藤本美貴の考える、前しか見ない生き方とは。
Culture 2024.08.30
ミキティこと、藤本美貴の著書『ミキティ語録』が9月3日に発売。この本には自身のYouTube「ハロー!ミキティ」チャンネルの人生相談コーナーに集まった、恋愛、仕事、夫婦、子育て、暮らし、人間関係、人生のお悩みを解決する105の言葉が散りばめられている。「的確なアドバイス!」「明日もがんばれそう」と視聴者からも信頼を集める藤本美貴が考える、人生を楽しむ方法とは?
北海道滝川市出身。2002年歌手デビュー。ドラマやバラエティー、雑誌などでも活躍。3児の母としての経験を生かした本音トークが、YouTube「ハロー!ミキティ」チャンネルや、テレビ朝日系「夫が寝たあとに」などで共感を呼んでいる。
https://www.youtube.com/@hello_mikitty
―書籍ができあがって、率直な感想を聞かせてください。
『ミキティ語録』のタイトルにもあるように、生活の中で「何か前向きな言葉が欲しいな」と思ったその時に、パッと目を通して、好きな言葉を見つけてもらえるような本にしたかったんです。どこから読みはじめて、どこで止めてもいいように、見開き単位でお悩みが解決するような構成にしたので、読みやすいと思います。ピンクを基調としたブックデザインも可愛くて気に入っています。たくさんの方に手にとっていただきたいですね。
―書籍内に登場するうさぎのキャラクターに癒やされますね。
うさぎって、後ろに下がることがあまり上手じゃないそうなんです。サブタイトルの「前しか見ない」にぴったりだと思って、選びました。
―どんな人に読んでいただきたいですか?
YouTubeで人生相談を始めて3年以上経ちました。たくさんのお悩みに答えてきましたが、こんなにも迷っている人が多いことに驚いています。特に、ずっと同じ場所で足踏みしていたり、いまいる一本の道の上しか見ていない人が多いなと感じています。顔をあげて視線をちょっと動かすだけでも視界は広がるのに......。だから、なかなか前を向けない人や、元気を出すきっかけが欲しい人に、この本を手にとってもらえたら、何かお役に立てるのではないかと思っています。
―藤本さんは「時間と労力の無駄になることはしないで」とよくおっしゃっていますね。時間を有効に使いたいという気持ちが強いですか?
有効に使いたいというよりも、どうせやるなら前に進みたいと思っているんだと思います。悩むにしても、せっかくなら解決に進むような悩み方をしたいし、本の中でもそういう提案をしています。
―お悩みに応える際に心がけていることは?
前もって回答を準備することはしません。むしろ、相談を聞いた瞬間から一緒に悩んで、一緒に解決のヒントを探せたらと思っています。実際に解決するかはわからないけれど、私でできることがあるなら応えたいという気持ちです。
―これまで、応えにくい質問はありましたか?
応えにくいことは、一度もないですね。完璧な答えを出すというよりも「このパターンだったらこうしてみたら?」という提案なんです。どんなお悩みに対しても、その大変な状況をできるだけ前向きにとらえたり、楽しく考えるきっかけをお渡ししたいとは思っています。何事も「こうでなくてはいけないというのはない!」「こっちの道もあれば、あっちのやり方もある!」ということに気付いてもらえるようなアドバイスができたらと思います。
―藤本さんの前向きさや自己肯定感に助けられ、力をもらった人は多いと思います。自分にどうしても自信を持てない方が、自己肯定感を身につけることはできるでしょうか。
私は、「自信がある、自信がない」とか「自己肯定感を養う」ということをあまり考えたことがなくて。自分がやりたいことをやったり、たどり着きたいところに行くために、一生懸命やるだけだと思うんです。緊張することはあるけど、頑張ったからこそ緊張するんだと思っています。頑張っていなかったら、緊張する権利もない。自信についても同じことで、努力して初めて自信を持つ権利が与えられるんだと思います。そう思うと、まずはやってみようと前向きになれませんか?
―これまでの経験からそう思えるようになったのですか。
そうですね。若い頃、コンサートをやるにも最初は自信なんてなかったんです。ただ一生懸命、歌とダンスを覚えて、完成までもっていく。それを、たとえばリハーサルで「ちゃんとできた」という結果があって、ひとつめの自信になる。お客さんの前で披露して「大丈夫、できた」となると、ふたつめの自信になる。自信があるかどうかは関係なくて、目の前のことをやるだけなんです。前に進むしかない。でも、自分が前向きな人だと気づいたのは、最近なんですよ。
―それは意外です。きっかけは?
私の言葉に「勇気づけられた」と言ってくださる方が増えて、語録を本にまとめることになり、これまでの発言を振り返ってみた時に、自分は前向きなことを言っていたんだとあらためて気付かされました。
―私たちフィガロジャポンは、アールドヴィーヴル(暮らしの美学)を提案しているのですが、藤本さんの人生における美学をお聞きしたいです。
それは、自分を大事にすることで見えてくるのではないかと思います。自分のやりたいこと、なりたい自分、人にこうしてあげたいと思う自分をよく知ること。自分の中に軸を持って生きることが、私の美学かな。
―あらためて、いまさまざまなことに悩んでいる方に伝えたいことはありますか?
やっぱり「前しか見ない」ですね(笑)。心の底から「前に進んでおけば大丈夫」って思うんです。反省もしなくていい。同じことが二度起きることは少ないですから。前だけ向いていれば、すぐ明日は来ます。悩んでいるより前に進みましょう。
photography: Daisuke Yamada interview & text: Saiko Ena