新世界へと誘う楽曲で新年をスタート!
Culture 2025.01.06
深遠な情景を表現するエキゾティックな歌姫。
『ナイト・レイン』アルージ・アフタブ
ユニバーサル¥2,860
夜の帳が似合う声、とでもいうのだろうか。2年前にグラミー賞を受賞し、その後も輝かしい活躍ぶりを見せるパキスタン出身のシンガーソングライターが満を持してメジャーデビューを果たす。アンビエントやクラシックの要素がベースにある一方で、エレクトロニックを大胆に取り入れた斬新なサウンドに乗せて、深い眠りの中で聴いているような歌に誘われる。ピアニストのヴィジェイ・アイヤーからチョコレート・ジーニアスまで、幅広いジャンルから参加したミュージシャンも豪華な意欲作だ。
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伝説的なグループを経て辿り着いた新世界。
『ライブス・アウトグロウン』ベス・ギボンズ
ビート¥2,860
マッシヴ・アタックらと並びブリストルサウンドと称されて、90年代を席巻したバンドであるポーティスヘッド。そのフロントボーカリストがなんと10年の歳月をかけて制作したという初の単独名義のアルバム。ありきたりのロックサウンドを頑なに拒み、日用品などを叩いて組み合わせたビートやアコースティックを基調にした牧歌的なアレンジに、彼女の音に対する強いこだわりを感じさせる。そしてすべてを悟ったかのような落ち着いた歌声が、聴く者の心を震わせてくれるのだ。
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鮮烈なビートを叩き出すジャンルレス音楽。
『サムタイムス、レイト・アット・ナイト』ジャリス・ヨークリー
コアポート¥2,640
超絶技巧を持つドラマーであると同時に、ボーカリストとしても独特の味わいを持つ型にはまらない音楽家。ホセ・ジェイムズに見いだされ、ソランジュやチャンス・ザ・ラッパーなど多くのアーティストとの共演を経由し、ようやく待望のデビュー作が届いた。ジャズのフィールドで語られがちだが、実際はR&Bやエレクトロといったさまざまなジャンルを内包しており、浮遊感のあるサウンドはどこか未来的。まるでSF映画を観ているかのような先鋭的で刺激的な音に身を任せてみてほしい。
*「フィガロジャポン」2024年7月号より抜粋
text: Hitoshi Kurimoto