「恋多き女は魅力の証」!? テイラー・スウィフト、「悲劇的」と語る恋愛観とは?
Culture 2025.02.03
文筆家・村上香住子が胸をときめかせた言葉を綴る連載「La boîte à bijoux pour les mots précieuxーことばの宝石箱」。今回はグラミー賞12回受賞の歌姫、テイラー・スウィフトのことばに迫る。
グラミー賞では3度の最優秀女性アーティスト賞を受けながらも、私生活でも恋多き女、というファンのイメージ通りのテイラーの愛の遍歴は、35歳になる現在も、どうやらどこまでも止まることがないようだ。ある時は名うてのプレイボーイ、コリー・モンテスの掌の中で翻弄されてファンをはらはらさせたかと思うと、やはり案の定捨てられてしまうし、バッドボーイにほとほと懲りたのか、別れた年の夏にはケネディ家の御曹司、上流階級の「お坊ちゃま」コナー・ケネディの懐に飛び込んでいったが、今度もひと夏の恋で終わってしまう。
その後も世界の女性たちの恋人といわれている美男のミュージシャン、ハリー・スタイルズの恋人になっても、せいぜい続いて、2ヶ月にすぎなかった。
本人の中でも、いったい自分は破天荒だが悪魔的な魅力のバッドボーイが好きなのか、内向的で行儀のいいグッドボーイが好きなのか、決めかねているのかもしれない。
テイラーの数多い恋人の中でも、個人的には、ネットフリックスの彼女のドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ テイラー・スウィフト』の中で、テイラーと親しげな姿をみせていた英国の男優、ジョー・アルウィンはなかなか素敵だった。彼との関係は6年も続いたという。
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日本では儒教の道徳観念が根深いので、恋多き女というと、たちまちバッドガールだとレッテルを貼られてしまうが、パリで編集の仕事に携わっていて分かったことは、フランスでは芸能界の恋多き女は魅力の証しだとみなされているという事実だった。日本では、小悪魔的な女性は同性から引かれてしまうことが多いが、パリでは高いポイントになっているのだ。
これまでミュージシャンや映画俳優といったジャンルの恋人が多かったテイラーだが、最近の恋人はアスリート、トラヴィス・ケルシーで、アメリカン・フットボールのスター選手だという。
2023年9月に、彼が所属するカンサスシティ・チーフスの試合を観戦にいき、以前からテイラーの熱烈なファンだったトラヴィスが、積極的に彼女に接近して、ふたりは付き合うことになったそうだ。2月9日にはルイジアナ州ニューオーリンズのシーザーズ・スーパードームで、チーフスがNFCの首位のフィラデルフィア・イーグルスと対戦するという。その試合でチーフスが勝ち、観戦に来ているテイラーとトラヴィスが、フィールドで抱き合う姿がみられるかどうか、スーパーボールのファンたちもメディアもその話題で持ちきりのようだ。
いつもはテイラーの方が夢中になって交際が始まるのに、今回は違っていたようだし、あまりにもトラヴィスが熱中になりすぎると、もしかしたらテイラーの方で冷めてしまうかもしれない。
彼女にとっては、恋をして、夢中になり、無我夢中で相手を落とすことが、なによりも恋の醍醐味のようだが、いまはあまりにもスムーズにいきすぎて、冷めてしまい、「悲劇的な」結末にならなければいいのだけれど。
感謝祭には、両親のスコットとアンドレアだけでなく、どうやらトラヴィスの両親との関係も良好で一緒に過ごしたそうだし、もしかしたらそろそろテイラーも落ち着きたいのかもしれない。
Taylor Swift
1989年、ペンシルヴァニア州生まれ。キリスト教の信仰に厚い家族の下、自然に囲まれた環境で育つ。幼少期から音楽に目覚め、12歳でギターを手に作曲を開始。カントリーミュージックのシンガーソングライターとして2004年にデビュー、09年にはアルバム『Fearless』でグラミー賞最優秀アルバム賞を最年少で受賞。フェミニズム、LGBTQ、社会奉仕や政治的関心への言及も取り上げられることが多い、世界的に影響力を持つテンターテイナー。