写真家オリヴィア・ビーに聞く10の質問。

Culture 2024.10.11

ティーンエイジャーでデビューして以来、オリヴィア・ビーが心赴くままに記録してきた日々の記憶。レンズを通して彼女が綴るのは、変容し続ける暮らしと生きることの美しさ。彼女の"現在地"が知りたくて、10の質問を投げかけた。

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Profile
Olivia Bee
写真家、映像作家。1994年、アメリカ・オレゴン州生まれ。11歳から写真に興味を持ち、ありのままの自分や若者の生活を独自の感性で撮影した写真がきっかけで、15歳の時にコンバースの広告キャンペーンに起用された。写真集『Kids in Love』(2016年)の出版以降、ファッション誌や、エンターテインメント・芸術分野で活躍する。現在はオレゴン州東部で自給自足の農業にも従事。今秋、京都にてヴァン クリーフ&アーペルとKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭が主催する写真展『その部屋で私は星を感じた』を開催中。

1

あなたにとって"本物であること"の意味は?

創作活動と作品、
自分の生活においても、
自分の感情に正直であること。
言葉にするのは難しいけれど、
本能的なことだから、模倣したり
商業化することはできない。

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2

SNSとの関係は最近変わった?

ソーシャルメディアには最近ちょっとうんざり。
アートギャラリーだったインスタグラムは、
より商業的になってしまった。
10代の私が初めて
写真のコミュニティを見つけたのはSNSで、
自分の表現を発表するのにいい場だったけれど、
いまは脳が溶けそうなので、スマホでは
SNS利用時間を制限するアプリを使ってる。
仕事上SNSを断ち切ることはできないけれど、
メルマガやブログで作品を共有することに
回帰している人がいてうれしい。
かつてないくらいビジュアルに頼っている世の中は、
写真にとって微妙な時代と言える。
連日、特にスマホで夥しい数の画像を見るいま、
インパクトのある写真を
どうクリエイトすればいいのかしら?


3

何匹の動物と暮らしているの?

豚や牛が約30頭、卵用鶏と肉用鶏は約1300匹ね。
種豚は愛着があるのでバービー、グレタ、
ドロシー、マッケンジーと名前もある。
農家として動物を尊敬するけれど、人格化はしない。
みんな、それぞれ仕事と目的があるから。
あと、ペットの馬2頭と猫が2匹、犬が3匹。
この犬たちがいない生活は想像もできない。

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4

自給自足の生活を始めたのはなぜ?

コロナ禍に夫のジョーとふたりで、
田舎で自給自足のために豚、鶏、野菜を育てる暮らしを始めたら、
自分たちも土地も癒やされ、
本来人間に必要な土地や自然との関係が深まった。
2、3年のうちに私たちのためだけではなく、
コミュニティの自給自足にも貢献したいと思うようになったの。
裏庭でふたりのために30羽の鶏を飼うのではなく、
1000羽飼育したら土地への還元も大きくなり、
自然との繋がりを求めて、本物の食べ物を欲している
コミュニティがアクセスできるな、と。
消費者として食べ物がどこからくるのかは大事な選択だから、
農家である私たちが自然のサイクルに合わせて
クリーンな牛、豚、鶏、藁のチョイスを
コミュニティに提供できるのがうれしい。


5

自分の写真を振り返ることはある?

YES! 常に自分の軌跡を辿り、撮影してきた写真に
どのようなパターンがあるのかを模索することは
私の写真家としてのレッスンでもあるの。
変化や変身はその度、私をあるべき自分に近づけ、
この世で私が導かれるべき人生に近づいていく。

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6

影響を受けたアーティストは?

ジョージア・オキーフとサリー・マン。
彼女たちの視点と世界観に、大きく影響された。

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7

映像作品も撮る理由は?

写真を撮るのは、記憶しておくのと私が写真に夢中だからで、
始めた頃はうつや不安へのガードレールだったのだと思う。
ダメダメだったとしても生活や感情の一片を記録しておけば、
写真が感情の証拠となって生きることは、美しくて価値があると感じられる。
自分の写真と生きざまがお互いに励まし合い、
教え合っているというのかな......。
映画は写真が伝えきれない包括的なストーリーを
生き方として伝えるために作る。
自分のリアルな感情や物語の舞台として、幻想的な状況を作るのが好き。
美しく完成したら、やりがいがあったと思えるから。


8

今年公開したショートフィルム『All The World』について教えて。

尊敬する人が私の卓越したところを鏡のように映してくれたことを
愛と勘違いした、実体験に基づいた物語。
昔住んでいた辺鄙な田舎町で9名のチームとの撮影は最高だった。
映画制作ってとっても楽しい。
でも、自主映画制作ってどうしてこんなにお金がかかるの?


9

ダンスは好き?

ダンスも、ダンスを撮影するのも好き。
ダンスと写真は感情の表現が目的という共通点があって、
ふたつの表現手段が一体化する時は、まるで魔法のよう。
クラシックであると同時に
モダンであるバレエに惹かれたのは、
当たり前だと世の中で思われているイメージを
私なりに新しく感じ表現することに惹かれるから。
アメリカン・バレエ・シアターの
プロジェクトではニューヨークで
2週間バレエダンサーと一緒に生活し、
考えていることやエモーションを観察できて
とてもラッキーだった。
その後はモダンダンスドキュメンタリーを作ったり、
ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペルでは
思いのまま撮影をすることができました。

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10

直近で予定していることは?

次のプロジェクトは期待してて! 来年の夏、
米国内でいまの自分のライフステージをテーマにした展示を開催予定なの。

photography: Olivia Bee text: Chinami Inaishi

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