最初に広島で組んだ時は漠然と歌手になりたいと言っていたけど、皆さんと一緒に時間を過ごして、25年をこうやってたくさんの方とお祝いできることが本当にうれしいです」、あ〜ちゃんは「25年て言われると、なんかすごく長く活動されている偉い人っていう印象が自分の中ではあるんですけど、全然私たちは何も変わらずにいままで活動してきてしまったので、何にも偉くないし、何にも変わっていないし、私たちがこの25年出会ってきたいろいろな方々に支えられて、その方たちが愛を持って私たちに接してくださったおかげで、こういうふうにお祝いしたいよって言ってくれた人がいるということが、何より25年私たちがやってきた行いの結果かなと、神様も見ててくれてありがとうって思います」、のっちは「(中略)本当にあ〜ちゃんも言った通り、周りの人に支えられて、周りの人たちの方がPerfumeに期待して、なんかこんなことをやったらいいんじゃない、とか、Perfumeにこんなことしてもらったらおもしろいかもな、って思って貰えているおかげで、いまこうして3人楽しく活動できているので本当に、感謝、感謝の限りです」と挨拶した。
2年ぶりのニューアルバム『ネビュラロマンス』は初の前篇と後篇に分かれたコンセプトアルバムになり、ツアーはカウントダウンライブから始まり、初めて行く佐賀を含めた11ヶ所23公演が行われる。そして、展覧会のテーマソング「IMA IMA IMA」(10月30日発売の『ネビュラロマンス 前篇』に収録)は現在、この展示で世界で唯一聴くことができるという。のっちが「キャッチーで、サビも可愛くて......と思っていたら、なんか不穏な空気が流れるという中田(ヤスタカ)さん得意の曲になっています(笑)」と説明し、振り付けも「途中で大ジャンプするんですけど、その時のあ〜ちゃんもかしゆかも見たことがないくらい、MIKIKO先生がカ〜ワイイ!って自分がつけた振り付けで替え歌を作っちゃうくらいカワイイので、ぜひ注目してください(笑)」と話してくれた。
展示について紹介するなかで、数10メートルにも及ぶ年表の話になり、そこであ〜ちゃんから、"結成した年を1年勘違いしていた"という衝撃の発言が飛び出した。「今回、ちゃんと考えてみたら、『2000年結成』って書かれていたんですけど、『1999年結成』でした......。こんなに長く続くと思っとらんで、結成した日も覚えとらんしって思ってたんだけど、妹が覚えとって。『姉ちゃんがユニットオーディションを2回目に受けた時よ。それは年越す前じゃけぇ、99(年)って』、『そうなん?驚きじゃぁ』って会話がありました(笑)。大判明! これまでの数字は全部間違っていたかも。仕方ないね。長くやっていることこういうこともあります」とお茶目に笑い、さらに「今回から『99年結成』ということで書き換えてあるので、写メ撮って帰ってください......。あとWikipediaさんにも書かれているそうなんですけど、それは違いますので、誰か修正してください。私が300円入れておくのでお願いします」と、呼びかけていた。
展示の内覧ツアーまでに時間があったので、Perfumeのメンバーが監修したという展覧会コラボメニュー揃えているというTOKYO NODE DINING(45階)、TOKYO NODE CAFE(8階)、T-MARKET PUBLIC BAR(地下2階)の中から、TOKYO NODE DININGへ向かった。
パフェは「TOKYO GIRL」の衣装やジャケットをイメージしたもので、シャインマスカットを中心に、巨峰のシャーベットやマスカルポーネのムースなどどれもフレッシュな味わいで、途中でスタッフが「一つひとつ食べてもジュレなどと混ぜてもおいしいという、Perfumeのコンセプトを意識したもの」と教えてくれたので、混ぜたテイストも堪能。モクテル"The Light"は「The Light」の配信ジャケットをイメージして創作したモクテルで、白桃をベースにしたソーダで、さらにクランベリーにアーモンドのシロップが効いて飲み心地が良かった。
---fadeinpager---
超ハイテク体験型エキシビジョンでPerfumeの気分に没入できる。
さて、結成から現在までの歴史を巡る回顧展『Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡』は、以下の3つのギャラリーに分かれている。
Chapter 1: We are Perfume(ピンポン玉一つひとつに精密なレーザー光線を照射して、1200球×3体からなるPerfumeの"Aポーズ"の3Dシルエットを浮かび上がらせるもの)
Chapter 2:軌跡と奇跡(Perfume3人の驚異的な身体能力と研鑽されたテクノロジーとの"奇跡の同期(シンクロ)"を再現したもので、過去のステージの演出を、自分の身体で"Perfume視点"から体験できるもの)
Chapter 3:IMA IMA IMA(この展示のテーマ曲であり、今秋発売のアルバムの収録曲を、『架空のテレビ局の歌番組スタジオ』の設定の中で、テレビクルーになった感覚で楽しめるもの)
なかでも身体表現と演出の同期を体験できるのがポイント。のっちが特にオススメとして挙げたのは「無限未来」で、2018年のコンサート『Reframe』で披露された同曲でのレーザー光線を操る体験を、今回Perfumeのメンバー視点で体験できるというもの。ライブで使用するレーザー光線とは違うので目に支障はないとのことで、のっちは「レーザーを顔で浴びるみたいな感じで撮ると映える」と、映えのポイントも教えてくれた。
かしゆかのオススメは「マカロニ」。「スタンドの影と自分の実際に撮った映像の影をその場で合わせるという、難しいことをやっている同期を体感できます」というもの。2021年のライブで当時披露された演出は、事前に収録した3人の影を投影し、メンバーがそれに合わせて踊るというものだったが、本展では、体験者の影をリアルタイムで生成する、さらに進んだ演出になっているという。なお、このChapter 2の空間では、1時間に1回、別々の展示をしていたギャラリーの空間全体が同期し、25周年のスペシャル映像が投影されるという。
Perfumeはご存じのように、中田ヤスタカによる楽曲、デザイナーたちによる衣裳やMIKIKOの振り付け、最新テクノロジーを駆使する真鍋大度とクリエイティヴ・コレクティヴRhizomatiks(ライゾマティクス)などのクリエイターたちによるステージ演出が、3人の驚異的な身体性を最大限活かし、同期(シンクロ)することによって、アートとなって表現されてきた。そのステージパフォーマンスを再現し、体感できる展示がここに並んでいるのである。
---fadeinpager---
200足を超えるハイヒールから、結成初期の手書きのチラシや写真までを展示。
他にも「ポリリズム」では、同曲の過去のライブ映像およそ24種を3方向270度のシアター空間に投影し、没入型インスタレーションとなっている。その中央には、のっちが「念がこもっていた(笑)」というほどの、ライブで実際に使用した200足を超えるハイヒールが展示されている。
さらにファンにたまらないのは、結成初期の手書きで書かれたチラシや宣伝写真、アクターズスクール広島時代の記念冊子、また、当時ファンの人が撮ってくれた写真を後からもらって取っておいた写真など、超レアアイテムが展示されている。また、会場で販売しているボイスツアー(チケットと別料金、800円)ではメンバー3人が年表を見ながら語る当時の秘話を聞くことができるという。
私はPerfumeに取材したことはないが、メジャーデビュー直後に偶然かしゆかさんと話をする機会があり、その時に「自分たちで作詞はしないの?」と聞いたところ、「曲に関しては中田さんに全部お任せしています」と話していた。その姿勢はいま現在も全く変わらない。また真鍋大度さんには2度ほど取材しているが、10年前にPerfumeの話題になった時に、「Perfumeのプロジェクトは僕らがやっている中でも、物凄くファンベースというか、ファンを喜ばせたい気持ちがあるし、Perfume 3人を喜ばせたい気持ちもある。演出家MIKIKOさんをビックリさせたいというか、思っていたことを実現してあげたいというのもある。自分たちのチームも本当にセンスが良くて、技術のある人たちで集まっているので、自分も楽しくてやっていますけどね」と話していたのを思い出した。「Perfumeも海外に向けてやらなきゃいけないことがある」というのは、もうすでに実現し、日々ステージが進化しているのは周知の通りだ。
この記者発表会、エキシビジョンを見ていて、Perfume3人の変わらぬ人柄、常にファンをはじめとする支えてくれる人々への感謝を抱き続けている姿を再認識したし、愛されキャラであり、実際、彼女たちに関わっている人々は、エンターテインメントの極致としてコラボレーションを楽しんでいるのだと実感した。みんな変わらぬ人柄で、日々それぞれが切磋琢磨して築き上げてきた結晶がここにある。彼女たちのパフォーマンスはもちろんのこと、『Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と軌跡』は本当に楽しいので、ぜひ足を運んで没入体感していただきたい。
会期:8月9日(金)〜10月14日(月・祝)
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C
東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F
開館時間:10:00~20:00(最終入場19:30)
※イベント開催日や貸切日など、開館・閉館時間が異なる場合があります。
入場料:一般¥2,800
※通常チケットは日時予約制、オンラインにて希望の時間枠の事前予約が必要。
※現地では、当日分の空き時間枠のみ販売。
チケット購入:https://www.hills-ticket.com/TN/order/prfm-general
https://www.tokyonode.jp/sp/perfume/
音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
X:@natsumiitoh