宮﨑あおいに聞く、村上春樹作品のこと、もう一度行きたい旅のこと。
Culture 2024.09.06
Amazonのオーディオブック、Audible(オーディブル)にて、村上春樹の長編小説『スプートニクの恋人』を宮﨑あおいが朗読。本日9月6日(金)から配信がスタートする。作品のこと、オーディブルのこと、旅についてスペシャルインタビュー!
作品について
――登場人物の中で、宮﨑さんはどのキャラクターの考え方に共感しますか?
俯瞰して読んでいました。というのも、私が何かを見たり読んだりする時に、「この人に共感するな」と思いながら見ることはなくて。映像や小説、物事も、俯瞰で見るタイプだと思います。
――作品の中で、心に残った文章や言葉とその理由を教えてください。
声を出しながら読んでいて、村上春樹さんの言葉って、「とても日本語が美しくて丁寧だな」と感じました。自分が小説を読む時に、句読点の位置が気になるタイプなのですが......気持ち良かったです!
ひとつの言葉が連続して描かれている部分が何度か出てくるのですが、朗読時に言葉を発するのも楽しかったし、小説を読む分にもすごく好きな箇所でした。登場人物が少ないので、その分、登場人物の感情が深く描かれている点もお気に入りです。
―ストーリーの中でも、心に残った思い入れのあるシーンは?
すみれが残した文書1、文書2の章が、読んでいてとても楽しかったです! 彼女の"勢い"みたいなものが感じ取れるし、全体の流れが好きでした。朗読の時も、スルスルと言葉が出ていき、自分の中に入ってくる感覚もありました。
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オーディブルについて
――朗読する際に心がけたことなどあれば教えてください。
オーディブルを利用している知人に、どういう時に利用している?と質問したところ、寝る前や通勤時に聴いていると言っていました。それであれば、「こちらがこういう風に聴いてほしい」という思いは乗せずに、"聴く人の邪魔をしない"という立ち位置でいったほうがいいのかなと。
声の仕事をする時には、見ている人の邪魔にならないけれど、きちんと情報が入るようにできたらいいなと考えています。そのスタンスは今回も変えず、でも台詞の部分は多少お芝居をのせないと、耳で聴いた時に誰のセリフなのか、誰が話しているのかがわからず、聴いている人が混乱してしまう。監督から、「もう少し変化をつけてほしい」というオーダーをいただいたりして、話しながら作り上げていきました。
現場に来てみないとわからなかったので、学びがたくさんあるお仕事でした。
――オーディブルの利用シーン、おすすめの聞き方は?
読書をしたいけれど、読書をする時間が取れない方ってたくさんいらっしゃると思います。特にお母さんやお父さんたち。皆さん忙しいと思うので......。でもお料理は毎日するし、その時間を"聴きながらお料理する"という時間にできたら、すごく有意義な時間の使い方になるんじゃないかなと思いました。
私の場合、料理の時間のほかに、車で移動している時間にも利用できたらいいなと。
――"音声で届ける"ということに関していかがですか?
自宅で読んだ時と、スタジオで声に出して読んだ時と、自分の感じ方が違いました。声に出して読んだ時のほうが、"世界が広がる"感じがして、読んでいても楽しかったし、言葉のひとつひとつが流れていかずに頭にも心にも留まった気がするというか......。声に出して読むって、楽しいし、とても大事なことだなと思いました。皆さんにもおすすめしたいです(笑)
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旅について
――ギリシャでのヴァカンスシーンが出てきますが、いままで行った旅先でどの国がお気に入りですか? 理想の過ごし方、楽しかったエピソードを教えてください。
カンボジアです。その時泊まったホテルが、自然と一体になって泊まれるスタイルのお宿で、すごく素敵でした! 大きなテントが立っていたり、扉も開け放しになっていたりと解放感もあって......食事も外に敷いた布の上で食べる、みたいな。近くにゾウに会えるスポットがあったのですが、そこは保護されたゾウのみが集まっていて、そのコンセプトも良いなと。
朝焼けを見たり、星空が綺麗だったり、裸足で土の上を歩いたり...... "自然と一体になれる瞬間"が、すごい幸せだったな〜。
滞在中に一度、外でご飯を食べた時にお腹を壊してしまって、一日行きたいところに行けなかったので、カンボジアリベンジを果たしたい......。日本人の口に合う味付けで料理もおいしかったので、もう一度行きたいです。
――今年の夏、どこか旅に出る予定はありますか?
あります! 友達が住んでいるカナダに遊びに行きます。
お仕事で日本の地方に行く予定もあるのですが、東京じゃない場所に旅に出るって、大人も子どもも成長するし、楽しいですよね! 準備も、行った後、みんなが少し成長して帰ってきた感じとかも楽しい。
昔、ひとり旅をしたいと思って、沖縄に行ったことがあったんですけど、誰かと何かを共有したいんだなと思いました。美しいものを見ても「綺麗だよね」と言う相手がいない、「おいしいね」と言う相手がいないって、私にはちょっと向いてないんだなと感じて、結局ずっとホテルの部屋にいました。どこでも見られるテレビを見て、一日が終わっていく......みたいな(笑)。なので、私は誰かと一緒に行く旅が好きです!
1985年11月30日生まれ。4才より子役として活動。2008年には、22才でNHK大河ドラマ『篤姫』の主演に抜擢され、歴代最年少を記録。以来、映画やドラマ、舞台においてマルチに活躍し、「少年メリケンサック」「ツレがうつになりまして。」「舟を編む」「怒り」で、日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受賞。近年は「かがみの孤城」「大名倒産」に参加し、坂元裕二が脚本を手がけたNetflix映画「クレイジークルーズ」では吉沢亮とダブル主演を務める。
『スプートニクの恋人』
1999 年に刊行された村上春樹による長編小説で、「この世の物とは思えない奇妙な恋の物語」というコピーとともに話題になったラブストーリー。アニメ映画やドラマ、ドキュメンタリーのナレーションなど声に関わる仕事も多数手がけている宮﨑あおいの透き通った美しい声で、本作を楽しんで!
https://www.audible.co.jp/pd/B0D7VMQY2N
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