【フィガロジャポン35周年企画】 バレエ『ジゼル』の振り付けを、生ピアノ伴奏とともに体験!
Culture 2025.05.01
2025年3月、創刊35周年を迎えたフィガロジャポンでは、「アールドゥヴィーヴルへの招待」をテーマにさまざまな体験イベントを開催中。4月13日には、東京バレエ団『ジゼル』公演を記念した特別レッスンを東京バレエ学校にて行った。その様子をリポート!
装飾的な外観がひときわ目を惹く目黒通り沿いの東京バレエ団本館。その裏手に位置する東京バレエ学校もまた、ヨーロピアンスタイルの美しい建築だ。大きな窓と高い天井が開放感を生んでいる。今回のイベント会場となったスタジオは、普段は東京バレエ団のダンサーがレッスンに励む場でもあり、来日公演のスターダンサーたちのリハーサルにも利用されているという。
色とりどりの美しいウエアを身に纏い、集まった参加者たち。この日のレッスンでは、矢島まい先生の指導のもと、前半はバーを使ったウォームアップと基本の振り付けをレクチャー。後半で『ジゼル』第2幕のウィリの群舞に挑戦する。
講師の矢島まいさん。2003年から2018年、東京バレエ団に所属し、セカンドソリストとして国内外のさまざまな舞台で活躍。現在は主宰するバレエスタジオガーデンや東京バレエ学校で指導。
バレエ団のピアニストを務める松木慶子さんの伴奏に合わせて、バーを使ったストレッチからレッスンのスタート。このウォームアップは、東京バレエ団のダンサーたちも日々レッスン前に行っている動きだそう。「基本姿勢の時は、首の付け根や耳の後ろを5mm伸ばす意識を」「呼吸は胸に入れるのではなく、腰に入れるようにすると、見た目が美しいだけでなく息が長く続きます」など、わかりやすく具体的な指摘に、参加者たちの佇まいもいっそう引き締まる。
目線の使い方も重要。「頭の後ろ側から視線を届けるように」とアドバイス。
先生のお手本に合わせて。
ピアニスト松木さんの生伴奏でレッスンを受けられる、貴重な機会となった。
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ウォームアップの後は、バーを片付けて空間を広く使いながらの振り付けレッスン。「腕の動きは、花を抱きかかえるように柔らかく」「つま先がキラッと光るようなイメージで」など、指導中の表現にも美学が宿る。
つま先にまで意識を届けて。
1時間ほど基礎レッスンを行った後は、いよいよ『ジゼル』第2幕のウィリの群舞にチャレンジ。ロマンティック・バレエの名作『ジゼル』は、愛する人に裏切られ、婚礼を前に死んだ若い女性の精霊ウィリの伝説をもとにしたもの。特に東京バレエ団のウィリの群舞は、ぴたりと揃った美しさで海外でも絶賛される完成度だ。
群舞レッスンに入る前に、矢島先生が物語の中でのウィリのイメージを説明する。「ひんやりとして少し怖い感じ。深夜2時の森の中、青い光に包まれた、見る人に冷たさを感じさせる世界を表現しましょう」。手をふわりと持ち上げることで、精霊の浮遊感を見せることができたり、首をかしげる位置ひとつで、可愛らしくも強くもなりすぎない、ウィリらしさを追求することができる。
ディテールの差まで意識しながら。
そして群舞で大切なのは周りの人の踊りを感じ、動きのタイミングを合わせること。「自分の中に入り込むよりも、みんなで踊っていることを意識しましょう」という矢島先生の声がけで、参加者どうしの一体感も生まれ始めた。
動きと呼吸のタイミングを、周りと合わせて。
2時間にわたるレッスンは、和やかなムードで終了。
「憧れの『ジゼル』のウィリの振り付けが体験できてうれしかった」「ポジションの微妙な差で印象の違いを出せることが学びになった」「生ピアノの演奏が世界観を盛り上げてくれた」と、参加者からも満足の声が集まった。
矢島先生からは「今日の参加者のみなさんは、イメージを膨らませたり雰囲気をキャッチするのが上手でしたね。『ジゼル』は第1幕で当時の身分や階級制度、それによる衣装の違いなども見どころですし、2幕では美しさだけではない女性の恐ろしさを感じることもできて、ひとつの作品でさまざまな楽しみがあります」とコメント。5月16日から始まる東京バレエ団の公演に向け、作品理解も高まる素敵なひとときになった。
東京バレエ団『ジゼル』全2幕
2025年5月16日(金)19:00開演、17日(土)14:00開演、18日(日)14:00開演
会場:東京文化会館
料金:S席¥15,000、A席¥12,000、B席¥9,000、C席¥7,000、D席¥5,000、E席¥3,000
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/giselle/
photography: Daisuke Yamada